医療法人では、専門医師に業務を委託するというケースがあります。
では、医療法人が専門医師に手渡す報酬には、その医療法人に勤務する医師に手渡す給料と同じように、源泉徴収の義務が発生するのでしょうか?
詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
医療法人が医師に手渡す給料には源泉徴収の義務が発生する
医療法人は、その医療法人に勤務する医師に給料を手渡す際、必ず源泉徴収をしなければいけません。
これを怠ってしまうと、医療法人は追徴金を支払わなければいけなくなります。
具体的には、まず納付税額の他に、納付税額の10%が“不納付加算税”として課されます。
税務署から指摘を受ける前に、医療法人が自主的に納付した場合は5%に減税されますが、納付が遅れることになった場合は、さらに“延滞税”も支払わなければいけません。
医療法人には“専門知識・技術を持つ人”に支払う報酬の源泉徴収義務もある
医療法人における源泉徴収の義務は、基本的に常勤医師やその他の従業員に手渡す給料にしか発生しませんが、専門知識・技術を持つ人に支払う報酬にも、実は源泉徴収の義務が発生します。
例えば、“士業”と呼ばれる専門家に支払う報酬に関しては原則10%の源泉徴収をしなければならず、1度に手渡す金額が100万円以上の場合は、20%の源泉徴収をしなければいけません。
その他で言うと、自院のウェブページや広告などを作成した人物などに対する報酬にも、同じように源泉徴収の義務が発生します。
では、業務を委託する専門医師に手渡す報酬には、源泉徴収の義務が発生するのでしょうか?
医療法人が専門医師に手渡す報酬に源泉徴収の義務はあるのか?
結論から言うと、医療法人が専門医師に手渡す報酬には、源泉徴収の義務がありません。
ただ、医療法人が専門医師に手渡した報酬が、果たして本当に報酬なのか、それとも給料なのかについて、税務署からチェックが入ることはあります。
税務署がチェックした結果、それを給料だと判断されてしまうと、当然医療法人には源泉徴収の義務が生まれます。
そのような状況を防ぎたいのであれば、医療法人は専門医師としっかり業務委託契約書を交わし、その内容に沿って報酬を手渡すようにしましょう。
まとめ
ここまで、医療法人が専門医師に手渡す報酬における、源泉徴収の義務を中心に解説してきました。
基本的に、業務を委託する専門医師に手渡す報酬には、源泉徴収の義務が発生しませんが、税務署に給料と見なされてしまった場合は、この限りではありません。
ただ、しっかり業務委託契約書を交わし、それに沿った報酬が手渡されていれば、そのような心配はないでしょう。