美容クリニックで事務用品、医薬品、医療材料などの在庫管理を行うためには、便利で使いやすい“在庫管理表”の作成が必要不可欠です。
では、便利で使いやすい在庫管理表を作るには、一体どのようなことを心掛ければいいのでしょうか?
具体的に解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
在庫管理表の概要
在庫管理表とは、“物品管理表”とも呼ばれるもので、在庫管理の際に必要な在庫リストの要素を記録し、計算するための表をいいます。
美容クリニックにおける物品在庫の数量は、売上に直結するだけでなく、残った在庫は資産として計上されるため、正確な在庫管理は経営において非常に重要な課題だと言えます。
また、表を使って適切な在庫管理を行うことには、主に以下の2つの目的があります。
・適正な在庫を持ち、患者さんに医薬品などをきちんと提供できるようにすること
・その上で在庫の無駄をなくし、利益を最大化すること
美容クリニックの在庫管理表を作る際のポイント
美容クリニックが便利で使いやすい在庫管理表を作るためには、以下のポイントを押さえておく必要があります。
・品目、数量を見やすいようにする
・必要な項目を抜け漏れなく記録する
・シンプルなルール作りを心掛ける
・入庫と出庫を確実に記録する
・物品管理のレベルを明確にする
・上書きしない(データ入力の場合)
品目、数量を見やすいようにする
美容クリニックで便利な在庫管理表を作るためには、まず品目、数量が見やすいものを作成するように心掛けましょう。
こちらは、意外と忘れる方が多いポイントです。
他の細かいことや特殊な事情にばかり気をとられ、在庫管理表において一番基本的なことを忘れてはいけません。
必要な項目を抜け漏れなく記録する
美容クリニックの在庫管理表には、必ず以下の項目を抜け漏れなく記録しましょう。
・在庫処理日(入庫・出庫の処理を行った日付を記録)
・品目
・入庫数
・出庫数
・現在庫数
・場所
・状態(良品と不良品を区別する)
シンプルなルール作りを心掛ける
美容クリニックにおいて、便利で使いやすい在庫管理表を作成するには、従業員全員が理解できるようなシンプルなルール作りを心掛け、全員に周知しなければいけません。
例えば、“在庫管理表の作成者しか修正できない”といったルールにしてしまうと、担当者の不在の場合に業務が滞り、生産性が低下してしまうため、その点は臨機応変に別の従業員が修正できるようなルールを策定しておきましょう。
入庫と出庫を確実に記録する
美容クリニックで便利な在庫管理表を作るには、入庫と出庫を確実に記録することも重要です。
在庫管理表における在庫とは、入庫された量から出庫された量を引いたものを指しています。
そのため、入庫と出庫のどちらかが欠けてしまうと、途端に在庫は整合性が取れなくなってしまいます。
物品管理のレベルを明確にする
美容クリニックの在庫管理表作成時には、物品管理のレベルを明確にすることも大切です。
クリニックにおける物品には必ず保管場所があり、同じ品目であっても、複数の保管場所に保管されている場合があります。
つまり、1つの品目を総量として管理するのか、それぞれの保管場所で管理をするのかによって、管理方法は大きく変わってくるということです。
また、さまざまな場所に保管されている同じ品目をまとめて管理しようとすると、必要なときに在庫が見つからないということになりやすいです。
そのため、物品管理のレベルを明確にしたら、必ず在庫管理表に保管場所を記載するようにしましょう。
上書きしない(データ入力の場合)
Excelで美容クリニックの在庫管理表を作成する場合、数量は上書きせず、データを追加していく形式にしましょう。
このように履歴を残すことで、在庫管理がどの段階まで行われているかがわかるだけでなく、何か問題が生じたときに、さかのぼって調査することができます。
美容クリニックの在庫管理表における品目について
美容クリニックの在庫管理表に記載する品目は多岐に渡りますが、主に以下のものが挙げられます。
事務用品
事務機器
医薬品
医療機器(レーザー治療・光線治療装置、X線装置、X線CT装置など)
医療材料(注射針、カット綿、ガーゼ、サージカルテープ、眼帯など)
紙媒体やExcelの在庫管理表における問題点
美容クリニックの多くは、紙媒体やExcelで在庫管理表を作成しているかと思いますが、こちらは手軽に作成できる反面、以下のような問題点もあります。
・入力、記入ミスや漏れが発生する
・在庫管理表の紛失、データ消失が発生する
・リアルタイムの数値を確認できない
先ほど、美容クリニックが便利で使いやすい在庫管理表を作るには、必要な項目を抜け漏れなく記録したり、入出庫を確実に記録したりすることが大切だという話をしました。
しかし、どれだけ注意していても、作成するのが人間である以上、ミスの可能性を完全になくすことはできません。
また、入力や記入のミスだけでなく、紙媒体の紛失、Excelのデータ消失という大きなミスが発生することも考えられます。
そして、紙媒体やExcelの細かいデメリットとしては、リアルタイムで在庫の数値を確認できないことも挙げられます。
手動で在庫が更新されるタイプの在庫管理表では、実際の在庫数が反映されるまでに、どうしても多少のタイムラグが発生してしまいます。
在庫管理表のクラウド化について
美容クリニックの在庫管理表は、紙媒体やExcelだけでなく、クラウド上で運用することも可能です。
また、在庫管理表をクラウド化することには、主に以下のようなメリットがあります。
・作業の効率化
・データのリアルタイム化
作業の効率化
在庫管理表をクラウド化することにより、美容クリニックは在庫データを一括処理するこができ、すべての業務をペーパーレスで効率良く行うことができます。
データ処理には、システムの管理画面を操作して入力する方法と、ハンディターミナルやスマホなどでコードを読み取って行う方法があり、特に後者の場合は大幅な効率化が期待できます。
データのリアルタイム化
クラウドの在庫管理表は、入庫や検品、出庫に至るまで、在庫処理が行われるたび、データが即座に反映されます。
そのため、在庫状況をリアルタイムに可視化でき、在庫の過剰や不足の把握、追加の仕入れ計画などに活かすことが可能です。
在庫管理表のクラウド化におけるデメリット
美容クリニックの在庫管理表をクラウド化することで、大幅に業務は効率化でき、ミスを減らせる可能性も高くなります。
しかし、新たにクラウドシステムを導入するためには、当然コストがかかります。
在庫管理システムに加え、場合によってはハンディターミナルの購入や専用ネットワークの構築なども必要になるため、美容クリニックの経済的な負担は必然的に大きくなります。
また、導入されたシステムが定着するまでの間には、学習や教育のために現場の負担が増加しますし、一時的な作業の遅延、残業の増加などを引き起こすことも考えられます。
その他、現場の理解が得られないまま、強引にシステムを導入することで、思いの外効果が上がらない可能性もあります。
まとめ
ここまで、美容クリニックで便利な在庫管理表を作成する際のポイントについて解説しました。
美容クリニックにおいては、便利な在庫管理表を作成し、現場のニーズとバランスを図りながら、効率の良い管理を徹底する必要があります。
また、在庫管理は会計における資産把握の面でも欠かせない業務であり、良い在庫管理が良い美容クリニックを作り上げると言っても過言ではありません。