経営や相続面でお得な活用が見込める法人化は、開業医ならば一度は考えるでしょう。
実際に法人化するからには、利益面の確証があるはずです。
しかしその後、赤字になることもありますので、ただ設立するだけでは行き先が不安になりますよね。
今回は、ms法人と医療法人が赤字で共倒れしないための方法を解説しましょう。
目次
ms法人は医療法人の赤字回避策と捉えない
一般人からすると驚くかもしれませんが、意外と赤字の病院というのは多くあります。
病院は、一般的な企業とは違い、一定の患者さんが常にいることで赤字状態にならないと思ってしまいますよね。
ですが、2020年4月当初の状況を思い出してみて下さい。
コロナの影響により、休診せざるを得ない状況や、稼働していても収益がないといった病院の存在が報道されていましたよね。
これは極端な事例かもしれませんが、平時の経営でも赤字になってしまうことはあり得るでしょう。
その際に、打開策としてms法人を設立しようと考える人がいます。
ですが、この方法は根本的な問題の解決になっていないことを理解できるでしょうか?
一見すると、節税もできて収益分を確保できるようになると思ってしまいますよね。
しかし、ms法人も設立したならば、一定の利益を出さなければなりません。
そうなると、事業内容のニーズがなければ、どんどん収益は落ちていってしまいます。
その結果、現状のクリニック経営に影響してくることもあり得るのです。
ms法人を単純な赤字回避策と捉えてしまうことが、いかに短絡的なことであるか、みなさんは理解できるはずです。
ms法人の節税メリットはかえって赤字に繋がる?
ところで、ms法人の節税メリットばかりに目を向けてしまうと、赤字が増えてしまう理由を見落としてしまいます。
それは、クリニックとms法人のお金の流れです。
これは、事業内容で失敗してしまう以前の問題になりますので、設立自体の意味を思い返す必要があるでしょう。
例えば、節税メリットを最大限発揮するために、ms法人に資金を多く流していきます。
そうすると、節税効果は得られますが、本元であるクリニックはどうなるでしょうか?
クリニック自体で必要な資金が流れてしまっているため、単体で見ると赤字になってしまっているのです。
これが続くと、両者とも苦しい状況になり兼ねません。
節税はメリットとして紹介されますが、使い方によってはデメリットになることを覚えておいて下さい。
まとめ
ms法人と医療法人、赤字で共倒れしてしまう理由を理解して頂けましたか?
節税面や赤字回避策等、短絡的なビジョンで利用してしまっている部分に、失敗の原因がありますよね。
もちろん、上手く活用すると心強い存在になりますが、安直に判断してしまうと痛い思いをすることが分かるでしょう。
赤字で共倒れ状態になってしまうと、それこそ立て直しが苦しくなりますから、安直に行動することは避けるべきです。