クリニックにおける経営者の方は、所属する看護師から「ダブルワークを認めてほしい」という相談を受けることがあります。
ダブルワークとは、いわゆる“掛け持ち”で複数の仕事をすることを指していますが、このような場合、経営者の方は果たして許可をしても良いのでしょうか?
目次
クリニックの看護師におけるダブルワークは認めて良い?
結論から言うと、クリニックの看護師におけるダブルワークを許可しても良いかどうかは、そのクリニックの形態と看護師の立場によって異なります。
都道府県、市町村などの自治体が運営するクリニックに所属する看護師は、“地方公務員”という扱いになります。
このような場合、クリニック経営者の方は、ダブルワークを許可してはいけません。
なぜなら、地方公務員によるダブルワークは、地方公務員法という法律で禁止されているからです。
具体的にいうと、地方公務員の看護師は、企業の役員になること、自身で経営をすること、他の事業所から給与を受け取って仕事をすることが原則禁止されています。
こちらは、公務員という立場が、信用を落とすようなことをしてはならないこと、職務上の秘密を漏えいさせてはいけないこと、職務時間中は仕事のことだけを考えていなければならないことが主な理由とされています。
ただし、クリニック経営者の方が、看護師から以下のようなダブルワークを打診された場合は、基本的に許可しても問題ありません。
・株式投資、FXなどの投資
・家業の手伝い(無償)
・不動産経営(戸建て5棟以内、マンション10室以内などの条件付き)
・太陽光発電(10kw以下の太陽光電気の販売)
・農業(小規模なもの)
公務員ではない看護師のダブルワークを許可する場合の注意点
民間のクリニックに勤務する看護師は公務員ではありませんので、経営者の方が許可すれば、基本的にはダブルワークを実践できます。
ただし、ダブルワークを認める場合は、できるだけ本業に支障が出ないように、細かいルールを就業規則で定めておきましょう。
そうしなければ、看護師の欠員が出やすくなったり、離職の可能性が高まったりするおそれがあります。
また、確定申告が必要になる可能性についても、相談を受けた際には看護師に伝えておきましょう。
まとめ
ここまで、クリニックにおける看護師のダブルワークについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
クリニック経営者の方は、法律的にダブルワークを認めて良いケース、ダメなケースがあることを理解しておきましょう。
また、許可しても良い形態のクリニックであっても、就業規則などで一定のルールを守ってもらうことを忘れてはいけません。