クリニックを経営する上で、今後注目したいのが自費診療です。
自費診療は、今後さらに重要なものとなってくると思われます。
そこで、クリニックを経営する上で目指すべきなのは自費診療拡大です。
なぜ、それが重要となるのでしょうか？
この点について、詳しく解説していきます。
目次
クリニック経営で重要な「自費診療」とは？
クリニックで受ける診療には、2つの種類があります。
通常の保険診療の他に、自費診療というものがあるのです。
自由診療とも言いますが、これと保険診療との違いについて、解説します。
保険診療は、国や自治体の健康保険に加入している場合、本人は診療費の1割から3割だけ負担して、残りは健康保険から支払われる診療です。
それに対して、自費診療は全額本人が負担する診療のことをいいます。
美容クリニックなどは、多くの施術が自費診療となっています。
医療目的ではなく、美容目的で美容皮膚科や美容外科の診療を受ける場合は、自費診療となることが多いのです。
それ以外では、人間ドッグや健康診断、労働災害での治療、歯科で新素材の材料を使用して治療するケースなども、自費診療です。
歯を失った際に使用されるインプラントも、ごく一部のケースを除いては保険が適用されません。
それなら、治療を目的とする場合は全て保険が適用される保険診療になるのかといえば、そうとは限りません。
治療目的であっても、保険が適用されず自費診療となることもあるのです。
健康保険が適用される条件は決まっていて、まずは病気やけがで治療が必要かどうかという点です。
しかし、条件はもう1つあって、行われる治療法が国によって保険診療と認められていることも必要なのです。
治療法や薬などは、厚生労働省の承認を得て初めて保険が適用されるようになります。
しかし、承認を得るには長い時間がかかるため、最先端医療や薬などは保険が適用されないことも多く、自費診療になってしまいます。
特に多いのが、抗がん剤です。
最新の抗がん剤などは日本で認可されていないため、保険が適用されません。
それでも、一縷の望みをかけて使用する人は多いのです。
クリニックの自費診療拡大
自費診療を拡大するということは、より多くの治療方法を施すことができるということです。
そうなれば、より多くの患者を獲得できるでしょう。
経営を考えて、自費診療に力を入れているところが増えています。
もちろん、保険診療で賄える範囲の治療であれば保険診療でいいのです。
しかし、いざという時に自費診療の選択肢もあると思えば、患者も安心できるでしょう。
自費診療拡大のためには、基本戦略を押さえておく必要があります。
基本戦略は4Pと呼ばれるもので、Product、Price、Promote、Placeの4つが重要です。
それぞれ、詳しく解説します。
Productは「商品」のことで、他のクリニックと比べて魅力ある内容の施術を提供しているかどうかです。
分かりやすいのは、美容クリニックのメニューでしょう。
脱毛を複数回コースや他の施術とのセットメニューにした場合や、シミ除去のセットメニューなどを他の競合クリニックと比較して、他にはない価値を実現できているかどうかが重要です。
また、部位や回数を単数から複数へと増やしやすいようなメニュー構成になっているかどうかも大切です。
Priceは「価格」で、やはり競合するクリニックと比較して治療内容と価格設定が魅力あるものにできているかどうかが重要です。
単に安くするのではなく、付加価値があれば他のクリニックより高くてもいいのです。
入口商品や出口商品を踏まえて、価格設定をすることも大切です。
入口商品は手に取りやすいものを、出口商品はその価値が分かってもらえるようにすることが大切なので、価格はそれを考慮した上で設定しましょう。
Promoteは「販促」で、どれだけ自院の魅力を伝えることができるかが重要です。
販促には、最低でも売上の3～5％ほどの費用をかけるようにしましょう。
そして、商圏を把握して自院の戦略に沿った商圏内の人に刺さりやすい打ち出し方にすることが大切です。
Placeは「流通」で、患者が訪れやすい状況を作れるかどうかです。
どのような関心を持っているかを考え、興味を引いて予約してもらい、来院するという導線を確保できるか、ということが大切です。
そのためには、どんなキーワードで検索してクリニックを探しているのかを知る必要があります。
そして、自院のホームページをどんな流れで閲覧して、そこから予約して来院に繋げるのかを把握しなくてはいけません。
まとめ
クリニックは、今後自費診療拡大に取り組んで行かなくてはいけません。
どれだけ基本戦略を押さえているかでその差が生まれるため、今回説明した4Pについては 確実に把握しておくべきでしょう。
そうして、クリニックの価値を競合に勝るものとして自費診療拡大に努めましょう。
クリニックが生き残るためには、そこが分かれ目となるのです。
