嘱託医と契約する際のポイントや注意点、流れについて


嘱託医は、一般的に医療機関や行政機関、介護施設などからの依頼により、一定期間診察や治療に従事する医師であり、クリニックにおいては、正規の常勤医とは異なる勤務形態で働く医師を指すことが多いです。
今回は、クリニックが嘱託医と契約する際のポイントや注意点、流れについて詳しく解説します。

目次

嘱託医と契約する際に押さえておきたいポイント

クリニックが嘱託医と契約する際、以下のポイントは必ず押さえておかなければいけません。

・嘱託医の探し方について
・嘱託医の対価について
・契約形態について
・契約書について

嘱託医の探し方について

クリニックが嘱託医を探す方法はいくつかありますが、一般的なのは院長もしくは院内の従業員における人脈で探すという方法です。
例えば、過去常勤医として雇用し、一度退職した医師を嘱託医として再雇用するケースや、従業員が過去に勤務していた別のクリニックから、嘱託医としての勤務を希望する医師をスカウトするケースなどが該当します。
また、その他には、以下の方法も挙げられます。

・医師人材派遣紹介会社に紹介してもらう
・地域の医師会に相談する
・近隣の病院やクリニックなど医療機関に相談する など

嘱託医の対価について

嘱託医は常勤医とは異なる勤務形態の医師ですが、クリニックで働く医師であることに変わりはないため、当然クリニックは対価を支払わなければいけません。
このとき支払われる対価は、雇用契約に基づくものではない場合、あるいは時間的な拘束が存在しない場合を除き、給与扱いになります。
また、給与として対価を支払う場合、クリニックは年末に源泉徴収票を作成し、嘱託医に手渡すことも忘れてはいけません。
一方、嘱託医と業務委託契約を結ぶ場合、対価は給与ではなく報酬という扱いになります。

契約形態について

嘱託医の契約形態には、雇用契約と業務委託契約の2種類があります。
雇用契約は、通常の医師や従業員を雇用するときと同じ方法でクリニックが契約します。
また、雇用契約を交わす際の名目は、契約社員や嘱託社員などが一般的です。
一方、業務委託契約は、クリニックが嘱託医に特定の業務を依頼し、その対価を支払う契約です。
嘱託医には、契約内容を遵守させることができますが、契約内容にない業務に関しては拒否されることもあります。

契約書について

嘱託医と契約を交わすクリニックは、契約書に以下のような項目を明記しなければいけません。

・業務内容
・月の出勤回数や対価、支払日
・交通費など諸経費の取り扱い
・契約期間

特に押さえておきたいのは、契約期間です。
一般的に、雇用契約の嘱託医は1~5年の有期雇用契約にするケースが多いですが、契約期間に関する記載が曖昧だと、基本的には1年で自動更新されます。

嘱託医と契約する場合の注意点

クリニックが嘱託医と契約する際には、契約内容によって注意すべき点が変わってきます。
雇用契約の場合に注意したいのは、期間途中に契約を解除するのが難しいという点です。
嘱託医は基本的に有期雇用ですが、クリニックの経営を続けるのが困難になった場合など、やむを得ない事由がない限り、嘱託医の雇用契約を途中で解除することはできません。
また、雇用契約の場合、常勤医より明らかに給与、手当が低いといった労働条件を設定することは違法です。
一方、業務委託契約の場合は、先ほども少し触れたように、業務内容の一部を拒否されることがある点に注意しましょう。
契約書において、業務内容を明確かつ細かく設定しておかなければ、業務外として断られる可能性があるだけでなく、さらに大きなトラブルに発展する可能性もあります。
そのため、業務内容や働き方については、クリニックにおける現状の課題、希望する対応を共有した上で決定することが大切です。
具体的には、課題解決に向けて必要な時間や頻度を嘱託医とともに考え、双方の認識をすり合わせて契約することが望ましいです。

嘱託医と契約する際の流れ

クリニックが嘱託医と契約を結ぶ場合の一般的な流れは以下の通りです。
ここまでのおさらいも兼ねてご覧ください。

・嘱託医を探す
・契約を締結する

嘱託医を探す

まずは前述した方法のいずれかにより、嘱託医を探すところから始めます。
初めて嘱託医と契約するクリニックは、医師人材紹介会社でアドバイスをもらいながら専任するのが無難です。

契約を締結する

雇用契約なのか、それとも業務委託契約なのかによって、嘱託医の業務内容や勤務日数、対価は異なります。
契約の締結に関しては契約書を取り交わしますが、内容が適切なものかどうか不安がある場合は、日本医師会による契約書の雛型を参考にすることをおすすめします。

まとめ

ここまで、クリニックが嘱託医と契約する際のポイントや注意点、一般的な流れについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
人材不足に悩むクリニックにとって、嘱託医は重宝される存在ですが、契約や対価においては少し複雑なルールがあります。
また、クリニックが望む業務をしっかりと任せることができるよう、契約前には嘱託医としてのスキルや人柄をしっかりと見極めな


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