収入が少なくなったり、後継者がいなかったりするクリニックは、やむを得ず廃業を選択することがあります。
では、クリニックを廃業する際、院長先生はどのようなことをすべきなのでしょうか?
また、廃業時にはさまざまなコストがかかりますが、これらの負担を削減するにはどうすれば良いのでしょうか?
詳しく解説します。
目次
クリニックを廃業する際にやるべきこと3選
クリニックの廃業時、院長先生は必ず以下のことを実施しなければいけません。
・契約内容の確認
・引渡し日の決定
・書類の提出
契約内容の確認
多くのクリニックは、賃貸物件で経営されています。
そのため、クリニックの廃業を決めた後は、まず賃貸借契約の内容を確認しましょう。
通常は、退去の3ヶ月前までに解約の旨を伝えなければいけないことになっています。
よって、賃料が支払えないほどの経営難に陥っていたとしても、早めに解約の旨を伝えないことには、賃料を支払い続ける必要があるため、注意が必要です。
また、クリニックを経営する物件が、定期借家契約で借りている物件の場合、退去するには解約金を支払わなければいけないこともあるため、そちらの点についても確認しておきましょう。
引渡し日の決定
契約内容をチェックし、賃貸契約解約の旨を不動産会社に伝えた後は、その物件の引渡し日を決定します。
通常は、クリニックの営業を終了させてから、2~3ヶ月の間に引渡しをする院長先生が多いです。
ただし、クリニックの多くは、スケルトンの状態で引渡しをしなければいけないため、その分営業終了から引渡しまでの期間は、長めに設定しておくことをおすすめします。
ちなみに、スケルトン物件とは、室内に床、壁、天井、内装などが何もない状態の物件をいい、スケルトン状態にするには、解体工事を行わなければいけません。
書類の提出
クリニックを廃業するにあたっては、必要書類の提出も欠かせません。
廃業時に提出する書類の種類は非常に多く、なおかつ提出期限や提出先もバラバラであるため、遅れが発生しないように注意しましょう。
もし、院長先生自身ですべての必要書類を用意し、提出するのが不安なのであれば、事前に各提出先期間に質問しておくことをおすすめします。
具体的には、必要書類の種類、提出期限、その他の注意事項などについて質問します。
クリニックの廃業にかかる費用の削減方法
クリニックの廃業時には、上記のようなさまざまな手続きが必要なだけでなく、支出も多くなります。
また、費用を削減するための方法としては、M&Aが挙げられます。
こちらは、専門業者やコンサルティング会社に買い手企業を探してもらい、クリニックを譲渡・買収して事業承継を行うというものです。
M&Aを行うことにより、具体的に以下のような費用を削減できます。
・建物の解体費用
・備品の仕入れ費用
・解約金、違約金
建物の解体費用
賃貸物件ではなく、院長先生が所有している建物で経営されるクリニックが廃業する場合、その建物を解体しなければいけません。
建物の解体には最低でも数百万円かかるケースがほとんどのため、経営状況が苦しいクリニックにとっては非常に大きな廃業費用となります。
ただし、クリニックのM&Aでは、建物をそのまま買い手企業に売却することになるため、上記のような莫大な解体費用はかかりません。
備品の仕入れ費用
クリニックが廃業する場合、院内に備品が残ったままになっているケースが多いです。
廃業を検討するクリニックの院長先生は、備品を使い切ってから廃業をしようと計画を立てますが、それまでに経営が立ち行かなくなった場合、これらの備品は廃棄するしかありません。
つまりクリニックを廃業することによって、備品を仕入れるための費用が無駄になってしまうということです。
クリニックのM&Aを行えば、基本的にクリニックに残っている備品は買い手企業に引き継がれるため、仕入れ費用は無駄にはなりません。
こちらは備品だけでなく、クリニックにおける医薬品などの商品にも言えることです。
解約金、違約金
賃貸物件で経営しているクリニックが、廃業時に契約期間を満了していない場合、違約金を支払わなければいけないケースがあります。
また、通常の廃業であれば、電話回線やインターネットなど、クリニック内で契約していたものも解約しなければいけません。
これらの契約の中には、解約金が必要になるものが存在し、廃業する場合は当然クリニックの院長先生が負担します。
クリニックのM&Aを行えば、これらの解約金、違約金も負担する必要がありません。
賃貸物件の違約金は、一度支払わなければいけないケースもありますが、買い手企業への薬局売却によって得た利益でカバーすることができます。
まとめ
ここまで、クリニックを廃業する際にやるべきことや、それに伴って発生する費用の削減方法について解説しました。
廃業という選択肢を選ぶことは簡単ですが、実際何の問題もなくスムーズに完了させるには、事前準備が必要不可欠になります。
また、M&Aなども検討しなければ、廃業に伴う支出が莫大になるおそれもあるため、十分に注意しなければいけません。