クリニックの後継者に向いている人物、向いていない人物


クリニックの開業医は、経営を後継者に託し、引退して別の道に進んだり、クリニックのサポートに回ったりすることがあります。
しかし、このとき後継者に選ぶ人物は誰でも良いのかというと、決してそのようなことはありません。
今回は、クリニックの後継者に向いている人物、向いていない人物の特徴について解説します。

目次

クリニックの後継者に向いている人物の特徴

クリニックの後継者に向いている人物の特徴としては、主に以下のことが挙げられます。

・実務能力がある
・経営能力がある
・リーダーシップがある

実務能力がある

クリニックにおける実務能力は、後継者にとって必要不可欠なものです。
こちらは、簡単にいうと医療の技術や知識、経験のことを指していて、後継者が子などの親族であろうと、第三者であろうと、必ず備えておかなければいけません。
また、実務能力は、承継するクリニックと同じ診療科目、環境のクリニックで業務を行っていた医師の方が発揮しやすくなります。
逆に、例えばこれまで別のクリニックにおいて急性期医療に取り組んできた医師が、急に高齢者の慢性疾患に対応することになるようなケースでは、実務能力が発揮されるまでに時間がかかる可能性があります。

経営能力がある

経営能力がある人物も、当然クリニックの後継者には向いています。
クリニックを含む医療機関の月収は、診療単価×患者数×営業日数で算出されます。
保健医療を提供している限り、診療単価も決められているため、とてもシンプルです。
実際の利益は、そこから検査料や医療材料などの診療原価と、販売管理費を差し引いた金額です。
ただし、発生主義の損益計算書と、支払基金からの現金が動くキャッシュフローには時間差が生じます。
こちらは、患者さんが窓口負担をクレジットカードで決済した場合なども同様です。
このようなクリニックにおける利益の仕組みを正しく理解し、先行きを見通すことができる後継者でなければ、いざ経営者になったときに、資金繰りに苦労する可能性が高いです。
良質な医療を提供しつつ、常に健全な経営状態をキープすることが、経営者に求められる能力だと言えます。

リーダーシップがある

リーダーシップがある人物も、クリニックの後継者としては適しています。
クリニックの従業員は、パート採用の主婦が多く、それぞれが優先すべき家庭の事情を抱えています。
そのため、クリニックの経営者は、診療のみに集中するのではなく、すべての従業員の行動や考えに関心を持ち、チームを良い方向に導かなければいけません。
このときに必要となるのが、従業員を動かすことができるリーダーシップです。
逆に、リーダーシップに欠ける後継者の場合、従業員間のトラブルなどにうまく介入できず、院内の雰囲気や連携性が悪くなってしまう可能性があります。

クリニックの後継者に向いていない人物の特徴

一方で、クリニックの後継者に向いていない人物は、主に以下のような特徴を持っています。

・責任感がない
・探求心がない
・コミュニケーション能力がない

責任感がない

責任感がない人物は、クリニックの後継者に向いていないと言えます。
クリニックを経営するには、経営者としての責任だけでなく、患者さんの命を預かる職業としての責任感も必要になります。
そのため、責任感がない人物がクリニックの経営者になってしまうと、患者さんの命を預かる職業としての責任感がない従業員が育ってしまう危険性があります。
過去にはクリニックが処方する薬を間違えたことによって、患者さんが死亡するという重大な医療事故が発生したケースもあるので、クリニックの開業医は必ず後継者に責任感を芽生えさせなければいけません。

探究心がない

探究心がない人物も、クリニックの後継者には向いていません。
クリニックの経営者になったからといって、そこをゴールと考えているような人物は、今後そのクリニックに良い効果をもたらしにくいと言えます。
経営者になってからがスタートだと考え、そこから従業員の育成やクリニックの売上アップにつながる戦略の実践ができる人物でないと、立ち行かなくなるのは目に見えています。
そのため、クリニックの開業医は後継者を育成する際、経営者になってからが本当のスタートだということを認識させなくてはいけません。

コミュニケーション能力がない

コミュニケーション能力がない人物も、クリニックの後継者には向いていないと言えます。
クリニックは診察や治療を行うだけでなく、患者さんとのコミュニケーションも大事にすることで、売上アップに繋げることが可能です。
ましてや、経営者は患者さんだけでなく、従業員や取引先などさまざまな人物とコミュニケーションを取らなければいけないので、コミュニケーション能力がないと適切な経営はできません。

まとめ

ここまで、クリニックの後継者に向いている人物、向いていない人物の特徴について解説しました。
クリニックの開業医は、自ら選定した後継者における上記の能力が乏しいと感じた場合、徹底的に指導するか、後継者の変更を検討すべきです。
事業承継後、すぐにクリニックが立ち行かなくなってしまうと、長い期間をかけて行った育成が水の泡になってしまいます。


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