開業医の中には、自身のクリニックから身を引いた後、クリニックのサポートに回る方、他の職業に就く方など、さまざまな方がいます。
また、他の職業に就く方の中には、開業医としての経験を活かしたいと考える方が多いです。
今回は、このような考えを持つ開業医におすすめのセカンドキャリアについて解説します。
目次
開業医としての経験を活かしたセカンドキャリア4選
開業医としての経験を活かし、クリニックの一医師とは別の職業に就きたいと考える方は、以下のような選択肢があることを知っておきましょう。
・産業医
・社医
・メディカルドクター
・医系技官
産業医
産業医は、病院やクリニックなどの医療機関ではなく、一般企業に従事する医師です。
その企業で勤務する社員、その家族などを対象に、専門的な立場から指導や助言を行います。
常時50人以上の労働者を使用する事業場では、産業医の配置が義務付けられていて、雇用される場合の業務形態に関しては、会社員と同じ扱いになるケースが多いです。
開業医としての経験を活かし、なおかつクリニック以外で働きたい方にとって、もっともポピュラーな選択肢とも言える産業医は、勤務時間の区切りがしっかりしていたり、休日が定められていたりするため、ライフワークバランスが取りやすく、開業医のときよりはゆったりと余裕を持って働くことができます。
開業医と比べ、収入が下がってしまう可能性は高いですが、やりがいを感じながら働き続けたい方にとっては、とても良い選択肢だと言えます。
社医
社医は、生命保険会社で保険医務に従事する医師です。
業務内容は、産業医・診査業務を担当する場合と、査定・研究業務を担当する場合の2つに分かれます。
産業医・診査業務を担当する場合、前述した産業医と同じく、生命保険会社の職員における健康管理業務を担い、なおかつ生命保険に申し込みを行った顧客に対し、健康状態のチェックを行います。
顧客に対する診査業務の具体的な内容は、問診、視診、聴打診、検尿、血圧測定、心電図検査、採血などであり、一般健康診断の診察程度の内容となります。
また、査定・研究業務を担当する場合、生命保険の引受時の医的リスクの大きさを判断する業務や、公平かつ適正に保険金、給付金を支払う業務、さらには大学や臨床病院と提携し、医療ビッグデータの解析、生命保険分野への活用などを行います。
ちなみに、社医は医師免許があれば従事できる職業ですが、中には臨床試験2年以上などの制限を設けているところもあります。
メディカルドクター
メディカルドクターは、医師として製薬会社に勤める会社員です。
主な業務は新薬開発、市販薬の効果・安全性の計測であり、専門的な用語では臨床開発、市販後安全性評価、メディカルアフェアーズと呼ばれ、メディカルドクターのほぼすべての方が、これら3つの業務のいずれかを専門的に行うか、段階を踏んで複数の業務を経験します。
臨床開発を行うメディカルドクターは、基本的に新薬開発部に属し、臨床試験や治験で得たデータを分析し、医師の視点でレビューを行うことを主な業務とします。
また、安全性評価は、世の中に供給された新薬が安全に使用されているかを調査する仕事です。
また、メディカルアフェアーズは、自社の新薬における他社製品に対する優位性、評価などを行うというものです。
新薬が市販されると、数多くの医師が使用し始めますが、患者さんへの薬効や、使いやすさが今後の売上を大きく左右することから、メディカルドクターは自社の薬がどの程度のシェアを目指せるのか、臨床現場でどのように評価されているのかについて、学術論文をもとに調査します。
ちなみに、メディカルドクターは、外資系の企業と働く機会が多いため、ある程度の語学力が求められるケースも多いですが、勤務時間通りに働くことができることから、人気の高い職種です。
医系技官
医系技官は、国家公務員のうち、医師や歯科医の免許を持つ行政官です。
開業医、医師としての経験を活かしながら、保険医療制度の作成に関わるという珍しい職業であり、医療現場を根本から変えるような取り組みに携わることができます。
厚生労働省が採用の窓口で、国家公務員の採用試験が免除されるなど、通常の官僚は別の採用体系となっているのが特徴で、厚労省の本省や検疫所などの関連機関に加え、内閣官房や文部科学省、国立病院などで勤務する医系技官もいます。
また、世界保健機関(WHO)など、国際機関に派遣されるケースもあり、大きく環境を変えて働きたいという開業医にとっては、魅力的なセカンドキャリアの1つだと言えます。
まとめ
ここまで、開業医としての経験を活かすことができる4つのセカンドキャリアについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
開業医のセカンドキャリアには、他にも非常勤医師や健康診断医などさまざまなものがありますが、ガラッと環境を変えたい、仕事に刺激がほしいという方は、前述した選択肢についても検討してみてください。
そうすることで、希望にピッタリの職業が見つかるかもしれません。