クリニックの工事では、患者様が使用する場所の造りやデザインについて、特にこだわる必要があります。
また、患者様が毎日使用する場所の1つに“ランドリールーム”が挙げられますが、こちらを工事する際には、どのようなポイントを押さえれば良いのでしょうか?
ランドリールームの概要と併せて解説します。
目次
ランドリールームの概要
クリニックにおいては、入院する患者様やその家族が、洗濯に関することをほぼまとめて行える部屋のことをランドリールーム(洗濯室)といいます。
具体的には、洗濯や乾燥ができる部屋であり、基本的には無料で貸し出しを行います。
では次に、ランドリールームの工事におけるポイントを見ていきましょう。
設置場所について
ランドリールームを設ける場所として適しているのは、浴室から近い場所、そして直接病室にアクセスできる場所です。
もっとも理想的なのは、ランドリールームから直接浴室、病室の両方に出入りできるような間取りにすることです。
こうすることで、患者様は入浴時に出た洗濯物をすぐ洗濯、乾燥させ、浴室から出た後、病室に持っていくことができます。
部屋干しスペースについて
スペースに余裕がある場合、ランドリールームには、部屋干しスペースも作っておくべきです。
乾燥機が埋まっている場合でも、ランドリールーム内に部屋干しスペースがあれば、患者様やその家族は、洗濯に関するすべての作業を一室で完結させることができます。
ちなみに、便利な部屋干し設備としては、リモコンで操作できる部屋干しユニットが挙げられますが、ランドリールームはあくまで洗濯に関する作業を行う部屋であるため、無理にこちらを設置する必要はありません。
収納スペースについて
ランドリールームには、洗濯機や乾燥機の上に収納スペースも設けておくべきです。
具体的には、洗濯機や乾燥機の上部、あるいはその付近に設けるカウンターの下などに、できるだけ多くのスペースを設けておくことをおすすめします。
こちらは、患者様が洗濯物を一時的に置く際などに便利です。
また、患者様が使用するための洗濯用洗剤や柔軟剤、ハンガーやランドリーバスケットなどについても、一通り揃えておきましょう。
アイロン、畳むスペースについて
こちらもスペースがある場合の話にはなりますが、ランドリールームには洗濯物にアイロンをかけるスペース、洗濯物を畳むスペースも設けておくべきです。
先ほど、カウンターの下に収納スペースを設けるべきと解説しましたが、そのカウンターはアイロンがけや、洗濯物を畳む作業に使用することもできます。
また、アイロン台は耐熱のものでなければいけないため、できれば畳むスペースとは別に設けることをおすすめします。
分けると場所を取ってしまうのであれば、折り畳みタイプあるいは引き出しタイプのアイロン台を設置しましょう。
クリニックのランドリールームにおけるデザインのコツ
利便性だけでなく、デザイン性も兼ね備えたランドリールームにしたいという場合は、まず色を統一すべきです。
具体的には、洗濯機や乾燥機、カウンターや収納スペース、そちらに収納する洗剤や柔軟剤などを、すべて同系色にします。
こうすることで、ランドリールームに必要な清潔感が生まれますし、たとえ物が多かったとしても、比較的スッキリした印象を与えることができます。
クリニックのランドリールームの工事費用について
クリニックのランドリールームの工事にかかる費用の目安は以下の通りです。
ちなみに、以下の金額には洗濯機、乾燥機の購入費用などは含まれていません。
・養生費(養生テープ、エコフルボードなど):5,000円前後
・材料費(床束、野材、合板など):20,000円前後
・商品代(片引き戸、物干し竿など):50,000円前後
・大工工事費:(床下地組、合板張り):75,000円程度
・電気工事費(配線移設など):15,000円程度
・内装工事費:50,000円程度
・廃材処分費(運搬費含む):20,000円程度
つまり、クリニックの建築費用とは別に数十万円を用意しておけば、患者様に満足してもらえる、理想通りのランドリールームが作れる可能性が高いということです。
クリニックのランドリールームを工事する際の注意点
クリニックのランドリールームを工事する際は、必要以上に規模を大きくしないように注意してください。
なぜなら、今後診療科目が変更になったり、病床を撤去したりした場合に、洗濯物の量が少なくなり、広すぎるランドリールームが無駄なスペースになってしまう可能性があるからです。
洗濯物が多いクリニックでは、広いランドリールームにメリットを感じるかもしれませんが、それだけを考慮して設計してはいけません。
まとめ
ここまで、クリニックにおけるランドリールームの工事について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
入院患者を受け入れる予定のあるクリニックにおいて、ランドリールームは必須の設備だと言えます。
ただし、闇雲に広いランドリールームを設置しようとするのではなく、あくまで使い勝手にこだわって設計することが大切です。