売り出し中の物件には、必ず宣伝文句が付いています。
こちらは、郵便受けに投函されたチラシ、不動産会社の店頭に貼られた広告などに記載されたものです。
また、開業医が引退後、不動産をうまく売却したいのであれば、宣伝文句にひと手間加える必要があります。
今回は、具体的にどう工夫すべきなのかを中心に解説します。
目次
不動産売却時に有効な宣伝文句とは?
売り出し中の不動産における魅力的な宣伝文句とは、ずばり購入希望者の心にピンポイントで刺さるものです。
不動産を購入しようとする方が魅力を感じるポイントは、住みやすさや広さ、周辺環境など、人によってさまざまです。
このとき、ターゲットをより絞った宣伝文句を付けることで、いずれかの購入希望者に刺さる可能性は高くなります。
例えば、最寄り駅がとても近い物件を売り出すケースで考えてみます。
このとき、「最寄り駅まで徒歩1分」という宣伝文句を付ければ、駅チカであることを重視した方にアピールすることはできますが、ターゲットを絞ることはできません。
一方、「忙しい1人暮らしの新社会人に朗報!徒歩1分圏内に最寄り駅があるお家」という宣伝文句が付いていればどうでしょうか?
こちらの場合、明らかに後者の方がターゲットを絞れていますし、こだわりを感じられます。
つまり、広く浅いターゲットに向けた宣伝文句よりも、狭く深い方が魅力は伝わりやすいということです。
宣伝文句を付ける流れについて
これからまさに開業医を引退し、所有する不動産を売り出そうとする方は、不動産会社の担当者と協力し、魅力的な宣伝文句を付けます。
また、すでに宣伝文句を付け、物件を売り出しているという方は、一度見直しをしてみましょう。
そのためには、まず不動産会社に相談し、現在の宣伝文句を考えているのは誰なのかを知る必要があります。
売り出し中の不動産における宣伝文句は、通常その物件の売却活動を行う担当者が考案し、決定しています。
しかし、担当者には複数の物件を担当している方も多く、あまり魅力的な宣伝文句が付いてないことも考えられます。
そのような場合は、事実を担当者に伝え、売主が協力して魅力的なフレーズを再び考えることが大切です。
ターゲットの再確認も重要
すでに売り出している物件の宣伝文句を変えるのであれば、ターゲットの再確認も必ず行いましょう。
例えば、駅チカという大きな魅力を持っているにも関わらず、ファミリー向けという部分を全面に押し出しているような宣伝文句になっている場合は、少しもったいないと言えます。
なぜなら、駅チカということをもっとアピールしないと、ターゲットは駅チカ希望のファミリー層から、ただのファミリー層へと広がってしまうからです。
また、不動産を売り出すエリアの特徴に合わせて、ターゲットを絞り込むという作業も重要です。
例えば、1人暮らしの方が多いエリアで、ファミリー層に猛アピールするのは効率が悪いです。
上記のような作業を行っていくことで、絞るべきターゲットはおのずと限定されてきます。
ライバル物件の宣伝文句もチェックしよう
どれほど担当者と協力し、時間をかけて考案したフレーズであっても、ライバル物件と内容が被っていては、伝えられる魅力は半減してしまいます。
そのため、いざ掲載する前に、条件が似ている物件の宣伝文句はチェックしておきましょう。
ただし、被らないように注意するとはいっても、不動産の宣伝文句は一般的に1行あるいは2行であるため、完全な差別化を図るのは難しいかもしれません。
もし差別化がうまく図れないのであれば、思い切って3行に分けてみたり、独特の言い回しをしてみたりと、ターゲットの目に留まりやすい内容にすることを心掛けましょう。
宣伝文句を付けるときの注意点
不動産に付ける宣伝文句は、どのような表現を用いても良いわけではありません。
中には、使用してはいけない言葉もあります。
詳しくすべての規制について解説すると長くなってしまうため、ここからは“不動産の表示に関する公正競争規約”において、禁止されている表現を見ていきましょう。
・他社や他の物件よりも優位に立つことを意味する言葉
例:抜群、日本一、日本初、業界一、当社だけ など(他社の実績、エリア全体の取引実績等を客観的な調査手法で実証していれば使用OK)
・一定の基準により選別されたことを意味する言葉
例:特選、厳選など(実際に一定の基準により選別されたことを示していればOK)
・全く欠けるところがないことを意味する言葉
例:絶対、万全、完全、完璧 など
・著しく人気が高く、売れ行きが良いという印象を与える言葉
例:完売など
・最上級を意味する言葉
例:最高、最高級、極、特級 など
・著しく安いという印象を与える言葉
例:お買い得、掘り出し物、破格、格安、激安 など
まとめ
開業医を引退後、初めて不動産を売り出す方の中には、「物件の状態が良ければ、自然と買い手は付く」と考えている方もいるかと思います。
しかし、その考えは決して正しいとは言えません。
もちろん、状態が良ければ買い手が付きやすいのは確かですが、特にライバル物件が多いエリアの場合、より良い宣伝文句を付けなければ、いつまでも取り残されてしまうことも考えられます。