天井をどのような材料にするかは、そのクリニックの雰囲気を左右する大きなポイントです。
そのため、これから開業、建築を控える開業医の方は、自身がどのようなテーマのクリニックを作りたいのか整理し、そのテーマに合った材料を選ぶ必要があります。
今回は、各テーマに合った天井の材料やデザインについて解説します。
目次
癒し
癒しを求めたクリニックにするのであれば、天井には無垢材を使用するべきです。
優しい色合いと綺麗な木目は、見ているだけで心が癒されます。
また、和風の天井であれば、神社や寺などで使用される格天井がおすすめです。
格天井は、もっとも格式高い天井様式と言われていて、正方形もしくは八角形の区画を、石組みや漆喰、木材によって分割するものです。
和風
和風をテーマにクリニックを作り上げていくのであれば、網代柄のクロスを天井に採用することをおすすめします。
網代とは、木や竹、草などの植物を細く薄く加工したものを材料とし、縦横交互に編んだものをいい、このようなデザインのクロスを採用するだけで、建物内における雰囲気はグッと良くなります。
また、和の雰囲気を採り入れたいのであれば、木毛セメント板もおすすめです。
こちらは、リボン状に細長く削り出した木材を、セメントペーストで圧縮成型した建材で、採用することにより、建物全体が落ち着きのある空間となります。
モダン
モダンをテーマにしたクリニックにするのであれば、天井には白、あるいは黒を入れるようにしましょう。
例えば、白と黒の組み合わせにより、市松模様に仕上げることで、シンプルながらもモダンでオシャレな天井が完成します。
また、天井の白いクロスに少し模様を加えるだけでも、モダンな雰囲気は演出できます。
具体的には、円が幾何学的に並んだ上品で落ち着きのあるクロスを採用するといった方法です。
あるいは、直線のラインに凹凸がついているような天然材を使用することでも、デザイン性の高さとシックなイメージを兼ね備えたクリニックをつくることができます。
色はシンプルな黒がおすすめです。
レトロ
クリニックのテーマとしてレトロを掲げるのであれば、やはりどこかノスタルジックな思いにさせる天井に仕上げるべきです。
例えば、四角形と花びら模様が幾何学的に並んでいるような白いクロスは、レトロな雰囲気とわずかなゴージャス感を演出してくれます。
また、縦縞と横縞が交互に並ぶクロスにも、同じような懐かしさがありますし、シンプルながら落ち着きのあるデザインは、患者さんがある程度の時間を過ごす待合室にピッタリです。
北欧風
北欧風のクリニックを作るのであれば、天井には白系の材料を用いましょう。
特におすすめなのが、床材のようにストライプの目地が入っているものです。
こちらとあわせて、壁や床をすべて同系色にすることで、統一感と清潔感、そして北欧のホテルのような雰囲気を醸し出すことができます。
ちなみに、ベージュやブラウンなどの色合いでも、まるでヨーロッパの建物のようなスタイリッシュな雰囲気を演出できます。
高級感
全体的に高級感を重視したクリニックを作りたいという方は、まず天井や壁、床の色を7割ほど統一することから始めましょう。
また、天井自体に高級感を出したい場合は、折り上げ天井の採用をおすすめします。
こちらは、天井の中央部分を周囲より1段高く取った天井をいい、一般的な住宅では、主にリビングや玄関などのリノベーションに用いられます。
折り上げ天井を採用すれば、クリニックの各部屋に奥行きと開放感が生まれ、こちらが高級感にも繋がります。
ちなみに、折り上げ部分の色や素材を変えたり、化粧梁を取り付けたりすることによって、部屋にメリハリも生まれます。
ビンテージ
クリニック全体にビンテージ感を出したいという方におすすめの天井材は、なんといっても足場板です。
足場板とは、主に工事現場で作業する際の作業板のことを指し、作業員の体重を支える必要があるため、高い強度が求められます。
また、ある程度使用された足場板は、天井材として活用することも可能です。
ペンキや錆びの跡、割れ、反りなどには味わいを感じられるため、裸電球などのアイテムとあわせることで、立派なビンテージクリニックが出来上がります。
他院との差別化を求める開業医の方には特におすすめです。
機能性
とにかく機能性が高いクリニックにしたいという場合は、天井材にも機能性に優れているものを採用しましょう。
具体的には、消臭・抗菌などの機能を持ったものや、湿度が上がると湿気を吸収し、乾燥すると放出する調湿機能を付加したもの、ホルムアルデヒドの吸着や分解が可能なものなどが挙げられます。
まとめ
ここまで、各テーマに合ったクリニックの天井における材料、デザインについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
どのようなテーマのクリニックにするのかについては、開業医の方の好みやセンス、開業エリアや患者様の年齢層、診療科目などから総合的に勘案してください。
そうすることで、集患力が高く、なおかつ開業医の方にとって愛着のあるクリニックが誕生します。