クリニックの工事の中でも、床の工事は非常に奥が深いです。
また、床の工事をすると口で言うのは簡単ですが、その際はさまざまなポイントを意識しなければいけません。
今回は、これからクリニックを開業する方に向けて、床工事の重要な4つのポイントについて解説したいと思います。
目次
素材
クリニックの床工事における1つ目のポイントは、使用する素材です。
どのような素材を使うかによって、当然手触りや雰囲気、機能性は変わってきます。
また、クリニックの床に使われる素材としては、主にビニール床シート、ビニール床タイル、ラバータイル、タイルカーペットなどが挙げられますが、もっともポピュラーなのはやはりビニール床シートです。
こちらは耐薬品性、耐摩擦性、防汚効果、衝撃吸収等に優れています。
また、ビニール床タイルはメンテナンスがしやすく、ラバータイルは厚手で弾力があるため、水に濡れても滑りにくいというメリットがあります。
タイルカーペットについては、汚れた部分だけの交換など、手軽に部分的な交換がしやすく、管理エリアで採り入れられることが多いです。
デザイン
クリニックの床工事における2つ目のポイントとしては、デザインが挙げられます。
例えば、床が明るめのデザインであれば、室内はスッキリと清潔感のあるイメージになりますし、逆に暗めのデザインの場合は、シックでアダルティな雰囲気を醸し出すことができます。
具体的には、アイボリーやホワイトウォールナットが明るい白系、黒や焦げ茶、ビターウォールナットが暗い黒系、オークやメープルなどがその中間色と位置付けられています。
ちなみに、中間色の床材を使用すれば、クリニック全体を温かみのある雰囲気にすることができます。
張り方
床の工事における3つ目のポイントは、床材の張り方です。
これから初めてクリニックの工事をする方は、床の張り方と言われても、あまりピンと来ないかもしれませんが、こちらは必ず押さえておくべきです。
クリニックの床は、大きな1枚の素材でできているわけではありません。
複数の素材を張り巡らすことで完成します。
そのため、素材やデザインがイメージ通りであっても、張り方を間違えると、想像していた床が完成しないことも考えられるのです。
また、主な床の張り方としては、以下の4つが挙げられます。
・定尺張り
・乱尺張り
・斜め張り
・市松張り
・ヘリンボーン張り
同じ寸法の素材を、一定の長さで交互にずらして張る方法を定尺張りといいます。
こちらは、とてもシンプルかつポピュラーな方法で、まとまりのあるナチュラルな床を作るのに適しています。
また、長さの異なる素材を、一定方向に向かって張る方法を乱尺張りといいます。
こちらも、床の張り方としては非常にポピュラーです。
定尺張りと比べて床の個性が出やすい張り方で、同じ長さの素材を揃える必要がないため、余りが出にくく、コストカットに繋がりやすいというメリットがあります。
斜め張りは、文字通り、素材を斜めに張り付ける方法をいいます。
簡単な方法で、オシャレな雰囲気を演出したいという方におすすめの方法です。
ただし、前述した2つの張り方と比べると、素材が余りやすいため、材料費は高くなりがちです。
市松張りは、隣の素材との向きを90度変えて張っていく方法です。
かつては、小学校の床などでも多く採用されていた貼り方であり、少しレトロな雰囲気を味わうことができます。
そして、“く”の字に素材を組み合わせて張っていく方法をヘリンボーン張りといいます。
日本語では、矢羽張りとも呼ばれます。
クラシックで上品な印象を演出できる張り方で、近年は住宅の床工事などにおいても注目が集まっています。
機能性
クリニックの床工事における4つ目のポイントは、床材が持つ機能性です。
どれだけオシャレで、どれだけ自分の好みに合っている床であっても、機能性が低ければ、患者さんに快適な環境を提供することはできません。
特に注目していただきたい機能性は、以下の3つです。
・防水性
・防音性
・耐久性
例えば、水に濡れやすい出入口付近の床には、防水性または撥水性の高い素材を使用することをおすすめします。
具体的には、ラバータイルやクッションフロアなどが挙げられます。
また、近隣環境によっては、防音性の高い素材(カーペット、コルクマットなど)を設置することも考えなければいけません。
ちなみに、床に必要な機能性は、診療科目によっても変わってきます。
例えば、内科はインフルエンザなどの感染症流行の時期、感染した患者さんが多く来院するため、抗菌、抗ウイルス性能のある床材を採用することをおすすめします。
その他、小児科では、お子さんへの安全対策として、発泡層付きのビニール床シートなど、衝撃吸収性に優れた素材を採用すべきです。
まとめ
ここまで、クリニックの床工事における4つのポイントを見てきましたが、いかがでしたでしょうか?
今後クリニックを開業する方は、前述した4つのポイントを加味して、どのような素材を採用するのか、どのように床工事を進めるかについて検討してください。
また、言うまでもありませんが、事前に算出した予算内に抑えることも大切です。