開業医が従業員の退職金を支払う際に心掛けること


開業医は、そのクリニックに勤務する従業員に対して、退職金を支払うことがあります。
ただ、これまで勤務医として、クリニックや病院に勤務する側だった開業医の中は、退職金制度について、イマイチ理解していない方もいるかもしれません。
ここからは、開業医が従業員の退職金を支払う際に心掛けることについて解説します。

目次

開業医は必ず退職金制度を採用しなければいけないのか?

開業医が退職金制度を採用し、従業員に退職金を支払うということは、決して義務付けられていることではありません。
つまり、退職金を支払うかどうかは、開業医が自由に決定して構わないということです。
ただ、就業規則等の規定において、退職金の支給条件を明確に定めている場合は、当然支払わなければいけません。
また、開業医から従業員に対して支払われる退職金は、“賃金”という扱いになり、支払いの際には、“賃金支払いの5原則”に則る必要があります。

“賃金支払いの5原則”って何?

賃金支払いの5原則とは、労働基準法で定められる、賃金の支払いに関する5つの原則のことを言います。
具体的には、以下の5つの原則です。

①通貨払いの原則
賃金は通貨(国内で強制的に通用する貨幣)で支払う必要があるという原則です。
外貨や小切手、現物給与などは、換金の不便さや価格変動リスクがあるため、通貨としては認められません。
ただ、従業員の合意があれば、通貨払いの原則の例外が認められることもあります。
また、退職金の場合、これも従業員の合意があるときに限りますが、金融機関が振出した金融機関を支払人とする小切手などを、支払いに充てることも可能です。

②直接払いの原則
賃金は労働者(従業員)に直接支払う必要があるという原則です。
そのため、たとえ支払い相手が従業員の親権者や法定代理人などがであっても、基本的には違反になります。

③全額払いの原則
賃金は、その全額を支払う必要があるという原則です。
法令に基づく控除以外は、基本的に賃金から差し引いてはいけません。

④毎月1回以上払いの原則
⑤一定期日払いの原則
上記は、月1以上、毎月一定の期日に賃金を支払うという原則ですが、開業医から従業員に支払う退職金は臨時に支払うもののため、この原則は当てはまりません。

まとめ

ここまで、開業医が従業員に退職金を支払う際に心掛けることを解説しましたが、いかがでしたか?
開業医が従業員に支払う退職金に関しては、他にもまだまだたくさんルールがあります。
また、退職金制度を採用する場合、計画的に積立をしておかないと、支払いが困難になってしまう可能性もあるため、早めに準備しておきましょう。


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