クリニックでは、スタッフの質がクリニック全体の評価に関わってきます。
そのため、スタッフ研修には力を入れることも多いでしょう。
その中で、最近注目されているのがスタッフ個々の研修である、OJT研修です。
これがどのような研修で、どんなメリットがあるのかを解説します。
目次
OJT研修とは?
近年、多くの企業で行われるようになった研修としてOJT研修があります。
クリニックでも行われることが増えていますが、まだ行っていないクリニックではどんなものかを知らないかもしれません。
これはどのような研修なのでしょうか?
OJTは、「On The Job Training」の頭文字を繋げたものです。
実際の業務を通じて行われる研修で、研修を受ける新人に先輩社員や上司が担当者として個々に付き、実際に仕事をしながらやり方を教えていくというものです。
基本的なやり方は、第一次世界大戦でアメリカ軍が兵士に行っていた方法で、日本でも1950年から1970年にかけて輸入されていて、その後の社員教育で活用されています。
やり方は、主に4段階に分かれています。
まずは指導者側がやって見せて、どのように考えてそれを行ったのかを説明して、本人にもやらせてみて、内容の確認をして不足している部分は追加で指導するというのが、基本的な手順です。
日本で広く知られるようになった頃の社員教育はPlan、Do、Check、ActのPDCAサイクルに基づいて行われていて、OJTは基本的な社員研修の1つという位置づけになりました。
その後、企業内研修はどう行うべきかあり方を見直されたのに伴って、OJTも重視するポイントや目的などが改良されました。
例えば、OJTから発展した教育応報として、OJDというものもあります。
これは、中長期的な指導に伴って、将来必要となる能力を開発していくことです。
即戦力を育てていくOJTに対して、より経営戦略に基づいて行われるのがOJDです。
OJTのメリットはいくつかあり、まずは授業のような詰め込み式ではなく個別指導なので、個人に合わせて教育できるという点があります。
内容やスピードなどは、それぞれに合わせて行っていくことができるのです。
また、教える側のスキルアップにもつながります。
より分かりやすく教えていこうと考えることで、業務に対する自分の理解も深くなっていき指導力も身に着けることができるのです。
職場内での人間関係を築きやすいのも、メリットです。
判らないことを積極的に質問できるようにして、教える側も分からないことを頻繁に確認するため、徐々に信頼関係や協調性が生じてきて人間関係を構築できるでしょう。
また、研修で外部から講師を招いたり、外注で研修を行ったりする場合はコストが発生するのですが、OJTの場合は業務内で研修を行うためコストは特に発生しないのもメリットです。
業務時間内に行われるため、残業代などの追加コストも発生しません。
OJT教育を行うには?
実際にOJT教育を行う場合は、どのようにして行われるのでしょうか?
マンツーマンでの指導となるため、まずはそれに必要なことから考えてみましょう。
必要なことは、主に4つあります。
まず、どのように育成していくかの育成計画を立てて、目標を設定します。
この時は、1人だけで考えるのではなく他のスタッフと協力して考えてもいいでしょう。
出来れば、将来的に身に着けて欲しい技術まで含めて考えましょう。
計画を立てたら、相手に合わせて分かりやすく指導していくティーチングを行います。
自分が教えたいことではなく、相手に分かりやすく伝えることを第一に考えます。
また、出来て当たり前と思わずに出来たら褒めるようにしましょう。
報連相についても、必ず行いましょう。
指示をして終わりではなく、進捗確認などは随時行うべきです。
そして、修正が必要な点があればアドバイスをしましょう。
相手に成長が見られた場合は、さらに高度な業務にもチャレンジさせてみましょう。
また、ミスをした場合は注意しなくてはいけませんが、その後は必ずフォローアップすることを心掛けてください。
効果を高めるには、フィードバックをこまめに、タイミングよく行いましょう。
始めて任せた仕事などは、どういった点が良かったか、どこを改善するべきかをなるべく早く伝えてください。
また、自分の成功体験に基づいたフィードバックには注意してください。
自分ができたからには、出来ないわけがないと思いこんで同じようにやらせようとしても、状況が異なる以上は失敗する可能性があるのです。
時には、1対1で面接を行うことで、相手のことをより理解しようとするのもいいでしょう。
その際は、相手のストレスをチェックしてそれを緩和するようケアしたりしながら、より詳しく理解するようにしてください。
まとめ
OJT研修は、個々に合わせて実践的な教育を施すことで、即戦力を育て上げる研修です。
特に、大規模な研修を行うのが難しいクリニックなどの少人数の職場では、スタッフ教育に向いている方法でしょう。
いきなり業務を担当させるのではなく、必ず先輩スタッフなどがフォローできるようにして行いましょう。
そうすることで、実践的に業務を学ぶことができます。