美容看護師と病棟看護師の違いは?仕事内容や向いている人を徹底解説

一般病棟で勤める看護師から、美容クリニックで従事する美容看護師に転職する方は少なくありません。病棟で働く看護師の中には、美容看護師にキャリアチェンジすることを検討しているけれど、病棟の看護師と美容看護師に求められる役割の違いについて、不明な点が多いという方もいるでしょう。

そこで今回は、働き方や業務内容の違い、美容看護師に向いている人の特徴について紹介します。

美容看護師と看護師の違いは?


美容看護師と看護師では何が違うのか、「働き方」「業務内容」「給与面」「メンタル面」の4つの観点から解説します。

1.働き方

まず、勤務先に違いがあります。美容看護師は美容に関するクリニック、看護師は病棟です。そして、働き方も異なります。看護師は夜勤がありますが、美容クリニックは夜勤がほとんどなく、残業も少ない傾向にあります。そのため、定時で帰宅できることが多いです。

ただし、一部の美容外科では、手術などで夜勤や残業が発生するケースもあります。

2.業務内容

看護師は、医師の診断にもとづき、治療の補助を行うのが主な業務です。医師の指示に従って患者様の血圧や脈拍を測定します。また、患者様の状態に応じて看護計画を作成して、計画書に従って看護します。

美容看護師の職場は美容外科を主に提供する美容クリニックか、美容皮膚科を主に提供する美容クリニックに分かれます。(※)美容外科の美容看護師はオペ介助や診療補助、さらに術後ケアなどを中心として担うことが多く、美容皮膚科の美容看護師はレーザー照射や注射などの施術を自ら行うことが多々あります。

どちらの職場にも共通している仕事としては、電話受付や予約管理などの事務、患者様のカウンセリングなどがあります。

もちろん、看護師と美容看護師で共通する業務もあります。例えば、注射や採血など、医療分野の業務はどちらの看護師も行います。

美容皮膚科の看護師の仕事内容については、下記の記事でも詳しく解説しています。
美容看護師ってどんな仕事?仕事内容や働くメリット、デメリットを解説

※美容外科と美容皮膚科のどちらも提供する美容クリニックもあります。

3.給料面

美容看護師の平均年収は約400〜450万円、月収に換算すると約30〜40万円といわれており、夜勤を含む看護師の年収と同じ水準です。

病院看護師の場合、手当やボーナスが多い傾向にあります。一方、美容看護師は月収が高いものの、ボーナスが少ないのが特徴です。

夜勤や残業が少ない美容看護師が看護師と変わらない給与を支給される理由は、美容クリニックが自由診療であることが関係しています。

自由診療の費用は美容クリニックが設定しているため、利益に応じて美容診療代の給与に反映されます。そのため、美容クリニックでは売上目標を設定していることが多いです。達成した場合にはインセンティブが出る美容クリニックもあります。そのため、看護師と比べて夜勤や残業が少なくても給与水準が高いと考えられます。

さらに看護師と大きく異なる給与体系のひとつとして、美容看護師には「指名料」というものがあります。指名料とは患者様から指名を受けた場合に発生する追加報酬のことで、指名された美容看護師の給料に反映されます。

マナーや接遇が重視されることの多い美容クリニックで、追加の指名料を支払ってでも看護師を指名できる点は、患者様にとってもプラスとなります。

一般的な病院にはない指名料制度ですが、努力や頑張りが直接給料に反映される点がメリットです。

美容看護師の年収については、下記の記事でも詳しく解説しています。
美容看護師(ナース)の年収が高い4つの理由!働き方や給与の仕組みを徹底解説

4.メンタル面

病棟で働く看護師の中には患者様の生死に直面し、精神的に疲弊してしまった方もいるのではないでしょうか。一方で、美容クリニックは患者様のコンプレックスに向き合うため、生命に関わることは基本的にありません。ただし、患者様と1対1で接する時間が増えます。個人差はありますが、人と関わるのが苦手な方はストレスを感じてしまう可能性があります。

美容看護師の勤務先

美容看護師の職場は主に、美容外科と美容皮膚科の2つです。

美容外科

美容外科では、顔や体の形を整える美容を目的とした施術や外科手術を行います。ヒアルロン酸の注入をはじめとしたプチ整形などもありますが、脂肪吸引、豊胸手術などがメインです。

美容皮膚科

美容皮膚科では、美容を目的としたメスを使用しない施術を行います。美容を目的とした薬の処方やレーザー脱毛、シミ取り、たるみ改善など、表面的な施術がメインです。

美容看護師の勤務形態

美容看護師は給料や待遇面から看護師の転職先として人気があり、求人数も多くあります。正社員だけでなくパートやアルバイトなど多様な勤務形態があるため、いきなり正社員で働くことに不安がある方も安心です。

パートやアルバイトの場合も一般的な病院やクリニックに比べて、時給が500円から1,000円ほど高く設定されています。正社員以外の勤務形態でも努力次第では報奨金や歩合給が加算されることがあるため、やりがいにもつながりやすいです。

美容看護師として働くイメージを掴むために、まずは実際の求人を見てみることをおすすめします。美容看護師の求人を多数取り扱っている美容看護師(ナース)専門の転職エージェント「ビナラボ」では、さまざまな勤務形態の求人を比較することが可能です。

美容看護師に求められるスキル

美容看護師に求められるスキルも、一般病棟の看護師とは異なります。美容看護師になるにはどのようなスキルを磨くべきなのか、美容外科、美容皮膚科、そして共通する部分に分けてみていきましょう。

美容外科

先述のように、美容外科は外科手術がメインです。美容看護師は、外科処置の補助や手術の介助(手術の準備から術後の管理など)を担うことから、これらのスキルが求められます。手術では、医師との連携が必須になるためです。

そのため、一般病棟でも外科処置の補助などの経験があると、経験者として歓迎されます。さらに、美容外科の美容看護師として求められるのが、術後に患者様をケアするスキルです。術後に適切なケアができるよう、経過観察などの術後管理のスキルが重視されます。

美容皮膚科

美容皮膚科では、しわやシミの除去といったエイジングや脱毛に、レーザー治療が取り入れられています。レーザー治療による施術は美容看護師が担うため、レーザー機器を取り扱える知識や操作するスキルが必要です。

このようなレーザー治療の知識やスキルは、研修で習得できるようにしているクリニックも多いため、サポートがあるか確認しておくと良いでしょう。

また、レーザー治療で最先端の技術や機器を導入している美容皮膚科も多くみられます。対応していくためには、常に新しい知識や情報を取り入れていく姿勢も必要です。

美容外科・美容皮膚科(共通)

美容クリニックは自由診療がメインであるため、患者様に満足してもらえることが重要です。患者様に対する丁寧な接客、安心感を持たせるコミュニケーション力が求められます。

さらに、相談から契約まで進めるために、患者様が何を求めているか的確に把握することも必要です。患者様が安心して希望の治療を受けられるようにするために、カウンセリングスキルも求められます。

美容クリニックでは、契約成立がインセンティブとして給与に反映されることもありますので、収入を向上させるためにも重視しておきたいポイントです。

また、必須ではありませんが、美容看護師として働くには美容医療への興味関心の高さや美容系の資格が役立つこともあります。

美容看護師に求められるスキルについては、こちらの記事も参考になります。
美容看護師(ナース)になるには?必要な資格・経験と身に付けておきたいスキル

病棟看護師から美容看護師になるメリット・デメリット

転職活動を行う前に、病棟看護師から美容看護師になった場合のメリットとデメリットを把握しておきましょう。

ここでは、美容看護師に転職するメリット、デメリットについて解説します。

メリット

美容看護師になると、下記についてメリットを感じる方が多くいます。

・ワークライフバランスが整う
・夜勤がなく、給与が高め
・精神的、体力的な負担が軽減される
・ネイルや髪型が自由で自分自身もきれいになれる
・社割などの福利厚生を利用できる

美容看護師の給与は約500〜600万円といわれており、日勤のみで病棟看護師と同等の給与を受け取れるため、高い給与水準であるといえます。

多くのクリニックが予約制を導入しており、残業が少なく、休暇も取りやすい環境です。
また、美容看護師は美を追求する患者様と接し、命に関わる仕事ではないため、精神的にも体力的にも負担が軽減されます。

仕事を通じて美容に関する知識や施術を習得しながら、自身の美しさも維持できることがメリットです。

デメリット

一方で美容看護師になると、下記のようなデメリットを感じる場合があります。

・病棟勤務への再就職はハードルが高くなる
・接客、営業スキルが求められる
・病棟勤務で得られる技術や知識が停滞する可能性がある
・業績に対する意識が必要になる

美容クリニックに転職すると夜勤や急変の対応から離れるため、再度看護経験を積みたいと感じても病棟勤務に戻りにくく感じるかもしれません。また、美容看護師の経験が臨床経験として認められないケースもあり、ブランクになる点も注意が必要です。

また、高収入を目指すには、業績目標を達成し、その分をインセンティブや賞与として還元してもらう必要があります。そのため、業績を意識しながら働くことも求められます。

【美容看護師と看護師】それぞれに向いている人の特徴とは

ここまで、美容看護師と看護師の違い、美容看護師の特徴について説明してきましたが、どちらがより自分に合っているといえるのでしょうか。美容看護師に向いている人と看護師に向いている人、それぞれの特徴を紹介します。職場選びの参考にしてみてください。

美容看護師に向いている人

美容看護師は、さまざまな美容情報が集まる環境下で仕事をします。美容への関心が高く、働きながら美容に関する専門知識を身に付けたい方に向いた仕事です。

美容医療は日々進歩しているため、最新の医療機器や医療技術に触れる機会も多くあります。それらの最新の技術に対応するためには、日々新しい技術や知識を吸収することは欠かせません。そのため、最新の医療機器や美容知識を活かす「適応力」や「向上心」がある方も美容看護師に向いているといえるでしょう。

また、基本的に夜勤や残業がない職場であるため、規則正しく働きたい方にも向いています。

美容クリニックのほとんどは完全予約制であるため、突発的な残業は発生しづらいです。そのため仕事の後にも予定を入れやすく、自分の時間や家族との時間を大切にできます。以上のことから、美容看護師はワークライフバランスを重視したい方にも向いているといえます。

さらに、美容看護師は、カウンセリングなどで患者様と向きあう機会が多くなります。人と関わることが好きな方や、チームでの目標達成にやりがいを感じられる方は美容看護師向きです。

美容看護師の適性が気になる方は、下記の記事も参考にしてください。
美容看護師(ナース)に向いている人・向いていない人の特徴を徹底解説!

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看護師に向いている人

看護師の勤務先は、病気などを治療している患者様のいる一般病棟です。そのため、健康に生きることをサポートしたいと考えている方に看護師の仕事は向いています。

また、看護師は、配属される部門などによってはスピード感が求められる仕事です。スピード感を持って業務をこなせる方、その場の状況に合わせた適切な対応がとれる方が向いています。

さらに、看護師は夜勤も多い仕事です。夜勤に加え、ケアや巡回などのさまざまな仕事をこなさなければならないため、体力や精神力に自信がある方が良いでしょう。

看護師の仕事は、看護師だけでなく、医師や専門スタッフとの連携も必要な仕事であることから、協調性や傾聴力も求められます。協調性がありチームワークを大切にできる方も看護師向きです。

まとめ

美容看護師と看護師は、働き方や仕事内容、給与面などで違いがあります。向き不向きも異なりますので、ご自身の適性も含め、どのような働き方を実現したいかじっくり考えてみましょう。