オペ看護師の年収・給与事情|メリット・デメリット・勤務実態を解説

看護師として働いている方の中には、スキルアップを目指して部署異動を検討している方もいるでしょう。オペ看護師は、病院で働く看護師の中でも特殊な職種です。仕事内容や給与事情などを知っておくことで、部署異動や転職の際の参考になるでしょう。

今回はオペ看護師の年収や給与事情、メリット・デメリットについてご紹介します。これからオペ看護師への転職やオペ室への部署異動を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

オペ室看護師とは

オペ室看護師とはオペ室の中で働く看護師のことで、オペ看護師やオペナース、スクラブナースなどとも呼ばれます。

オペ室看護師の役割は、「器械出し」と「外回り」の大きくふたつに分類できます。

「器械出し」の役割は、手術に必要な器械を準備し、医師に渡したり整理整頓したりすることです。「外回り」の役割は手術に必要な処置や必要物品の準備、麻酔の介助、患者様の状態観察、手術記録、環境整備など多岐にわたります。

オペ看護師の働く場所は病院やクリニックに限らず、美容外科クリニックなどでオペに携わる場合もあります。

オペ室看護師の給与・年収

厚生労働省が出している「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、看護師全体の平均年収(2022年)は4,986,200円、平均月給は344,300円、平均ボーナス額は854,600円となっています。

一方でオペ室看護師の給与・年収は月収が32万円程度、年収が480万円程度です。オペ室看護師の給料は働き方やタイミングによって大きな差が生じやすいため、場合によっては看護師全体の平均を下回ることもあります。

その理由としては、オンコール対応が一般的で手術回数によって収入が増減することや、一般的に手術は昼間に行われるため、すぐに手術が必要な患者様を受け入れてない病院の場合は夜勤手当がないことも多いことが挙げられます。

オペ室看護師の諸手当

オペ室看護師の給料は、病院ごとに定められている各種手当によって大きく変動します。ここではオペ室看護師の基本給に上乗せされる手当の種類をご紹介します。

手術室勤務手当

手術室勤務手当はその名の通り手術室で勤務する看護師に支給される手当で、月額手当は5,000〜30,000円程度と幅広いです。病院によっては担当する手術の件数によって手当がつく「インセンティブ制度」のようなものが取り入れられていることもあります。

オペ室看護師は専門的なスキルや多くの知識を必要とするため、この手当を支給している病院やクリニックは多いです。

特殊業務手当

特殊業務手当は、危険手当や特別手当と呼ばれることもあります。手術室は臓器や血液製剤、器具などを扱うことで病棟やクリニック勤務の看護師よりも感染リスクにさらされることが多く、そのリスクを考えたうえで支給される手当となっています。

特殊業務手当の金額は病院によっても異なりますが、相場は月に10,000〜25,000円の間で設定されていることが多いです。残念ながら病院によっては支給がないこともあるため、気になる場合は事前に確認しておきましょう。

夜勤手当

夜勤手当は、緊急性の高い手術が夜間に実施される場合に備えて、待機する際に支払われる手当です。予定されている手術は日中に行われることがほとんどですが、規模の大きい病院や救急外来のある病院などでは夜勤が設定されていることもあります。

月あたりの夜勤の日数は病院やクリニックによってさまざまです。また、月額5,000〜10,000円程度の夜勤手当が付与されることもあります。

病院によっては手術室の夜勤手当が病棟の夜勤手当よりも高く設定されていることもあるため、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。

オペ室看護師のメリット

オペ室看護師のメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。ここではオペ室看護師のメリットを解説します。

夜勤・土日出勤が少ない

オペ室看護師の大きなメリットのひとつとして、「夜勤・土日出勤が少ない」ことが挙げられます。多くの病院やクリニックでは手術を平日の昼間に設定していることが多いため、夜勤や土日出勤が少なく、ワークライフバランスが取りやすい傾向があります。

スキルアップしやすい

オペ室看護師はひとつの診療科ではなく、さまざまな診療科の手術を担当するため、疾患に対する幅広い知識をもっておく必要があります。手術に関する基本的な知識はもちろん、疾患ごとの知識を常に吸収し続けなければならないため、スキルアップしやすいでしょう。

やりがいがある

オペ室看護師は「手術の完了」というひとつの大きなゴールがあるため、病棟やクリニックで働く看護師よりも達成感を得やすいです。さらに他スタッフと連携しながらチームで難題を解決していくことに、やりがいを感じる方もいるようです。

オペ室看護師のデメリット

オペ室看護師として働くメリットがある一方で、デメリットも存在します。ここではオペ室看護師のデメリット2点を、それぞれ詳しく紹介します。

体力・気力を消耗しがち

オペ室看護師は生死に関わる緊迫した状況の中、長時間立ちっぱなしで働かなければならないため、心身ともにタフさが必要です。また、患者様がいつ急変するか分からないため、集中力を保つことが求められます。

さらに手術中に予想外の出来事が起こった際に、冷静に対処する能力も求められます。パニックにならないように意識し続けるのは、予想以上に体力も気力も消耗します。

患者様とのやりとりが少ない

オペ室看護師が患者様とコミュニケーションを取るのは、手術前後の問診時や、患者様が入院している場合は手術前の病室訪問程度です。手術中の患者様は麻酔で眠っているため、コミュニケーションを取ることはできません。

そのため、患者様とのやりとりの少なさに物足りなさを感じ、患者様のことを深く知ることができない点をデメリットに感じる方もいるでしょう。

オペ室看護師になるために必要な資格

結論として、オペ室看護師になるために必要な資格は看護師資格以外ありません。そのため、看護師資格さえ持っていればオペ室看護師を目指すことができます。

ただし、ひとりで判断しなければならないタイミングや少人数で手術を回していかなければならないこともあります。そのため、一定の経験があるベテラン看護師でなければ配属されない病院もあるようです。

オペ室看護師としてさらなるスキルアップを目指したい場合は、手術看護認定看護師の資格を取得する方法もあります。

手術看護認定看護師になるためには「5年以上の実務経験と3年以上の手術看護経験、そして認定看護師教育課程を修了」という条件を満たすことが必要です。ややハードルが高いですが、やりがい自体は大きいでしょう。

美容看護師としてオペに携わる道もある

オペ室看護師として働きたい場合、美容看護師として手術介助に携わる道もあります。美容看護師の職場はいくつかありますが、その中でも美容整形外科の看護師は手術介助が主な仕事です。

美容看護師は一般的な看護師よりも給与が高水準の傾向にあり、実際に美容看護師(ナース)専門の転職サイト「ビナラボ」に掲載されている求人でも、月収30万円前後の求人が多いです。

オペ室看護師、美容看護師どちらにも興味がある方には、美容整形外科での仕事はまさに良いとこ取りなのではないでしょうか。オペ室看護師への転職を考えている方は、美容看護師への転職も視野に入れてみてください。

まとめ

オペ室看護師は大変なことがある分、非常にやりがいのある仕事です。今回の記事で紹介したように、美容看護師として手術に携わる方法もあります。転職先によっては、給与や条件が下がってしまう可能性があるため、転職を成功させるためにも自分が何をしたいのかを明確にしておきましょう。

もしも転職活動に困ってしまった場合は人材紹介サイトなども活用して、自分に合った転職先を探してみてください。