看護師転職での小論文の基本的なルール
小論文では、以下のようなテーマが出されます。
・少子高齢化において求められる看護師像
・医療従事者としての心構え
・医療ミスを起こさないためにはどうすれば良いか
※病院によって異なります。
小論文では、書き方や記述のルールがいくつか決められており、出来栄えが良くてもルールが守られていないと減点になることがあります。まずは基本的なルールを把握しておきましょう。
語尾を同じものにそろえる
文章の基本的なルールとして、語尾をそろえることが求められます。小論文については堅い文章が求められるので、語尾は「だ」「である」で統一しましょう。「です」「ます」と混同しないように注意してください。
指定の文字数の80%以上を執筆する
一般的な小論文の課題には、文字数が指定されています。看護師の採用試験の場合は、800文字~1,000文字が条件となっているケースが多いです。
なるべく指定文字数の8割以上を目指して執筆しましょう。文字数の指定が900文字であれば720文字以上を目指し、1,000文字であれば800文字以上となります。もちろん、字数がオーバーすると減点対象になるため注意が必要です。
1文の長さは短くシンプルにまとめる
小論文には指定の文字数が設けられているため、文章は簡潔にまとめることを意識しましょう。1文が長くなると読みづらさを感じるため、50文字以内を目安にするのがコツです。
また、まわりくどい言い回しにも注意しましょう。例えば、「~でなければならないのではないのだろうか」、「~であるべきなのかもしれない」などの表現は、読み手にストレスを与えてしまいます。
ほかにも言い回しには配慮が必要です。「未だに未解決」、「車に乗車」、「後で後悔」などの重複表現は気を付けておきたいところ。加えて、文字数を満たそうとして、同じ内容を繰り返すのもNGです。
誤字脱字は厳禁
誤字脱字は減点の対象です。課題を提出する前は何回も見直して、誤字や脱字がないようにしましょう。
原稿用紙の使い方に注意
小論文に使用される原稿用紙には、縦書きと横書きがありますが、どちらの用紙でも内容が変わるときは改行して1マス空ける必要があります。また、縦書き、横書きのどちらも、かぎかっこや句読点を1文字として数えるのがルールです。
気を付けたいのが数字を書くときです。縦書きの場合は漢数字、横書きの場合は算用数字を使います。また、横書きについては、1マスにふたつの数字を入れても良いことになっている点に留意しておきましょう。
看護師の転職時の小論文で出題されやすいテーマ
看護師の採用試験でよく出題されるテーマは、「医療や看護」、「自分について」、「時事・社会問題」の3つです。どのジャンルでもスムースに執筆できるように準備しておくと良いでしょう。
医療や看護
看護師として働く意欲や能力をみるために、医療や看護についての意見を求められることがあります。抽象的な概念から具体的な医療用語についてなど、さまざまな角度から出題されるので、ある程度の内容を予想して対策を立てておきましょう。
以下は出題されるテーマの例です。
・看護師ができる社会貢献とは
・インフォームドコンセントの重要性
・セカンドオピニオンを希望している患者への適切な対処法
・医療ミスをなくすためにやるべきこと
自分について
自分の長所や短所、自分の経験や体験、将来の看護師像や目標といった自分にかかわる内容もテーマとして選ばれやすいです。
出題されやすいテーマの例は、以下のとおりです。
・今までで一番頑張ったことと、そこから学んだこと
・これまでの人生で嬉しかった言葉とは
・あなたの理想の看護師像とは
・あなたが看護師を目指したきっかけとは
・どのようなキャリアプランを描いているか
時事・社会問題について
近年起きている社会問題について、出題されることもあります。対策としては、日頃から社会情勢や時事問題に精通しておくことが大切です。また、それぞれの課題に看護師の視点から何ができるか?という点も含めると良いでしょう。
出題されるテーマの例は以下のとおりです。
・SNSの利用と個人情報の取り扱いについて
・超高齢化社会の中で看護師に求められること
・少子化社会にどう取り組むか
・いじめ問題について
小論文で評価されやすいポイント
小論文を執筆する際は、どんなポイントを押さえておくと良いのでしょうか。看護師の小論文で評価されやすいポイントを紹介します。
指定されたテーマに合った内容かどうか
どんなに良い内容でも、テーマと関係がないものだったり、テーマとずれた内容だったりすると評価が下がります。指定されたテーマを理解し、それに沿った内容の小論文にすることが大切です。
実体験に基づいた具体例を提示しているか
小論文では自分の考えを述べるだけでなく、テーマに沿った具体例を提示しましょう。具体例を挙げることで、相手にとってより理解しやすくなるからです。
自分の体験をもとにしたものだと説得力が増し、さらに良い評価が得られやすくなります。
構成は要点がまとまっており簡潔か
テーマに沿った内容でも、複雑な内容だと読み手は理解しにくく、高い評価は得られないでしょう。
文章の構成をできるだけシンプルにして、要点がはっきりとわかるような内容にするのがおすすめです。構成が整っていると読みやすく、内容が読み手に伝わりやすいため、高い評価を得やすくなります。
看護師の小論文の例文
看護師の小論文の構成は、「序論」「本論」「結論」の3つに分かれており、指定文字数が800文字~1,000文字だと序論と結論がそれぞれ80文字~100文字が目安です。
実際にどのような内容にすると良いのか、「私が看護師を目指したきっかけ」というテーマに沿って看護師の小論文の例文を紹介します。
■序論
私が看護師を目指したのは、入退院を繰り返す祖母を介護していた母を見て、自分も役に立ちたいと思ったからだ。そして、祖母を楽にしてあげたいという強い願いが、医療の分野の知識と技術を習得するよう私を動かしたと感じている。
■本論
祖母が最初に入院したのは、私が小学校の高学年になった頃だ。当時、60代だった祖母は趣味を楽しみ、地域のサークル活動にも活発に参加している元気な人だったため、突然の入院には驚かされた。「検査入院だから」という祖母の言葉にホッとしたのも束の間で、それから祖母の入退院生活、そして母の祖母に付きっきりの生活が始まった。
はじめの頃は「すぐに良くなるから」と気丈に振る舞っていた祖母だったが、入退院を繰り返すうちに状況は変わった。みるみるうちに痩せていき、見るからに辛そうな表情に変わっていったのを覚えている。そんな祖母を介護している母も辛そうで、私も子どもながらに何かできないかと母の側にいたものの、見ているだけのことが多かったのが実情だ。そして、小学校を卒業する頃には看護師になって祖母と母の両方を助けたいという強い気持ちが芽生えはじめた。
母は看護師になりたいという私の目標をとても喜んでくれ、祖母の介護をしながらもできる限りのサポートをしてくれた。無事に看護学校を卒業し、看護師として働き始めることができたのも母や父の助けがあってのことだと思っている。
残念ながら祖母は私が看護学校に通っている間に亡くなったものの、看護師を目指す私のことを応援してくれた。また、少しではあるものの実習で学んだ知識を使って祖母の介助ができたのは、私にとって大きな意味があるものだったと感じる。
■結論
私が看護師を目指すきっかけになった祖母は、もういない。しかし、看護師として患者一人ひとりと向き合い、祖母に十分にできなかった看護や介護を精一杯行っていきたいと思う。そのために日々進歩する医療の知識を継続して取り入れ、看護師としての技術を磨いていきたいと感じている。
まとめ
看護師の小論文の基本的なルールを知り、評価されやすいポイントを押さえておくと、減点リスクを最小限に抑えることができるでしょう。
また、小論文で出題されやすいテーマを把握し、それぞれのテーマでどんな内容の文章が書けるか考えておくことも助けになります。本記事の例文も参考にして、自分らしい小論文を書けるよう準備しておくと良いでしょう。
転職を成功させるには、小論文だけでなく、面接対策も必要です。面接対策については以下の記事をご覧ください。