特養看護師は入居者と長期的に寄り添え、最期の時まで看護として携われる仕事です。やりがいが大きい分、大変だと感じる場面も多く、特養看護師を辞めたいと感じる方もいるようです。
今回は、「もう特養看護師をやめようかな…」と考えている方に向けて、働きやすくなるために今の職場でできることや、転職する前に押さえておきたいポイントを紹介します。転職の判断材料のひとつとして、ぜひ参考にしてみてください。
「辞めたい!」特養の看護師の退職理由とは
「辞めたい!」と思う理由は人それぞれですが、ここでは特養看護師ならではの悩みについてご紹介します。
介護職員との人間関係の悩み
特養をはじめ介護施設では、利用者へ円滑に支援を行うために職員間での連携やコミュニケ―ションを必要とします。場合によっては、考え方や性格の合わない職員とも一緒に仕事を進めなくてはいけません。
人間関係のなかでも、職員の大多数を占める介護職員との折り合いに悩む方が多いようです。介護職員と意見が分かれてしまうと居心地が悪くなり、働きにくくなってしまう方も少なくありません。
医療面での責任が重い
特養では医師が常勤配置されていないことが多いため、特養看護師は自分自身で考え、救急要請の判断をしなくてはいけません。迅速かつ正確な行動が求められるため、責任の重さを感じる場面が多くあります。
また、特養看護師は日勤が基本ですが、代わりに「オンコール勤務」があります。オンコール勤務中は業務時間以外でもすぐに対応できるようにしなければなりません。なかには、行動できる範囲に制限を設けている施設もあります。
家に帰っても気持ちが落ち着かず、その緊張状態が大きな負担となる場合があります。
特養看護師を辞めたいほどネガティブなときの対処法
特養看護師が辛くても、なんとか現在の職場で改善しようと試みている方も多いのではないでしょうか。ここでは「辞めたいわけではないけれど、仕事が辛い」と感じている方が、まずとるべき対処法について紹介します。
経験を積んで自信をつける
特養看護師は施設全体の利用者に対して配置人数が少なく、医療的な判断を自分で行う場面があります。特養の経験が浅い人の場合は、自分の判断に不安を感じたり、医療的な判断を担うことにプレッシャーを感じたりすることも多いです。
この場合だと、経験を積めば過去の経験と似たようなケースも増えていきます。数を重ねることで、緊急の対応が必要かどうか、自信をもって判断することができるようになります。
夜間のオンコールに関しても、経験が積み上がる点は同じです。まずは、日勤の時間である程度慣れるまで、オンコールの回数を減らすよう上司に相談してみましょう。徐々に慣れてきたら、オンコールを増やすよう調整してもらうのがおすすめです。
行動が制限される場合は、大事な用事は別日に済ませておいたり、自宅でも楽しめる趣味を増やしたりするなど、オンコール勤務の時間もうまく過ごせるように工夫すると、ストレスに感じる場面も減っていきます。
自分の行動を見直してみる
特養での勤務は、介護職員をはじめとする多くの職業や役職の方と関わりを持ちます。異なる立場や考え方からすれ違いがおき、人間関係に悩む方も少なくありません。
仕事をするうえで、介護職員との協力や連携は必要ですす。円滑に仕事を進められる程度の関係性は築いておかなければなりません。もし、介護職員との間で人間関係がこじれてしまったら、なぜそうなってしまったのか、理由を考えてみましょう。人間関係が悪くなる原因は、必ずしも相手にあるわけではありません。
自分にも改善できる点があれば、行動を見直してみることが大切です。「話しやすい態度をとれているか」「自分から歩み寄っているか」「病院勤務と同じ感覚で指示を出していないか」など、思い当たる部分があれば意識してみてください。
プライベートを充実させる
仕事でのストレスが高まっているときこそプライベート時間を充実させ、心と体がリラックスする時間を意識的に作ることが大切です。仕事の悩みや不安を抱えているときは、趣味やリフレッシュの時間も不足します。
プライベートは、運動や外出、睡眠、映画など自分の好きなことで気分転換して、仕事とのメリハリをつけることが大切です。仕事とプライベートの切り替えがはっきりすることで辞めたい気持ちが解消するかもしれません。
もし辞めたい気持ちがなくならなくても、転職するかどうかは心と体がしっかりと休まった状態で判断してください。
特養看護師を辞める前に!転職への考え方
特養看護師からの転職を成功させるために、押さえておきたいポイントを紹介します。辞める前に今の仕事や次の転職先に求める条件を洗い出しておきましょう。
特養看護師を辞める理由をはっきりさせる
辞める理由がはっきりしないままだと、次の職場でも同じような失敗を招きやすくなります。転職をするなら、「なぜ特養看護師を辞めるのか」を改めて振り返る必要があります。転職後のミスマッチを防ぐために、自分に合わなかった部分と、次の職場でやりたいことを明確にしておくことが大切です。
「もっと医療行為に専念したいから高度な技術が求められる病棟勤務へ」「夜勤がなく規則正しい仕事につきたいから外来勤務に」といったように自分のやりたいことがわかれば、転職先の選択肢もおのずと見えてきます。
勤務条件の希望を明確にする
転職先の勤務条件に、何を求めるかを明確にします。例えば給与面の場合、職場や働き方によって得られる収入が大きく異なります。自分が希望する給与額が分かると、転職先の選択肢も絞れます。
給与面で高い・低いを比較する際や、そのほかの条件を確認する場合には、転職サイトを利用すると便利です。さまざまな求人を見比べることでおおよその目安がつき、業界全体での給与面の実情を把握できます。
自分のスキルや経験を見直す
就職先とのミスマッチを防ぐためには、自分の適性や持っているスキルを正しく判断することが大切です。看護師に求められるスキルや経験は、現場によって大きく異なるからです。
たとえば、介護施設で働く看護師は、なかでも特養は医療行為を行う機会が多くある点が転職活動の強みとなるでしょう。
ほかにも、オンコール勤務に慣れていることや、介護職員など別の職種と連携して働いていることも特養看護師の持つスキルのひとつです。転職をきっかけに、自分の持っているスキルや経験を客観的に再認識してみることをおすすめします。
どんな働き方が向いているのかを考える
転職活動を行うときは、自分にどんな働き方が合うのかをあらかじめ考えておくことが大切です。どのようなライフスタイルを送りたいかを考えた上で転職先を探すと、転職活動はスムーズに進みます。
介護施設だけに絞っても、看護師の勤務形態や仕事内容は施設によって異なります。
・土日勤務があってもいいか
・医療スキルが磨ける職場かどうか
・仕事内容に介助も含まれるかどうか
自分が理想とする働き方がはっきりすると、転職先も自然と限られます。条件によっては、介護業界以外の職場も転職先の候補として考えられるでしょう。
転職活動を成功させるためには、仕事に求める条件を決めるだけでなく、転職先の情報収集にも力を入れることが大切です。詳しくは以下の記事で紹介しているので、ぜひご参考ください。
「看護師の転職成功は6つのポイントがカギ!ベストなタイミングも紹介」
まとめ
特養看護師は、医療的な判断を自分で行うことや介護職員との関係など、病棟勤務や外来勤務とは異なる不安や悩みを抱えています。経験を積む中で不安は解消されるかもしれませんが、もし問題が解決されなければ、転職するのも選択肢のひとつです。
転職を成功させるには、転職先でやりたいことや求める条件を把握することが大切です。それを踏まえた状態で条件に合う職場を探すと、転職活動はスムーズに進むでしょう。