超高齢社会が進む昨今、訪問看護の需要は年々増えつつあります。訪問看護ステーションの事業所は2021年には13,003件と前年度に比べて増加しており、 今後訪問看護ステーションが果たす役割はますます大きくなるといえるでしょう。
必要とする利用者が増える一方で、訪問看護で働いている方の中には、「仕事が辛い」と感じる方も多いのではないでしょうか。今回は、訪問看護師を辞めてしまう理由と対処法について紹介します。
出典:「令和3年度 訪問看護ステーション数 調査結果」( 一般社団法人全国訪問看護事業協会 )
訪問看護の仕事がきつい!辞める理由5選
訪問看護はなぜ「きつい」といわれているのでしょうか。具体的な理由を5つ紹介します。
1.オンコール対応に負担を感じているため
24時間体制の訪問看護ステーションの場合、オンコール対応をする必要があります。利用者からの緊急の呼び出しに備え、当番制で専用の携帯電話を持って自宅待機します。
当日は急な呼び出しに対応できるよう過ごさなくてはならないため、気が休まらないと感じる方もいるようです。
2.業務責任が重いため
訪問看護では、原則ひとりで利用者様のもとへ訪問するため、必要なケアを自分で判断して処置します。
事業所によっては、連絡用の携帯電話から責任者や同僚に相談できる体制を整えているところもあります。しかし、基本的に現場では自分で判断しなくてはならず、プレッシャーを感じる方も多いようです。
3.体力的な負担が大きいため
利用者様のケアをする際、必要に応じて介護業務を担うこともあります。主に食事や入浴のサポート、体位変換など体力を使う場面が多いです。介護業務の経験が少ない看護師にとっては、慣れるまでに苦労してしまうかもしれません。
また、利用者様の自宅への移動が、体力的にきついと感じる方もいます。特に都市部の訪問看護ステーションでは自転車で移動することが多く、天候に関係なく駆けつける必要があるため、体力的な負担が大きくなりがちです。
4.他職種との連携が必要なため
利用者様にとって最適なケアを提供するにあたって、医師やケアマネージャー、訪問看護員など、他職種との連携が欠かせません。
連携していく中で、考え方の違いでときには意見がぶつかることもあります。異なる意見をすり合わせることに対し、精神的にきついと感じてしまう方もいます。
5.人間関係を構築するのが大変なため
利用者様の中には、看護を受けることに対して苦手意識を持つ方もいます。そういった場合においても、根気強くコミュニケーションを取り続け、関係性を構築していく必要がります。
利用者様の家族との関わりが多いのも訪問看護の特徴といえます。そのため、同じ空間にいる利用者の家族からの目が気になる方もいるようです。
良いところもある!訪問看護の仕事のやりがい3選
訪問看護の仕事では「きつい」「大変」と感じる場面はいくつかあるものの、訪問看護師だからこそ感じられるやりがいやメリットもあります。
ここでは、訪問看護師の仕事のやりがいを3つ紹介します。
1.1人ひとりの利用者様と密に関われる
一般的に訪問看護では一日に平均4~6件、利用者様の自宅へ訪問することになるため、一人ひとりとじっくり向き合ってケアができます。
また、訪問看護師の姿を見ている利用者様の家族からも、感謝される機会が多いです。自分の業務が人に喜ばれ、モチベーションを持ちやすいのが魅力です。
2.施設のルールに縛られすぎない
訪問看護師は基本的にひとりで業務をこなします。そのため、自分のペースで働くことが可能です。
病棟看護師の場合、一日のスケジュールや勤務時間のシフトは決まっているため、自分のタイミングで休憩時間が取れません。しかし、訪問看護師なら患者様の自宅を訪問する合間に少し時間が余っていれば、「休憩を取ろう」という柔軟な働き方ができるのです。
また、利用者様へのケアも、本人や家族の意思を尊重しながら処置を進められます。治療方針に希望があれば、実現に向けて家族や関係機関と相談できます。
3.夜勤なしで高収入が期待できる
訪問看護はほかの介護系施設で働く看護師の給与と比べ、給与水準が高い傾向があります。夜勤がないところも多く、プライベートを充実させやすいのもメリットです。
ただし、施設や地域によって訪問看護師の給与額は異なります。転職する際は自分の地域の相場を確認してみましょう。
訪問看護がきついと感じたときの対処法3選
もし訪問看護がきついと感じたら、どのように乗り切れば良いのでしょうか。ここからは、つらいときの対処法を3ご紹介します。
1.職場に相談する
もし働き方に悩んでしまったら、まずは職場の上司に相談してみましょう。事業所によっては、訪問件数やシフトを調整してもらえるところもあります。
また、訪問先との相性が合わない際は、事情を話すことによって訪問先を変更してくれる可能性があります。ただし、人員不足な事業所の場合、必ずしも希望が通るとは限らない点には注意しましょう。
2.オンオフを切り替える
仕事に対する不安を抱えている場合は、意識的にオフの時間を作るようにしてみましょう。仕事とプライベートを切り替えることで、再び仕事に前向きになれるかもしれません。
スポーツやフィットネスで思いっきり汗を流したり、映画やドラマを見たりなど、人によってリフレッシュ方法は異なります。時間があれば、やろうと思って後回しになっていたことをしてみるのもおすすめです。
3.転職を検討する
職場環境の改善やプライベートを充実させてみてもきつい状況が変わらないようであれば、別の訪問看護ステーションや他職種への転職を検討するのも選択肢のひとつです。
現職での不満や悩みを把握したうえで、自分に合った職場環境へ転職できれば、仕事のストレスも軽減できるでしょう。また、訪問看護以外の施設にも視野を広げてみるのもおすすめです。
たとえば美容医療業界なら、訪問看護と同じように夜勤がなく、高収入が目指しやすいことで知られています。インセンティブ制度を設けているクリニックも多く、自分の頑張り次第でさらなる収入アップを目指せる点が魅力です。
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訪問看護の職場の選び方のポイント3つ
もし、訪問看護師へ転職するなら、注意すべき点があります。転職先で後悔しないためにも、チェックしておきたいポイントを3つ紹介します。
1.オンコール対応が必要か確認する
オンコール対応があるかどうかで、訪問看護師の働き方は大きく変わります。オンコール対応には手当が発生する一方で、「家にいても気が休まらない」「緊急性の高い事態には利用者様のもとへ駆けつけなくてはいけない」という点が身体的・精神的に負担となってしまうためです。
オンコール対応をしている事業所の場合は、勤務を担う頻度や手当の金額を確認することが大事です。自分にとって納得できる条件かどうか、よく検討してみましょう。
2.利用者様の特徴を把握する
訪問看護の事業所によって、対応している利用者層は異なります。難病や介護度の重い利用者様が対象の場合、訪問看護師にも高度な看護スキルが必要です。
高度な看護スキルが必要になるほど、仕事へのプレッシャーも高まります。不安に思う方は、事前にどのような利用者様が利用しているか確認しておくのがおすすめです。
3.働きやすい職場環境か確認する
どんな業界や職種であっても、良い労働環境かどうかは長く働くうえでとても大事な要素になります。
教育体制の充実度や有給消化率など、働きやすい環境が整備されているのかチェックしておきましょう。
また、訪問先で困ったときやケア方法で悩んだ場合に、チームでコミュニケーションを取りながら解決できるかどうかの視点も大切です。スタッフ同士で支え合いながら看護を行える環境か、確認しましょう。
まとめ
訪問看護師の仕事は、オンコール対応や業務責任の重さ、体力的な負担から「きつい」と感じる方も多いようです。しかし、利用者様一人ひとりに合わせたケアが提供できるため、一般病棟では得られない経験が積めます。
訪問看護の働き方が辛いと感じた場合は、職場に相談したり、リフレッシュを図ったりすることをおすすめします。それでも今の事業所で悩みが解決しない場合は、転職という選択肢も視野に入れてみましょう。