子どもが好きな人にとって、小児科看護師はやりがいをもって働ける魅力的な職場といえます。しかし、実際に小児科看護師として働き始めてみると、仕事が辛いと感じることもあるでしょう。
今回は、小児科看護師が辛いと感じる理由やおすすめの転職先について紹介します。
小児科看護師が辛いと感じる理由
まずは、小児科看護師が辛いと感じる理由についてみていきましょう。
ケガや病気で苦しむ子どもたちをケアしなければならない
子どもを相手にするとはうえ、場合によっては生死に関わる医療行為もあるため、病院に勤める以上やりきれなさを感じる場面があります。
軽症の子どもであれば治療の見通しも立ちやすいものの、なかには重い病気を患っている子どものケアに携わることもあるでしょう。
治療内容によっては、副作用に苦しむ子どもに寄り添わなければなりません。子どもの様子を見ていて精神的に辛いと感じることもあるようです。
子どもやご家族との接し方が難しい
病院特有の雰囲気に不安を感じる子どもや、病状にナーバスになっているご家族は多いようです。そのため、小児科看護師は子どもやご家族の感情に寄り添った対応が求められます。
また、幅広い年齢の子どもたちのケアを担当するため、年齢や発達段階、病状などに合わせて柔軟に対応しなければなりません。 特に、コミュニケーションが取れない年齢の子どもの場合、家族とのコミュニケーションを密に取る必要があります。
なかには、症状や思っていることをうまく表現できない子どももいるため、意思疎通が図れずにコミュニケーションの難しさを感じる場面もあります。
さらに、子どもの治療や状況に不満があると、ご家族と信頼関係を築きにくいです。情報をしっかりと伝えるためにも、普段から子どもやご家族との良好なコミュニケーションを保つ必要があります。
小児科特有の看護技術が必要になる
小児科看護師は、さまざまな年齢や疾患の子どものケアにあたるため、自己学習が欠かせません。
特に、子どもは採血がしにくかったり、与薬量が細かかったりするので、気を遣う場面は多いです。看護技術に加えて、日ごろから丁寧な処置が求められます。
小さなミスが重大な事故につながりやすい
小児科看護師は点滴の自己抜去や与薬量などの小さなミスでも重大な事故につながりやすいため、責任が重い仕事です。失敗に対する不安から苦手意識のある看護師もいます。
また、子どもは大人より急変する確率が高く、迅速で的確な判断が求められるため、プレッシャーを感じる場面が多いです。
成人看護のキャリアが積めない
小児看護のスキルしか積めないため、将来のキャリア形成に不安を感じやすいこともあります。
とはいえ、実際には幅広い疾患に対応できる知識が身についたり、コミュニケーションスキルなども磨かれたりするため、成人看護に活かせないわけではありません。
小児科看護師のやりがいや魅力
小児科看護師は辛いことばかりではありません。ここからは、小児科看護師のやりがいや魅力について紹介します。
子どもが元気に回復した姿を見られる
子どもの治療が無事に終わって元気になった姿を見れば、自分も幸せな気持ちになって達成感を得られます。子どもが元気になる姿を見るのは、ご家族にとっても嬉しいものです。
子どもやご家族に寄り添いながらサポートした成果がわかりやすいため、やりがいを感じられます。
子どもの成長を間近で感じられる
小児科を受診する理由は、重い病気や事故のほかにも感染症やアレルギー、乳幼児検診や予防接種などさまざまあります。
赤ちゃんから小学生までなど、長い間同じ小児科に通院する子どもも多く、成長が間近で見られるのも小児科看護師の魅力です。子どもの成長を見守る楽しさもあり、やりがいやモチベーションの維持につながります。
幅広い知識が身につく
小児科は子どもの疾患全般を担当するため、さまざまな知識が身につき、スキルアップにつながります。ほかの診療科のように症状や部位ごとに分かれておらず、それぞれの疾患に応じて適切な対応が求められるのです。
「小児科の分野で専門性を高めたい」「知識を深めたい」という人にとって、やりがいを感じられる仕事といえます。
小児科看護師に向いている人
小児科看護師に向いている人には3つの共通点があります。ここからは、小児科看護師に向いている人のタイプについて解説します。
子どもが好きな人
子ども好きで世話好きな人であれば、小児科看護師としてやりがいをもって働けます。子育て経験がある、子どもの扱いに慣れている人にとっても向いている仕事です。
子どもの看護は大人よりも手がかかるため、子どもが好きな人でないと務めるのは難しいです。検査や内服に時間がかかったり、不安からナーバスになったりする子どももいます。
子どもは症状や思っていることをうまく伝えられない場合があるため、子どもの様子を観察し、異変を察知する力が必要です。そのため、根気良く子どもに向き合える人は、小児科看護師に向いているといえます。
コミュニケーション能力に自信がある人
コミュニケーションスキルが高い人は、小児科看護師に向いています。小児科では、子どもと親でコミュニケーションの仕方は異なるため、相手や状況に合わせて臨機応変にコミュニケーションを取らなければなりません。
子どもでも理解できるようにわかりやすく説明したり、遊びを取り入れながら子どもの心を開いたりするのも重要です。ご家族との円滑なやり取りも大切なため、コミュニケーション能力に自信のある人にとって、適した仕事といえるでしょう。
気持ちの切り替えが早い人
子どもが感情的になったり、子どもの状態をみて理不尽な気持ちになったりしたときでも、すぐに気持ちを切り替えられる人は小児科看護師に向いています。子どもに振り回されそうになっても動じることなく、前向きに働ける人が適しています。
また、重病や障害に苦しむ子どもに対してやりきれない気持ちを感じたときでも、落ち込みすぎることもありません。負の感情に引きずられる前に、気持ちの切り替えができるため業務への影響を最小限に留められるでしょう。
小児科看護師から転職するのにおすすめの職場3選
小児科看護師の仕事が辛いと思ったら、転職するのもひとつの手です。今までの知識を活かしながら、子どもに関われるおすすめの職場を3つ紹介します。
保育園
保育園の看護師は、子どもたちの健康管理や、発達サポートがメインの仕事です。私立保育園では看護師の常駐が義務化されているため、保育園看護師のニーズは高いといえます。
保育園看護師は、子どもに限らず保育士に対しても管理や指導をすることがあります。保育士と同じように保育業務に携わることもあり、保育士や保護者との円滑なコミュニケーションも必要です。
保育園看護師の仕事内容については、以下の記事で詳しく紹介しています。
「保育園看護師の給料事情|仕事内容やメリット・デメリットも解説」
ツアーナース
ツアーナースとは、小中学校の課外活動や修学旅行などの学校のイベントに同行して、参加する子どもたちの健康管理をする仕事です。突発的な怪我や病気への対応が必要なため、小児科看護師の幅広い知識が役立ちます。
同行中は常に気を張って過ごす必要があり、多くの子どもを相手にするため大変な仕事です。しかし、子どもたちの思い出づくりをサポートできるのは、やりがいのある仕事といえます。
重症心身障害児施設
重症心身障害児施設とは、手足が不自由で重度の知的障害をもつ子どもを預かる福祉施設です。医療ケアは少なく、日常的なケアやバイタルチェックがメインの仕事です。
コミュニケーションが困難な子どもが多く、それぞれの特性を知る必要があります。様子を見ながら子どもの状態を確かめ、一人ひとりに寄り添ったケアを提供します。「辛い思いをしている子どもの役に立ちたい」と思う人にとっては、やりがいをもって働ける職場です。
まとめ
子ども好きの人にとって、小児科看護師はやりがいのある仕事です。しかし、病気や怪我に苦しむ子どものケアで精神的な辛さを感じたり、子どもや家族とのコミュニケーションに悩んだりなど、辛いと感じる場面もあります。一方で、自分のサポートによって、子どもが元気になる姿を見られるというやりがいもあります。
小児科看護師を続けていく自信がない方は、転職を考えてみるのもおすすめです。子どもに関われる仕事もあるため、小児科看護師として経験を活かして自分らしく働ける職場を探してみてはいかがでしょうか。