ICU看護師として働いている方の中には、「仕事がつらい」「辞めたい」と感じている方もいるのではないでしょうか。ICUでは常に緊張感があり、ほかの病棟で働く看護師よりもハードな業務が求められます。
このまま継続するのが難しいと思えるとき、どうすれば良いのでしょうか。今回はICU看護師が仕事を続けるメリット、どうしても辞めたいときにやるべきことを紹介します。
ICU看護師が辞めたいと思う理由
ICU看護師はどんな理由で辞めたいと感じるようになるのでしょうか。ICUで働く看護師が仕事を辞めたくなる、よくある理由をみていきましょう。
重症患者様へのケアに大きなプレッシャーがかかる
ICUでは命の危機に瀕した患者様も多いため、一つひとつの処置に重い責任がともないます。看護師の判断が患者様の状態に大きな影響を与えることもあり、絶対にミスが許されないというプレッシャーがあります。
こうした常に緊張感のある職場で働き続ける状況に耐えられず、仕事を辞めたいと考えるICU看護師も多くいます。
業務量が多く忙しい
ICUでは入院中の患者様のケアに加えて、急患の受け入れ、急変の対応などが発生するため、十分な休憩時間を取らないまま業務にあたらなければならないこともあります。
薬剤の投与やバイタルチェックなどを頻回に行わないといけないことも多く、常に業務に追われている状況になりがちです。
特にイレギュラーな事態が多く発生するとさらに業務が増えることから、膨大な仕事量に圧倒され、大きなストレスを抱える看護師もいるようです。
専門的かつ幅広い知識・技術を学ぶ必要がある
最先端医療を行うICUでは、常に自発的に学ぶ姿勢が必要です。専門性が高い領域であるため深く学ぶ必要があり、また、内科から外科まで幅広い知識や技術を身に付けなければなりません。
日々の忙しい業務をこなしつつ、常に学ぶ姿勢を求められることから、勉強が大変になり、辞めたいと感じるようになる看護師も多くいます。
もどかしさや無力感がある
特に新人のうちは、急変時などに自分が何をしたら良いのかわからず、もどかしさを感じるICU看護師も多いです。
「これを用意して」「あれをやって」と言われてもうまく動けず、自分が役に立てていないように感じる看護師もいることでしょう。
また、どれだけ手を尽くしたとしても患者様が亡くなってしまうこともあり、無力感を覚える看護師もいます。
患者様の家族のケアが難しい
ICUでは重症度の高い患者様が多く、直接コミュニケーションを取ることが難しいケースもあります。そうした中で、ICU看護師は状況や治療内容についてご家族に伝えていかなければなりません。
患者様だけでなくご家族のケアは看護師の重要な仕事です。とはいえ、精神的に不安定な状況にあるご家族と接するには高いコミュニケーション能力を要します。
患者様に代わってご家族が治療の決定を行わざるを得ない状況もあり、精神的ストレスを抱えたご家族と接するのが負担に難じる看護師もいることでしょう。
ICU看護師を続けるメリット
激務のイメージが強いICU看護師ですが、続けることのメリットもあります。大変なときはマイナス面ばかりに焦点を当ててしまいがちですが、メリットについても知っておきましょう。
幅広い診療科や最新医療機器の知識が身につく
ICUでは幅広い診療科の患者様と接することになるため、普段の業務をこなすだけで多くの知識や技術を身に付けられます。
勉強会などに積極的に参加すれば、より知識を深められ、スキルアップにも役立ちます。知識を深め、技術を磨いていけば自信にもつながりますし、仕事のやりがいが感じられるようになりモチベーションもアップしやすいでしょう。
意欲的に看護技術を学び、習得したい人にとって、ICUはぴったりといえます。
観察力や判断力が鍛えられる
ICU看護師は、患者様の状態をしっかりと観察し、スピーディーかつ的確に対応しなければなりません。日々の業務の中で患者様の少しの異変も見逃さないことが求められます。
観察力に加え、どのように対応すべきか的確に判断する必要もあり、臨機応変な対応力が身に付きます。
大きなやりがいを感じられる
重篤な状態で運ばれてきた患者様が日々回復していく様子を間近で見ることができるのは、ICU看護師にとって喜びとなります。
患者様の命を救うために働く分、大きな責任がともないますが、それだけやりがいを感じられるのはメリットです。
ICU看護師が辞めたいと思ったときにするべきことは?
ICU看護師が辞めたいと思ったとき、まずはなぜ辞めたいと感じるのか、理由を明確にすることが大切です。
例えば、「日々の業務で大きなストレスを感じているから」「自分の知識やスキルに自信がないから」といったことがあげられます。
理由を明確にしたら、それぞれの理由別に以下のように対応しましょう。
長期休暇を取得してリフレッシュする
ストレスや日々の緊張感で疲れてしまっている場合は、まずは有給を使って休みを取り、リフレッシュするのがおすすめです。
そのまま休まずに仕事を続けていても、精神的な疲労が募る一方でしょう。
一時的に仕事から離れることで冷静に考えられるようになり、本当に仕事を辞めるべきかどうか判断しやすくなります。
少し休憩することでICU看護師として働くことの良い面が見えるようになるかもしれませんし、もう少し頑張れることに気付くかもしれません。
逆に、「やっぱり辞めたい」と思っているのであれば、転職を検討してみる必要があります。
積極的に勉強会に参加する
ICU看護師を辞めたい理由が、「自分の知識や技術に自信がないから」といった理由であれば、積極的に勉強会などに参加するのがおすすめです。
勉強会では知識や技術だけでなく、患者様のご家族との接し方なども学べることもあります。患者様のご家族のケアが難しいと感じている方も、接し方のコツを学ぶことで、よりストレスが軽くなるかもしれません。
また、新しい知識や技術を習得すると、自信がつくだけでなく、モチベーションアップにもつながります。学んだ知識や技術を現場で活用することで、より学ぶ意欲が高まり、ICU看護師としての仕事にやりがいを感じられるようになるでしょう。
異動の希望を出す
勤務先の病院そのものに不満はないものの、業務内容や部署内の人間関係などが原因で、ICU看護師として働き続けるのが難しいと感じている方もいるでしょう。
その場合は、同じ病院内で異動希望を出すのもひとつの手です。別の診療科に異動するだけで、業務内容や人間関係は大きく変わります。
まずは別の診療科への異動が可能かどうか、人事担当者などに相談してみましょう。
ICU看護師を辞めたいなら、慎重に検討した上で転職活動をしよう
ICU看護師のメリットをよく考え、自分にできることを試したうえで、それでも辞めたいと感じる場合は転職を検討しましょう。
ただし、勢いで仕事を辞めたり、今の職場から逃れたい一心で転職先を決めたりしてしまうと後悔してしまうかもしれません。
まずは転職先について慎重に考慮してから、転職活動に踏み切ることが大切です。転職先の条件を明確にし、その条件に合った職場を転職先として選びましょう。
細かく条件を出し過ぎると希望に合った転職先は見つからないかもしれません。希望条件の中から、妥協できるものと妥協できないものを決めておき、柔軟に転職先を探すことが大切です。
転職先の選び方については、以下の記事をご参考ください。
「看護師の転職先の選び方は?転職を後悔しないための注意点も解説」
まとめ
ほかの部署と比較してICU看護師はとりわけハードな業務をこなす必要があり、それが精神的また肉体的な疲れにつながることはしばしばです。
「辞めたい」と感じたとしても、それは珍しいことではありません。辞めずに仕事を継続することで、より高度な知識や技術を習得し、仕事にやりがいを感じられるようになる看護師も多くいます。
まずは長期休暇を取るなどしてリフレッシュし、本当に転職すべきかどうか考えてみましょう。