保育園看護師の給料
はじめに、保育園看護師の給与がどのくらいなのかを見てみましょう。
勤務する保育園が私立か公立かによって、保育園看護師の給与も異なります。
<平均給与月額(賞与込み)>
・私立保育園看護師:408万1,704円(給与月額34万142円×12ヶ月)
・公立保育園看護師:476万3,172円(給与月額39万6,931円×12ヶ月)
参照:令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査
看護師全体の平均年収とも見比べてみましょう。
<看護師全体の平均年収>
看護師の平均年収は約480万円です。
※きまって支給する現金給与額33万4,400円+年間賞与その他特別給与額81万6,300円=482万9,100円
保育園看護師は、看護師全体の年収と比較すると若干低い傾向があります。しかし、保育園看護師には夜勤がないため、そのぶんの影響も年収の差が出た要因のひとつと考えられるでしょう。
保育園看護師の仕事内容
保育園看護師は、保育の現場でどのような仕事を担っているのでしょうか。具体的な仕事内容を紹介します。
園児の健康管理
保育園看護師の主な役割は、園児の健康管理です。保育園で過ごす子どもが健やかで安全に過ごせるよう努めます。
・検温や視診、触診
・服薬の手伝い
・体調不良時の対応
・ケガの応急処置や病院への付き添い
・アレルギー対応
・健康診断の補助
子どもの様子から異変や体調不良を察して、素早く対処する際に、看護師としての経験や知識は大きく役立つでしょう。また、そのほかにもうがいの指導、保育園内の衛生管理など、ケガや病気を予防する業務を担う場合があります。
保育補助業務
保育士看護師の場合、看護業務以外にも保育士のサポート業務も担います。特に、乳児を4人以上保育する施設であれば、看護師も保育士の一人としてみなされます。
参考:「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」(省令)
そのため、看護業務がない時間は子どもと遊んだり、寝かしつけをしたりすることがあります。なかには、クラスの担任を任されることもあり、0~1歳児の保育を担当することが多いので、乳幼児への健康や医療の知識が役立つでしょう。
保護者への保健指導
保育園に通う保護者のなかには、子どもの健康状態やケガの対応に不安を感じている方もいます。「火傷をした日の入浴は大丈夫?」「転んで出血した患部の消毒方法は?」など、日常で困ったことについて相談にのることもあります。
また、子どもが掛かりやすい病気や感染症の情報、家庭でできる予防を伝えるのも保育園看護師の大切な仕事です。保育園によっては、保育園看護師がお便りなどを発行し、病気やケガについて周知していく業務を担うこともあります。
保育者への保健指導
感染症予防などの取り組みは、保育園全体で行うものです。乳幼児に流行りやすい病気の知識や基本的な対処法を保育士へと伝えていく必要があります。
大勢の子どもたちが一緒に過ごしている保育園では、給食やおやつ、お昼寝などの接触も多く、保育園内の衛生管理も気を付けなくてはいけません。手洗い場やトイレなどが清潔に保たれているか、救急セットの中身は十分に備わっているかなど、日常的な確認や指導を行います。
保育園看護師と病院看護師の違い
保育園看護師と病院で働く看護師には、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
健康な子どもの健康管理が主な仕事である
病院に来るのは、基本的に病気やケガを負っている方です。病院で働く看護師の業務は、患者の病状や必要に応じて身の回りの介助やサポートを行います。
一方、保育園に通っている子どものほとんどは健康な子どもです。保育園看護師のメインの業務は、日々の子どもたちの健康管理となります。もちろん発熱や突発的なケガが起きれば対応が必要ですが、普段は病気やケガの予防のための業務を行うことになるでしょう。
医療行為が発生しない
病院では医師の指導のもと、日常的に採血や点滴などの医療行為を行っています。一方、保育園で医療行為を行うのは、緊急時のみです。
しかし、最近ではたんの吸入や経管栄養、酸素吸入などが必要な医療的ケア児を受け入れている自治体、保育園も増えてきました。研修を受けた保育士が対応できる医療的ケアも一部あります。看護師が配置されている保育園の場合は、この医療ケアがメインの業務のひとつとなるでしょう。
保育園看護師として働くメリット
保育園看護師としての働き方には、病院勤務とはまた違ったメリットがあります。詳しく解説しましょう。
夜勤や休日出勤、残業がほとんどない
24時間保育を行っている保育園でない限り、看護師が夜勤を行うことはありません。保育園によっては、早番や遅番がある可能性はありますが、保育園の開園時間に合わせた勤務となります。残業も病院勤務と比べ少ない傾向にあり、平日の夜にプライベートの予定を入れやすいのが魅力です。
また、保育園は基本的に暦どおりに開園しているため、日曜日や祝日はお休みとなるケースが多いでしょう。年末年始やお盆休みの際も連休を確保できます。前もって予定を立てやすいため、家族や子どもとの予定を充実させたい方には、保育園看護師の勤務形態は大きなメリットです。
精神的なストレスが少ない
病気を患っている方やケガを負った方に対応する病院看護師と異なり、保育園で対応するのは基本的に健康な子どもです。日頃から常に命に直結するような業務ではないため、精神的なプレッシャーは少ないといえます。
また、「実は注射や採血が苦手……」という看護師の方も多いのではないでしょうか。保育園での勤務では医療行為をする機会はほとんどないため、注射や採血を行うこともありません。大きな精神的負担はかからず、看護師としての知識を活かせるのが魅力です。
子どもとの関わりが多い
病院勤務では入院患者であっても関われる期間は限られていますが、保育園では子どもたちが卒園するまでの間、数年にわたって関係性が続きます。日々の成長を間近で見守れる保育園での業務には、大きなやりがいを感じられるでしょう。
これまで小児科などで勤務している経験があれば、過去の経験やスキルを活かせます。前職で身に付けた子どもがかかりやすい感染症や予防の知識は、保育園で働く際にも役立ちます。
また、子育て経験のある方なら保護者側の気持ちを理解し、自身の経験を活かして働けるのではないでしょうか。
保育園看護師として働くデメリット
ここまでお伝えしたメリットをふまえたうえで、保育園看護師ならではのデメリットについても把握しておきましょう。
看護師としてスキルアップしにくい
看護師として医療行為のスキルや臨床スキルを高めていくには、経験の積み重ねが大切です。しかし、保育園看護師の業務は基本的に医療行為を行わないため、物足りなく感じる方もいるでしょう。
緊張感を感じ過ぎずに働けるものの、病院勤務で得られるスキルや専門知識が身に付きにくくなってしまうからです。
看護のスキルアップや病院看護師としてのキャリアアップを目指しているのであれば、保育園看護師での勤務は遠回りになる可能性があります。
保護者対応が難しい
保育士や保育園看護師が行う「保護者対応」は、保育園勤務ならではの業務のひとつです。一人ひとりの保護者に臨機応変な対応が必要となるうえに、信頼関係を築くには時間がかかります。些細なことから起きたすれ違いがクレームに発展する可能性もあり、頭を悩ませている看護師も多いです。
保護者と良い関係性を作っていくには、日々の会話や連絡帳を用いて、普段から円滑なコミュニケーションを意識することが大切です。また、自分ひとりで解決しようとせず、大きなクレームに発展する前に上司や同僚にも相談する必要があります。保育園で働くには、コミュニケーションや連携が重要であることを心に留めておきましょう。
自分ひとりで判断しなければならないことが多い
ほとんどの場合、ひとつの保育園に看護師の配置は1人です。保育や保護者に関することは保育園全体で対処できますが、医療に関しては自分で判断しなければならないことも多いでしょう。病院勤務のように相談することができないため、業務に対して責任の重さを感じてしまう方もいます。
ただし、最近では看護師へのサポートを充実させている保育園も増えてきました。問題を看護師ひとりで抱えずに、園全体で取り組む体制が整備されつつあります。
保育園看護師以外の転職先について詳しく知りたい方は、こちらもご確認ください。
病院以外の看護師の転職先とは?おすすめの転職先と選び方について
保育園看護師の転職事情
医療的ケア児を保育園で受け入れているケースが増えていることもあり、保育園看護師のニーズは高まっています。今後も求人は増えていくでしょう。
基本的には、看護師資格があればどの求人にも問題なく応募できます。小児科の勤務経験があると、転職時により有利です。ほかには、ピアノ経験や育児経験など、保育業務に関連した経験があることが望ましいですが、必ずしも必要なわけではありません。
日勤のみで働けて、残業も少ない勤務形態なため、仕事とプライベートの両立を重視したい方に向いています。子どもとの関わりにやりがいを感じられる方が良いですね。
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まとめ
保育園看護師は、保育園で子どもの健康管理や病気予防、保護者対応などの業務を行います。病院勤務と比べ収入はやや低いものの、夜勤や残業がなく、プライベートも充実させやすい点が大きな魅力です。転職活動の際は、選択肢のひとつとして検討してみてください。