看護師のキャリアアップには何が必要?実現に役立つポイントを紹介

看護師がキャリアアップするには?

看護師のキャリアアップの方向性には、大きくスペシャリストになる、ジェネラリストになる、管理職を目指すの3つがあります。

スペシャリストになる

スペシャリストとは、特定の分野に精通した看護師のことです。認定看護師や専門看護師の資格取得などを通じて、担当分野の専門知識を深めます。また、高度な看護を追求し、実践を通じてほかの看護師の指導にもあたります。

専門性を高めたい人に向いたキャリアアップです。

ジェネラリストになる

ジェネラリストは、特定の専門分野に限らず、幅広くこなせるオールラウンダーの看護師です。どんな現場でも臨機応変に対応できる人材を目指します。

ジェネラリストを目指すための資格などは特にありませんが、複数の病棟や診療科を経験して、知識や技術力を身につけていくケースが多いです。

ジェネラリストは対応範囲の広さから、現場で高いニーズが期待できます。また、オールラウンドの特性を活かして、病院以外に訪問看護などの働き方への道も広がります。

管理職を目指す

看護部長や看護師長など、管理職を目指すというキャリアアップ方法もあります。現場の看護師をまとめるだけでなく、人材の育成など教育にも携わるポジションです。臨床経験を重ねながら、看護主任、看護師長、看護部長とステップアップしていきます。

管理職はやりがいのある仕事で、収入アップも期待できます。看護師長などの管理職になると、どのように仕事内容が変わるのかについては、以下の記事で紹介しているので参考にしてください。

看護師長の平均年収は?仕事内容や必要な資質についても徹底解説

看護師のキャリアアップに役立つ資格

看護師のキャリアアップにおいて、資格取得はスキルや経験を証明するために役立ちます。また、資格を取得することで広がる選択肢もあるので、これからのキャリア形成に活用していきましょう。

保健師

保健師は、予防医療や保健指導に携わる仕事です。病院で働くほか、保健所や一般企業、学校など、看護師よりも活躍できる場が広がります。一般企業に勤務すれば、残業が少なく休みが土日になることも多いため、ワークライフバランスが取りやすくなるでしょう。

看護師が保健師の資格を取得するには、大学で保健師になるための学科を選択するか、選抜にて履修する必要があります。地域によっては、保健師養成学校などもあります。

認定看護師

認定看護師は、日本看護協会が定める特定分野(現行21分野、新制度19分野)で高い技術と知識をもっていると認定された看護師で、現場におけるスペシャリストです。以下の役割を担います。

・水準の高い看護の「実践」
・実践を通じた看護職への「指導」
・看護職などに対する「相談」(コンサルテーション)

認定看護師の資格は、実務研修5年、うち3年以上は認定分野研修を積んだあと、認定教育機関で6ヶ月~1年程度学び、認定審査に合格することで取得できます

専門看護師

専門看護師とは、日本看護協会の専門看護師委員会によって定められた14の専門分野において、専門性をもつことを証明する資格です。

取得には、実務研修5年以上(うち3年以上は専門分野であること)を積んだあと、看護系大学院修士課程を修了し、認定審査に合格する必要があります。

修士課程の修了が必要なので、認定看護師よりも取得のハードルは高くなるでしょう。

専門看護師は、認定看護師の「実践」「指導」「相談」に加えて、以下の役割を担います。

・ほかの保健医療福祉従事者との「調整」
・倫理的な問題について解決をはかる「倫理調整」
・看護者に対する「教育」
・看護技術の向上や開発のための実践における「研究」

専門看護師は、患者様本人だけでなく、ご家族や看護者に対してもアプローチしていきます。

ケアマネジャー

ケアマネジャーは、要介護者が必要な介護サービスを受けるための指針となる「ケアプラン」を作成する仕事です。

看護師の実務経験が5年以上あれば、ケアマネジャーになるために必要な「介護支援専門員実務研修受講試験」を受験できます。試験に合格し実務研修を修了すると、ケアマネジャーとして登録が可能です。

看護師がケアマネジャーを取得すれば、医療機関に限らず介護施設や自治体の地域包括支援センターにも活躍の場が広がります。また、看護師として働く場合にも、退院後の生活まで想定したアセスメントを行えるなど、より患者様に寄り添ったケアを行えるようになります。

自分に合ったキャリアアップをするためのポイント

看護師のキャリアアップには複数の選択肢があります。自分に合ったキャリアアップを目指すために押さえておきたいポイントを紹介します。

しっかりと情報を収集する

まず、どのようなキャリアアップがあり、それに何が必要であるか情報を集めることが大切です。キャリアアップを目指すには、そのキャリアに役立つ経験やスキルを積んでおかなければなりません。

これからキャリアプランを立てるときにも、情報収集はとても重要です。看護師にはさまざまな活躍場所があるので、今現在自分を取り巻く環境よりも、はるかに多くの働き方があります。現場で働いているだけでは知り得ないことも多いでしょう。

情報の収集には、周囲の人に相談して生の情報を聞いてみるほか、インターネットで検索したり、勉強会やセミナーなどに参加したりすることも有効です。自分に合ったキャリアを見極めるために、多くの情報に触れるように取り組みましょう。

将来どのような看護師になりたいか考える

キャリアプランがまだ具体的でない人は、将来自分がどのように働きたいと思うか、キャリアをイメージしてみてください。ぼんやりとでもイメージできたら、そこまで必要なステップを明らかにし、逆算してキャリアプランを立ててみると良いでしょう。

このとき、看護師としての働き方はもちろんのこと、自身のライフプランやライフステージについても考えてみることが大切です。

「何年目でこうなっていたい」「何歳になったらこんな働き方をしたい」という風に、時間軸も含めて考えてみてください。そうすることで、いつまでに何をしなければならないかということが具体的になっていきます。

キャリアに合った資格を取得する

キャリアアップの過程で、資格取得は大きな強みになります。資格取得を目標とすることで、新しい知識を学んだりスキルを再確認したりできます。また、資格取得によって開けるキャリアもあります。

もし、目指すキャリアに資格が必要であれば、早い段階から取得に向けて取り組むことをおすすめします。場合によっては、実践的な経験を積める勤務先に環境を変えたほうが良いことや、勤務スケジュールの調整など勤務先の協力が必要なこともあるからです。

資格については、看護レベルの向上を目的として、取得を支援している病院、施設もあります。面談のタイミングなどを活用しつつ、取得計画について具体的に考えてみることをおすすめします。

まとめ

看護師のキャリアアップには、スペシャリスト、ジェネラリスト、管理職の3つがあります。いずれも、日々の業務を通じて経験やスキルを積んでいくことになるため、「自分がどんな看護師になりたいか」を明確にして、できるだけ早く方向性を定めましょう。

なお、目指すキャリアによっては、資格取得が必要になることもあります。自身のライフプランやライフステージも考慮しながら、具体的なキャリアプランに落とし込んでいきましょう。