退職を考えたときに強い引き止めにあうと、気持ちが揺れてしまうこともあるかもしれません。以前退職時に同じような経験をされている方はなおさらです。
人手不足など職場側の事情もありますが、長引けば今後のキャリア設計にも影響が出てしまいます。そこで今回は、看護師が強い引き止めにあわずにスムーズに退職する方法について紹介します。
看護師の退職で強い引き止めがあるのはなぜ?
看護師の職場は慢性的に人手不足のところが多く、穴埋めの人員確保が困難です。新たに看護師を採用するとなれば、求人の掲載や面接の日程調整などの労力がかかります。
すぐに看護師が見つからなければ、採用の時間を割かなければならず病院側にとっても手間やコストがかかってしまいます。現場で働く看護師にとっても、抜けた人員分の業務量が増えるため大きな負担になるでしょう。
また、採用できたとしても、新しい看護師は病院の方針や業務の流れなどを覚える時間が必要です。看護師の実務経験により個人差はありますが、即戦力として活躍できるまでに時間がかかります。業務に慣れた看護師であれば、なおさら強く引き止められやすいといえます。
さらに、病院にとって必要な人材であれば、強い引き止めにあいやすくなります。患者様から人気のある、リーダー的存在、認定看護師や専門看護師の資格があるなど、貴重な存在であるほど、病院側は手放したくないと思うのです。
看護師が強い引き止めにあいやすい退職理由
退職理由によっては、強い引き止めにあう場合があります。たとえ本当の理由だとしても、そのまま伝えると引き止めにあって辞めにくくなったり、トラブルを招いてしまったりするかもしれません。
ここからは、看護師が強い引き止めにあいやすい退職理由について解説します。
収入面に関する不満
今の給料に不満があったとしても、収入面を退職理由にするのはおすすめできません。昇給を打診されて引き止めにあう可能性が高いからです。給料を上げて退職を回避できるなら、その方が病院側にとって都合が良いのです。
また、収入に関する不満を伝えるのは、給料に見合った働き方ができていなければ心証を損ないやすいことを心得ておきましょう。
人間関係に関する不満
人間関係に関する不満が退職理由の場合、引き止めにあいやすいため注意が必要です。合わない看護師と勤務時間が重ならないようにシフトを組んだり、別の病棟に異動したりすれば解決できる場合があります。
特定の看護師の名前をあげると相手に伝わってしまうケースもあり、人間関係が悪化してしまうおそれもあります。
また、職場の雰囲気を良くしようと提案してもらえたとしても、改善には時間がかかってしまいます。スムーズに退職したいのであれば、人間関係の不満を伝えるのは避けましょう。
勤務形態・残業・休日に関する不満
休みがなかなか取れない、残業が多い、夜勤がきついなど、働き方に対する不満から退職を希望する看護師は多いのではないでしょうか。
しかし、「シフトを調整する」「新しい人材を見つけるまで待ってほしい」などの提案をされ、引き止められる可能性があります。
勤務形態を変更してもらえたとしても、人員不足が続く職場では一時的な対処でしかありません。残業しなければ業務が回らない職場ではそもそも余裕がないため、業務の見直しを図る時間を作り出すのは難しいでしょう。
向き・不向きに関する不満
経験年数が浅い看護師は引き止めにあいやすいです。新人看護師の多くは仕事に慣れていないため、ミスをして落ち込んだり自分は看護師に向いていないと感じたりすることが多々あります。
向き・不向きを理由にすると、退職の意向を伝えても「仕事になれるまではみんな同じ、もう少し頑張ろう」と説得されることがあり、辞めるタイミングを逃してしまう可能性があります。
看護師が強い引き止めにあいにくい退職理由
病院側が改善を提案しにくい退職理由だと、退職までを比較的スムーズに進められます。ここからは、看護師が強い引き止めにあいにくい退職理由を解説します。
家庭の事情のため
引っ越しや親の介護など、家庭の事情の場合は、引き止めにあいにくいです。ライフイベントが理由の場合は病院側が関与できないため、引き止めようがありません。
「夫の転勤先が職場から遠く、通うのが難しい」など、物理的に勤務できない状況であればスムーズに退職しやすいでしょう。
体調不良のため
引き止めにあいにくい退職理由のひとつに体調不良があります。体調不良で療養に専念したいと伝えると、理解を得やすくなります。
看護師の仕事は不規則な生活リズムになりやすく体調を崩しやすいため、上司も無理に引き止めようとしないはずです。
とはいえ、「休暇を取って体調が回復したら復帰すれば良い」と引き止めにあう可能性はゼロではありません。
「仕事を続けられる状態ではない」「家族も反対している」と退職したい旨をしっかり伝える必要があります。また、病気が理由だと診断書などの提出を求められるケースがあるため、事前に準備しておくと安心です。
結婚・出産・育児のため
結婚、出産、育児のため働くことが難しい場合は、スムーズに退職できる可能性が高いです。
ただし、仕事と家庭で両立しやすいように、時短勤務や産休・育休の取得を勧められる可能性もあります。退職理由を伝えるときは、「家族からの希望もあって決断した」と家族の意向を踏まえていることも伝えれば、引き止めにくくなります。
キャリアアップ・スキルアップしたいため
認定看護師、専門看護師の資格を取りたいなど、前向きな理由の場合は応援してもらえる可能性が高いです。取得したい専門分野が病院になければ、引き止められることはありません。
とはいえ、今の職場で働きながらキャリアアップができるのであれば、引き止めにあう場合があります。その場合は、「資格取得のためには働きながら両立するのが難しい」と辞めざるを得ない状況であることを伝えましょう。
ほかの分野・施設で働きたいため
今の職場では経験できない、まったく異なる職場で働きたいという理由の場合は、引き止めにあいにくいです。
やりたい分野があれば無理に引き止められることもありません。病棟看護師であれば「訪問看護で経験を積んで知識を深めたい」と具体的な方向性を示すと、理解を得やすくなります。
ただし、ほかの分野であっても、今の職場で部署異動すれば完結する場合は引き止めにあいやすいため注意しましょう。ほかの場所でしか経験が積めないことをアピールすることが大切です。
看護師が強い引き止めにあわずに円満退職するには
看護師が強い引き止めにあわずに円満退職する流れを解説します。
なるべく早めに退職の意思を伝える
円満退職するためには、事前準備が大切です。就業規則に則って、退職の意思を伝えましょう。早いほど人材確保の段取りを組みやすくなるため、引き止められにくくなります。
病院によっては退職の申し出の期間が異なる場合がありますが、余裕をもって伝えれば納得してもらいやすくなります。退職までに引き継ぎが滞りなく済めば、有給も取得しやすくなります。
直前に退職の意向を伝えると、自分だけでなく病院側にとってもマイナス要因となるため、避けたほうが無難です。
退職の意思を言いづらい場合は、以下の記事をチェックしてみてください。
「退職を言い出しにくい看護師の方へ|スムーズに辞めるための対策とは?」
相談ではなく決定事項として伝える
引き止めにあわないように、退職への意志が固いこと、退職時期をはっきり伝えることが重要です。相談のスタンスで臨むと引き止めにあう可能性があるため、決定事項として伝えることがおすすめです。
「新しい人が見つかるまでいてほしい」「病院にとって必要な人材だから」と言われても、毅然とした態度で退職の意志を示しましょう。次の転職先や時期が決まっている場合は、伝えるのも効果的です。
まとめ
看護師が退職を考えたときに強い引き止めにあうのは、人員不足や採用の手間やコストという理由が大半です。そのため、改善の余地がある「収入面に対する不満」や「人間関係に関する悩み」などが理由の場合は、引き止められる可能性が高いのです。
引き止めに合わないためには、病院側での改善が難しい理由や、理解してもらいやすい理由を伝えるのがおすすめです。引き継ぎ業務や採用の手配が必要になるため、退職の意志が固まったら早めに上司に伝えましょう。