看護師で転職経験がある場合、自分の転職回数に不安になることがあるかもしれません。
ここでは、看護師の平均転職回数や転職を失敗しないためのポイントについて解説していきます。
看護師の平均転職回数
厚生労働省が発表する平成22〜23年の「看護職員就業状況等実態調査結果」によると、就業中の看護師の転職回数は次の表のとおりです。
転職回数 | 回答人数 | 割合 |
0回 | 7,861人 | 45.2% |
1回 | 4,174人 | 24% |
2回 | 2,453人 | 14.1% |
3回 | 1,382人 | 7.9% |
4回 | 639人 | 3.7% |
5回以上 | 597人 | 3.4% |
無回答 | 278人 | 1.6% |
このデータから看護師の半数以上が転職を経験していることが分かります。複数回の転職を経験している人も決して少なくはありません。
また、厚生労働省「平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、女性看護師の割合は92.2%です。
女性は結婚や出産などのライフイベントでの退職が比較的多い傾向にあります。それに加えて、看護師の仕事は激務になりやすく、責任が重いことも関係しているでしょう。
しかし、転職回数が多すぎると選考で不利になるおそれがあります。そのため、自身の悩みを解決する方法についてよく考えておくのが望ましいです。
出典:「看護職員就業状況等実態調査結果」(厚生労働省)
出典:「平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」(厚生労働省)
看護師の転職回数が多くなる原因
看護師なら1回や2回の転職は珍しくありませんが、それ以上に転職を繰り返している人もいるでしょう。では、なぜ転職回数が増えてしまうのか、その主な原因について見ていきましょう。
情報収集が不足している
情報収集が不十分だったためにミスマッチが起こり、転職につながるケースが多いです。
たとえば、業務内容や労働時間などの面で、思っていたよりもきついことがあるでしょう。給与の内容に関して不満を抱く場合もあります。
いずれもイメージだけで就職先や転職先を決めてしまうのが大きな原因といえるでしょう。職場の雰囲気や人間関係なども、職場見学や口コミサイトで確認していない人は、イメージとのギャップが生じやすいです。
なんとなく転職している
転職理由を具体的に考えていない場合、転職先に求める条件が曖昧になります。このとき、転職先でも同じように不満を持つことが多いです。
給与やホームページの印象のみで職場を決めてしまっていると、そのような状況に陥りやすくなります。
どんな働き方をしたいのか、転職先に何を求めているのか整理しておくことが大切です。
良い人間関係を築けない
看護師は医師や先輩・同僚の看護師、患者様などと関わります。さまざまな人たちと良好な関係を築いていく必要があり、人間関係に悩む人は多いです。
人間関係の悩みに関しては特に女性が抱えやすく、女性ならではのコミュニケーションの難しさもあるでしょう。人間関係が悪いと、精神的な負担も大きく感じられます。その影響でモチベーションを維持するのが難しくなり、転職を考える人も多いです。
無理に人間関係を築こうとせず、最低限のコミュニケーションだけにとどめ、仕事に集中するのもひとつの解決策といえます。
心身共に余裕がない
看護師の仕事は責任が重い上に夜勤もあります。残業が多く長時間労働になりやすいこともあり、ハードな内容です。緊急対応などもしなければなりません。心身ともに余裕がなくなり、転職を考える人は多いです。
労働基準法で規定されている時間を超えて残業をすることもあるでしょう。そのような場合には、体力的にも精神的にも疲れが蓄積していくため、転職に踏み切る人も少なからずいます。
転職先でも同じようなことにならないためには、自分が問題なく働ける仕事量を把握することが大切です。また、すでに転職回数が多い人は、働き方を変えてみるのも良いでしょう。
転職回数が多くても採用される看護師の特徴
転職回数が多いと選考で不利になる傾向にあるものの、ポイントを押さえておけば採用されることは可能です。ここでは、転職回数が多くても採用されやすい看護師の特徴について見ていきましょう。
転職の理由が明確に説明できる
面接官は転職回数よりも転職理由の方を重視する傾向にあります。そのため、転職回数が多かったとしても、転職に至った経緯をきちんと説明しましょう。転職理由に関して納得が得られればマイナスポイントとして扱われないこともあります。
転職理由を説明する際は、キャリアの一貫性を重視しましょう。
逆に転職理由をうまく説明できないと、よく考えずに転職を繰り返していると思われるかもしれません。転職理由を整理するため、紙に書き出して自分の言葉で伝えられるようにしておくことをおすすめします。
勤務年数が長い
前職での勤務年数がある程度長いと、転職回数はそれほど問題にならないこともあります。採用コストの圧迫を避けるため、勤務年数を重視する企業も多いためです。
加えて、仕事への前向きな気持ちを伝えられれば、すぐに辞める可能性は低いと判断されるでしょう。採用してもらえる可能性も高まります。
具体的な勤務年数の目安としては、3~5年以上あれば良いでしょう。
即戦力になる
中途採用においては即戦力が求められます。採用側にとっては教育コストを抑えられるということで、即戦力人材を積極的に採用する傾向が強いです。
そのため、自分の経験を面接官にきちんと伝えられる人なら、採用されやすいといえます。うまく話すのが難しいと感じているなら、これまでの経験や業務内容を具体的に書き出してみましょう。自分の強みなども言語化しておくと、面接本番でも話しやすくなります。
転職回数が多い看護師が転職に失敗しないためのポイント
転職回数が多い看護師でも、工夫次第でうまく転職できる可能性があります。では、どんな点に着目すれば良いのか、失敗しないためのポイントについて見ていきましょう。
転職理由をポジティブに話す
転職理由を話すときにはポジティブに話すことが大切です。ネガティブな理由だと受け取られると、また辞めてしまうと思われるおそれがあります。そのため、ネガティブな理由の場合には伝え方を工夫してみましょう。
たとえば、業務内容に対して不満があった場合には、「スキルアップを目指していた」と言い換えることができます。人間関係が理由であれば、「チームワークの良い職場で働きたい」と伝えると良いでしょう。伝え方を工夫するだけで、印象が大きく変わります。
看護師の転職サイトを利用する
看護師の転職サイトを利用すれば、基本的に無料で手厚いサポートが受けられます。
たとえば、転職に関する悩みや不安をアドバイザーに相談できます。面接対策などをしてくれる転職サイトなら、転職成功率が高くなるでしょう。アドバイザーを通じて気になる求人の職場事情を知ることができるので、情報収集もしっかりできます。
また、非公開求人を取り扱っている転職サイトも多いです。そのようなサイトを選ぶことで、多くの選択肢から、自分に合った転職先を見つけやすくなります。
選択肢を広げてみる
看護師の職場といえば、病院やクリニックが多いですが、働く場所の選択肢を広げることも可能です。たとえば、次のようなところでも看護師の求人を募集していることがあります。
・老人ホーム
・保育園
・一般企業
・医療機器メーカー
・美容クリニック(美容看護師)
これらの職場で働く場合には、病院やクリニックで働く場合と比べて労働環境や業務内容が全く違うことも多いです。そのため、自分に合った職場が見つかるかもしれません。
美容クリニックの仕事が気になる方は、美容医療業界の人材紹介サイト美容看護師(ナース)専門の転職サイト「ビナラボ」のご利用がおすすめです。美容看護師に精通したアドバイザーに相談することができるため、興味がある方はぜひ活用してみましょう。
まとめ
看護師は転職回数が多い場合でも、即戦力になる人や勤務年数が長い人だと問題なく採用されることが多いです。そうでない場合でも、転職理由をポジティブに話せれば、採用される可能性は高まります。
十分な情報収集を行い、自分が何を求めているのか明確にした上で応募するようにしましょう。