医療法人の役員報酬増額における節税対策について


医療法人における役員報酬は増額することができますが、いくらクリニックの経営が順調であっても、増額できる額には限界があります。
医療法人の役員報酬を増額することによって、個人における所得税率が高くなってしまうためです。
では医療法人は、役員報酬増税における節税対策として、一体何をすべきなのでしょうか?

目次

医療法人は役員報酬増額における節税対策として何をすべき?

医療法人が役員報酬増額における節税対策としてすべきことは、“役員報酬の分散”です。
理事長の妻やその他の親族が医療法人の役員に就いている場合、理事長における業務を一部任せることによって、役員報酬は複数人に分散できます。
ではこの節税対策をすることによって、一体どれくらいの節税効果が生まれるのでしょうか?
実際にシミュレーションしてみましょう。

医療法人は役員報酬増額における節税対策のシミュレーション

この節税対策を実践する場合、医療法人の理事長は以下の要件をクリアしている必要があります。

・妻以外の扶養親族がいない
・妻が医療法人の役員に就いている

これらをまだクリアしてないという場合は、医療法人の役員報酬増額における節税対策のシミュレーションをする前に、1度クリアできるかどうかを検討しましょう。
役員報酬には給与所得控除があるので、役員報酬を分散しなければ、理事長・妻の役員報酬、税額は以下のようになります。

・役員報酬の分散前
理事長の役員報酬:2,400万円
税額:564万円
妻の役員報酬:96万円
税額:0円
合計の役員報酬金額:2,496万円
合計の税額:564万円

妻に院長の業務の一部を任せ、役員報酬を分散できれば、以下のような節税効果が生まれます。

・役員報酬の分散後
理事長の役員報酬:1,800万円
税額:321万4,000円
妻の役員報酬:696万円
税額:50万9,000円
合計の役員報酬金額:2,496万円
合計の税額:372万3,000円

このように、理事長と妻の役員報酬の合計金額が同じでも、役員報酬を分散することによって、税額を大きく下げることができます。
上記の例では、200万円近くの節税に成功しています。
また妻に社会保険料が発生しても、節税におけるメリットがあり、世帯の可処分所得も増加します。

まとめ

医療法人の役員報酬増額における節税対策を解説しましたが、理解していただけたでしょうか?
つまり医療法人の役員報酬を増額する場合は、理事長と同じく役員である妻と報酬を分散し、効果的な節税対策を実践するべきだということです。
今回のシミュレーションのように、役員報酬の額によっては非常に大きな金額の節税にも繋がる方法なので、ぜひ1度試してみることをおすすめします。


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