事業承継を検討している場合、問題になるのは相続税等の税金関係です。
せっかく後継者にメリットの多い形で引き継がせたいと思っていても、税金の負担が大きい時もあるでしょう。
実は、令和元年度からある特例制度が設けられています。
今回は、クリニック事業承継時における、相続税関係のお得情報をご紹介しましょう。
目次
クリニックでも利用可能!~個人事業財産の相続税納税猶予・贈与税納税猶予の特例~
今回ご紹介する内容は、クリニックの事業承継を行った際に発生する相続税や贈与税の納税猶予が認められるものです。
事業用の資産の場合、高額になっていることが多いですから、納付を求められても中々対応しにくい事情がありますよね。
それが、事業承継した後継者ならば、尚更のことでしょう。
ですが、この特例を利用すると、その負担に融通が利くことになるのです。
これは、2019年4月1日から始まった内容になり、『個人事業承継計画』を都道府県に提出することが求められます。
ここ最近始まった内容ですから、まだ詳しく知らないという人もいるでしょう。
そして大事なのは、利用できる期間が5年間と決まっていることです。
すぐに終わってしまう訳ではありませんが、これから事業承継を検討しているクリニックがある場合は、利用を視野に入れてみても良いでしょう。
特例利用時のクリニックの相続税で対象となる特定事業用資産とは?
特例を利用する場合、「特定事業用資産」という用語がポイントになります。
これは、みなさんが資産として持っている建物が何でも適用される形ではありません。
クリニックの相続税関連を考え始めた時点で、今一度自分の物件の特徴を確認するようにして下さい。
個人事業に使っている資産の中でも、「青色確定申告書の貸借対照表」に記載されている物が対象になります。
細かい条件は、以下の通りです。
・建物…床面積800㎡までの部分
・土地…400㎡までの部分
・固定資産税の課税対象となる減価償却資産
・自動車(自動車税や軽自動車税が課されていること)
上記の項目を見ると、何かしら合致している内容がありそうですよね。
どうしても経営者として働いていると、多様な資産を抱えることになります。
その結果、課税額が大きくなりやすいですよね。
このような背景による事業承継が困難な状態を回避するために、特例が設けられたことになります。
利用できる期間は限定されていますが、上手く活用して事業にプラスになるようにしましょう。
まとめ
クリニックの事業承継に関わる相続税の問題は、未だに悩ましいですよね。
ですが、納税猶予の特例を利用すると、すぐに納付しなくてもよくなりますから、お金の心配を軽くすることができます。
今までの制度で、事前に納付を猶予してくれる内容があったでしょうか?
クリニック業界の事業承継の問題は深刻ですから、そこに一つの対応策が登場したと言っても過言ではありません。