クリニックにおける源泉徴収票作成のポイントや注意点


クリニックは、医師や従業員に支払った給与等に対する源泉徴収を行うことがあります。
また、この場合の重要な手続きとして、“源泉徴収票”の作成が挙げられます。
ここからは、源泉徴収票作成のポイントや注意点などについて解説しますので、まだ開設して間もないクリニックの開業医の方は、ぜひ参考にしてください。

目次

源泉徴収票作成の対象となる人物

源泉徴収票は、クリニックが給与、賃金、歳費、賞与、その他これらの性格を有する給与を支払った人物を対象に作成しなければいけません。
対象となる具体的な人物、源泉徴収票の提出範囲については、以下の通りです。

対象の区分

提出範囲

年末調整済

法人の役員および源泉徴収を行う同年度中に役員であった人物

源泉徴収を行う年度中の給与等の支払い金額が150万円を超えるもの

弁護士、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、弁理士等

源泉徴収を行う年度中の給与等の支払い金額が250万円を超えるもの

上記以外の人物

源泉徴収を行う年度中の給与等の支払い金額が500万円を超えるもの

年末調整なし

給与所得者の扶養控除等申告書を提出した人物

源泉徴収を行う同年度中に退職した方

源泉徴収を行う年度中の給与等の支払い金額が250万円を超えるもの(法人の役員の場合には50万円を超えるもの)

主たる給与等の金額が2,000万円を超えるため、年末調整をしなかった人物

全部

給与所得者の扶養控除等申告書を提出しなかった人物

源泉徴収を行う年度中の給与等の支払い金額が50万円を超えるもの

源泉徴収票に記載すべき事項

源泉徴収票を作成する際、クリニックが記載すべき事項は以下の通りです。

・支払いを受ける者
・給与の種別
・支払金額
・給与所得控除後の金額(年末調整をした場合のみ)
・給与控除額の合計額(年末調整をした場合のみ)
・源泉徴収税額
・(源泉)控除対象配偶者の有無等
・配偶者(特別)控除額(年末調整をした場合のみ)
・控除対象扶養親族の数(配偶者を除く)
・16歳未満の扶養親族の数
・障害者の数(本人を除く)
・非居住者である親族の数
・社会保険料等の金額
・生命保険料、地震保険料の控除額(年末調整をした場合のみ)
・住宅借入金等特別控除額(年末調整をした場合のみ)
・生命保険料の金額の内訳、国民年金保険料等、旧長期損害保険料の金額(年末調整をした場合のみ)
・住宅借入金等特別控除額の内訳(年末調整をした場合のみ)
・(源泉・特別)控除対象配偶者、控除対象扶養親族
・配偶者の合計所得
・16歳未満の扶養親族の氏名(5人以上いる場合は摘要、備考にも記載)
・未成年者から勤労学生までの各欄
・中途就、退職
・支払者

ここでいう源泉控除対象配偶者とは、受給者(合計所得金額が900万円以下である方に限る)と生計をともにする配偶者で、合計所得金額が85万円以下の方を指しています。
また、控除対象配偶者とは、同一生計配偶者のうち、合計所得金額が1,000万円以下である受給者の配偶者のことをいいます。

源泉徴収票作成の注意点

クリニックが弁護士や司法書士等に給与等として金銭を支払っている場合、源泉徴収票を作成、提出しなければいけませんが、これらの方に報酬等として支払う場合には、“報酬、料金、契約金および賞金の支払調書”の提出対象となります。
また、税務署へ提出を要する源泉徴収票は、1人の受給者につき、“給与所得の源泉徴収票”を税務署提出用と受給者交付用として各1枚、“給与支払報告書”を市区町村提出用として2枚の計4枚作成します。
一方、税務署へ提出を要しない受給者分については、給与所得の源泉徴収票を受給者交付用として1枚、給与支払報告書を市区町村提出用として2枚の計3枚作成します。
ちなみに、給与支払報告書に関しては、給与所得の源泉徴収票とは異なり、その前年において給与等の支給を受けているすべての受給者のものを関係市区町村に提出しなければいけません。
なお、年の途中で退職した人物については、源泉徴収票を発行する年の1月31日までに、退職時の住所地の市区町村に給与支払報告書を提出します。
このとき、退職した人物に対する給与等の支払い金額が30万円以下の場合は、提出を省略することが可能です。
給与所得の源泉徴収票は、提出範囲に関わらず、すべての受給者について作成の上、確定申告をする年の1月31日まで(年の途中で退職した人物の場合、退職日の以後1ヶ月以内)に受給者に交付しなければいけません。
ここでいう“すべての受給者”には、国内に住所または1年以上居所を有する居住者である外国人従業員も含まれるため、その従業員にも必ず給与所得の源泉徴収票を交付します。

まとめ

ここまで、クリニックにおける源泉徴収票の作成対象や記載事項、作成の注意点などについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
実際作成してみないとピンと来ない部分もあるかと思いますが、記入ミスや漏れ、作成もしくは提出忘れだけはないように注意してください。
もし不安なのであれば、税理士などの専門家に依頼し、アドバイスをもらったり、ミスがないかどうか確認してもらったりすることをお


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