医療法人社団の種類や非営利組織の定義、詳細について


“医療法人社団”は、一定の目的のもとに集合した人の団体である医療法人であり、ここでいう目的とは病院やクリニックの開設を指しています。
また、一口に医療法人社団といっても種類はさまざまであり、それぞれ特徴は異なります。
今回は、これらの点とあわせて、医療法人社団が該当する非営利組織の定義も解説します。

目次

医療法人社団の種類

医療法人社団は、医療法人の類型の1つであり、医療法人財団と区別されています。
また、医療法人社団はさらに細分化することができ、大きく以下の2種類に分かれます。

・持分の定めのある法人
・持分の定めのない法人

持分の定めのある法人

出資持分に関する定めについて、定款で設けている医療法人社団を持分の定めのある法人といいます。
しかし、社員の出資額に応じた払戻が、医療法における非営利性の確保に抵触する可能性があることや、剰余金の社外流出により医療法人の財産が不安定となる可能性があることなどから、2007年に施行された改正医療法により、こちらの新規設立はできなくなりました。
また、改正医療法が施行される前に設立された医療法人社団のほとんどは、持分の定めのある法人ですが、これらは経過措置型医療法人として存続することが認められています。
つまり、新規設立ができなくなったからといって、持分の定めのある法人が完全に消滅したわけではないということです。
ただし、政府は適正なサポートを行うとともに、経過措置型医療法人に対し、持分の定めのない法人への自主的な移行を促しています。

持分の定めのない法人

持分の定めのない医療法人は、現在新規設立が許可されている医療法人社団の形式であり、税率の観点から以下の3つに分類されています。

・社会医療法人
・特定医療法人
・その他医療法人

2007年の改正医療法で新設された社会医療法人は、都道府県知事の認定を受けることで、本来業務の病院やクリニックなどから生じる所得について、法人税が非課税になるなどの税制上の優遇措置が適用されます。
一定の範囲内であれば、収益業務を行うことも可能です。
また、特定医療法人は、国税庁長官の承認を得ることで、法人税の軽減税率が適用されますが、収益業務を行うことはできません。
そして、これらのいずれにも該当しない、持分の定めのない医療法人社団がその他医療法人です。
税制上の優遇措置は特になく、特定医療法人と同じく、収益業務を行うことも認められていません。

非営利組織の定義、詳細について

現在存在する医療法人のうち、およそ99%は医療法人社団が占めています。
つまり、“医療法人=医療法人社団”という認識で差し支えないということです。
また、医療法人には、以下の3つの特徴があります。

・非営利であること
・余剰金の配当が禁止されていること
・原則理事3名以上と監事1名以上が必要であること

ここで注目したいのは、“非営利であること”という特徴です。
つまり、医療法人社団は、非営利組織として活動しなければいけないということです。
また、非営利組織には、いくつかの定義が存在します。
具体的には以下の通りです。

・フォーマルな組織であること
・非政府性があること
・利益配分するものではないこと
・自己統治性があること
・自発性があること
・公益性があること

フォーマルな組織であること

公式なもの、つまりある程度公共組織化されたものである場合、非営利組織と認められます。
そのため、一度限りの集まりなど、ノンフォーマルなものは含まれません。

非政府性があること

民間のもの、つまり制度的に政府から独立しているものは、非営利組織という扱いになります。
具体的には、政府機関の一部でなく、役人の統制下にもない民間の独立機関を指しています。

利益配分するものではないこと

非営利組織は、組織の所有者に対し、利益を生み出すものではありません。
事業活動から利益を生むこと自体はある程度認められていますが、その利益は本来の活動目的に投入する必要があります。

自己統治性があること

自身たちの活動を管理する自己統治性を備えている組織は、非営利組織として認められます。
そのため、外部の機関などに管理されることはありません。

自発性があること

自発的な意思によって活動しているということも、非営利組織における定義の1つです。
つまり、組織の実際の活動において、あるいはその管理について、何らかの有志による自発的な参加を含むものであるということです。

公益性があること

非営利組織は、公共の利益のためのもの、つまり不特定多数の利益に奉仕し、寄与する組織でなければいけないとされています。

まとめ

ここまで、医療法人社団の種類や詳細、医療法人社団を含む非営利組織の定義について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
医療法人社団の設立を目指すクリニックは、まず医療法人というものの概要やシステムを理解し、そこから医療法人社団の詳細や医療法人財団との違いなど、徐々に知識の幅を広げていく必要があります。
じっくり時間をかけて、着実に学んでいきましょう。


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