臨床経験がないと、看護師資格を活かして働くのは難しいと思っている人もいるでしょう。しかし、臨床経験関係なく、看護師の活躍できるチャンスは幅広く存在し、今もなお多くの現場で必要とされているのです。
今回は、臨床経験のない看護師が転職するときのポイントや働きやすい職場の特徴について紹介します。
臨床経験のない看護師でも転職できる?
臨床経験のない看護師でも、活躍できる転職先は数多くあります。転職できる理由は次のとおりです。
看護師は人材不足
看護師の人数は国全体で不足しています。すでに人材不足な職場ではもちろん、これから先はますます看護師不足は深刻化していくでしょう。国家資格である看護師は、資格をもっているだけでも貴重な人材であり、臨床未経験であっても需要が高まっています。「未経験者歓迎」の求人も増えているため、臨床経験がないことに引け目を感じる必要はありません。
教育体制や研修制度が整っている病院であれば、働きながらスキルアップができます。知識とスキルの両方を同時に高めることができるでしょう。
復職支援制度が充実している
充実している復職支援制度を活用することで、再就職へと一歩踏み出しやすくなります。厚生労働省では看護師の復職支援や離職防止・定着促進に取り組んでおり、再就職支援は、すべての都道府県ナースセンターで受けることが可能です。
たとえばナースセンターによって病院や施設で実務を経験できる実習や、研修施設で採血や点滴、注射などの研修などが受けられます。ブランクがあっていきなり再就職するのが不安な方でも、復職支援を積極的に活用することでスムーズな復職ができるでしょう。
臨床経験のない看護師が転職する際のポイント
臨床経験がない看護師でも転職はできますが、実際に気になるのは「どんな点を重視して転職するべきか」ではないでしょうか。臨床経験のない看護師が転職する際に、チェックすべきポイントをご紹介します。
教育制度が整っているかどうかチェックする
まずは、転職を検討している病院では既卒新入者向けの教育や研修制度が充実しているかをチェックしましょう。
人手不足な現場では、既卒新入者への教育に十分な予算や時間をさけず、手厚い教育が受けられない可能性があるからです。「未経験者歓迎」や「未経験OK」としている求人は比較的教育制度が充実していることが多いため、求人情報を探す際に確認するのをおすすめします。
よくある教育制度としては「プリセプター制度」や「クリニカルラダー制度」があげられます。それぞれの特徴は次のとおりです。
・プリセプター制度
新卒者や臨床経験が未経験の看護師などに、プリセプターと呼ばれる先輩看護師がマンツーマンでついて指導を受けられる制度です。個人の知識やスキルに応じた指導を受けられ、疑問や悩みをすぐに相談できます。
・クリニカルラダー制度
病院ごとに設定した、スキルや知識の指標のことです。個々の能力や目標に応じて、一つひとつはしごをのぼるように着実にスキルアップを目指していけます。日本看護協会が2014年から重点事業として力を入れている教育制度です。
プリセプター制度やクリニカルラダー制度は、求人票には記載されていないこともあります。応募先の教育制度を知りたい場合は、転職エージェントを通じて確認してもらうのが望ましいでしょう。
看護師の人数が多いクリニックに転職する
クリニックの規模に対して、十分な人数の看護師が働いているかどうかを確認しておくことをおすすめします。人数が少ないクリニックでは看護師一人ひとりの負担が大きく、十分なスキルがないまま戦力として頼られてしまう可能性があるためです。余裕のない仕事環境では、疑問や悩みも気軽に相談できないかもしれません。
人員や時間に余裕のあるクリニックのほうが、比較的教育体制も整っています。十分な数の看護師が配置されているかを確認するようにしましょう。
派遣やアルバイトとして働くのもアリ
いきなり大きな責任を担うのは、多くの方がプレッシャーに感じるのではないでしょうか。臨床経験がないことやスキルに関して不安が大きい方は、派遣やアルバイトとして仕事に慣れていくのも選択肢のひとつです。
派遣やアルバイト看護師の場合、勤務時間が決まっており、業務範囲も限られているため、ライフスタイルに合わせた働き方ができます。また、准看護師であれば働きながら職場の雰囲気を把握し、自分のペースで経験とスキルを高めていけます。
派遣やアルバイトは、長時間勤務が難しい方や子育て中の方にもおすすめです。派遣やアルバイトの経験を経て、ゆくゆくは正社員を目指して転職活動をしていくのも良いでしょう。
派遣の働き方に興味のある方は、以下の記事をご確認ください。
「経験が浅い人でも派遣看護師になれる?働きやすい職場や注意点を解説」
臨床経験のない看護師が働きやすい職場
臨床経験のない看護師が働きやすい職場をいくつか紹介します。求人情報を探すときは、気になる職場に絞って検索すると、より効率的な転職活動ができます。
リハビリテーション病院
ひとつ目におすすめする職場は、病気やケガによって日常生活を送るのが難しくなった方にリハビリを行う、リハビリテーション病院です。在宅復帰や職場復帰に向けて、身体機能の回復を目指します。
リハビリテーション病院で働く看護師は、入院中の生活をサポートし、患者様のケアをメインに行います。急性期病棟と比べると急患や急変が少ないため、落ち着いて仕事に就けるのが大きなメリットといえるでしょう。
焦らずにじっくりと働けるので、ブランクがある看護師にも向いています。患者様とのやりとりや日常生活の介助に働きがいを感じる方にはぴったりです。
介護施設
二つ目に紹介するのが、入居者の生活介助や身体介助を行う、老人保健施設や特別養護老人ホームなどの介護施設です。
主な仕事内容は、入居者の健康管理です。施設によっては痰の吸引やインスリン注射などの医療行為も行いますが、基本的に落ち着いたペースで仕事を進められます。
入居者の急変対応に立ち会うこともあるものの、緊急性の高い対応を求められる機会は少ないです。
介護施設は高齢者へのサポートが好きな方や、介護スキルも学びたい方におすすめできます。介護職をはじめ、多くの職種と連携できるため、コミュニケーション能力の向上も期待できるでしょう。
訪問看護
三つ目に紹介する職場は、訪問看護です。主な仕事内容は、利用者様の自宅に訪問し、健康管理や主治医の指示に基づいた医療処置(点滴、採血、吸引など)を行います。
近年は新卒採用を含め未経験者の採用も積極的に行っており、教育体制が充実しているところが多いです。初めて仕事をする際は先輩看護師に同行して訪問経験を学べるなど、フォロー体制も整っているため、看護スキルに不安がある方でも働きやすい職場といえます。
美容クリニック
四つ目に紹介する職場は、美容クリニックです。美容クリニックでは、きれいになりたい患者様のサポートを行います。業務内容に制限はあるものの、臨床経験がない人でも雇ってくれる美容クリニックもあります。
主に、脱毛のように臨床経験の場を必要としない美容クリニックで募集していることが多いです。なかには新卒の看護師を採用しているところも見られます。
新卒や臨床経験がない人を採用する美容クリニックの場合、教育制度が充実している傾向にあるため、入職した後も安心してスキルを身につけられることができるでしょう。
まとめ
臨床経験がないことで再就職を不安に思っている方も多いですが、看護師は多くの現場で今も必要とされています。復職支援や教育制度が整っている職場を選べば、医療スキルの向上やキャリアアップを目指せるでしょう。
看護師の就職先には、リハビリテーション病院や介護施設、訪問看護、美容クリニックのように、高度な医療スキルを必要とせず患者様とじっくりと向き合いながら働ける職場もあります。転職エージェントを活用し、条件に合った求人を見つけましょう。
また、臨床経験が浅い人の看護師転職については、以下の記事もチェックしてみてください。
「看護師1年目の転職!辞めるかどうかの判断基準や転職成功のコツとは」