看護師の退職届の書き方は?提出方法やタイミングも紹介

退職願と退職届の違い

職場を退職する際には「退職願」や「退職届」を提出する必要があります。似たような言葉であるため、違いがわからない人もいるかもしれません。ふたつは意味や提出するタイミングが異なります。

退職願とは

退職願とは、「これから退職交渉を行いたい」という意思表示をするための書類です。直属の上司に退職の意思を伝え、退職の交渉をする際に提出します。

退職願は、職場との雇用契約の解消を申し入れるための書類であり、承認される前であれば、退職を撤回することも可能です。また、上司が受け入れるとは限らず、「受理できない」と断られる可能性もあります。

退職交渉が難航しているときは、退職願があることで意思表示が形に残ります。交渉がスムーズに進んでいる場合や職場によっては、退職願は提出しなくても良い場合があるため、就業規則を確認しておきましょう。

退職届とは

退職届とは、「雇用契約の解消を職員側から表明する」ということを届け出るための書類です。退職の承認が得られてから提出することが一般的で、書類には退職日が記載されます。

提出した時点で退職日が確定することになるため、よほどのことがない限り撤回はできません。本当に提出して良いのか、よく考えたうえで提出するようにしましょう。

職場により指定の届け出用紙がある場合もありますが、なければ自分で便箋や封筒を準備する必要があります。

退職届の基本的な書き方

退職届の基本的な書き方を解説します。規定の書類を指定している職場もあるため、あらかじめ確認しておきましょう。

退職届を書くときに用意するもの

退職届を書くときは、以下のものを準備します。

B5もしくはA4サイズの便箋

白い便箋で、罫線入りの場合はビジネス用のシンプルなタイプを選びましょう。便箋は三つ折りにして封筒に入れます。

郵便番号枠のない白い封筒

退職届には「白封筒」「二重封筒」と呼ばれる、中身の透けない二重構造になっているタイプがふさわしいとされています。

大きさは、便箋のサイズに合うものを選びましょう。便せんがB5サイズであれば「長形4号」、A4サイズであれば「長形3号」が適切です。便箋を入れる際は三つ折りにして入れます。

黒いボールペンまたは万年筆

退職届では、黒いボールペン、もしくは万年筆で書くのが基本です。

筆ペンやマジックは文字が目立ちすぎるため、避けましょう。また、消せるボールペンの使用も控えたほうが無難です。労働基準法で、人事関係の書類は3年間の保存が義務づけられており、消せるボールペンでは消えてしまうおそれがあるためです。

透明なクリアファイル

書類の保管用です。提出前は汚れを防ぐためクリアファイルに保管しておきましょう。

退職届のフォーマット

職場で退職願や退職届の書き方、フォーマットが指定されている場合もあるので、就業規則を確認しておきましょう。以下で記入の基本をみていきます。

1.タイトル
「退職届」と記入します。

2.冒頭
「私儀」もしくは「私事」から書き始めてください。

3.退職理由
退職の理由を記入してください。自己都合退職の場合は「このたび、一身上の都合により」となります。文末は「○○年○月〇日をもって退職いたします。」と記載します。

4.提出する年月日
退職届を提出する日付を漢数字で記入しましょう。

5.所属部署・氏名
所属部署や役職は正式名称で、自分の名前はフルネームで記入します。

6.あて先
組織の最高執行責任者の名前を記入します。「院長」「社長」などの役職とフルネームを書きましょう。自分の名前より上の位置に書き、敬称は「殿」をつけます。

縦書きと横書き

縦書きか横書きかは、職場の指定がなければどちらでもかまいません。縦書きの方が一般的でフォーマルなイメージがあるため、縦書きが望ましいでしょう。

最近では、ほとんどの文書がPCで作成されますが、退職届・退職願いは手書きが基本です。ていねいな字で書き、誤字・脱字に注意しましょう。誤字・脱字があった場合は、新しい便箋に書き直すようにしてください。

退職の理由

自己都合退職の場合の理由はすべて「一身上の都合」と記入します。主に次のようなときです。

・結婚や出産、育児などのライフイベント
・自分の病気、家族の介護
・キャリアアップのための転職
・職場や人間関係の不満

理由を聞かれた場合、結婚や出産、介護などの都合であれば正直に伝えても良いでしょう。しかし、人間関係や職場への不満での退職であれば、正直には伝える必要はありません。「スキルアップしたい」などのポジティブな理由にして伝えることが重要です。

病院・クリニックなど職場(会社)都合による退職の場合は、具体的に理由を書きます。会社都合による退職は、次のようなときです。

・会社の倒産
・早期退職制度を利用した退職
・リストラ

上記の場合は職場と合意した理由を記載します。理由により退職後に受給する失業保険の金額や期間が変わるため、注意しましょう。

退出届を提出する方法

退職届は提出する相手や渡し方、提出するタイミングがあります。しっかり覚えておきたいポイントです。

退職届を提出する相手

退職届は、一般的に直属の上司に提出します。病院であれば看護師長、もしくは看護部長です。退職願や退職届に書く「あて名」は院長や社長になりますので、間違えないように注意しましょう。小規模のクリニックなどでは直接院長に渡す場合もあるので、あらかじめ確認しておくようにします。

退職届を提出する作法

提出は手渡しが基本です。上司が不在の場合はいったん持ち帰り、後日手渡しするようにします。くれぐれも上司の不在のときに机に置いておくことがないようにしてください。持ち帰った書類はあらためて日付を書き直しましょう。

手渡しが基本ではありますが、病気や怪我で職場に行けない場合は上司に電話で相談し、指示をあおぎましょう。

どうしても手渡しできない場合は、内容証明郵便で郵送することもできます。

退職届を提出するタイミング

退職届は「退職が承認されてから」提出します。提出するまでの流れを見ていきましょう。

1.退職の意思を決定する

退職の意向は就業規則に則って、上司に伝えましょう。引き止められるのを避けるためにも、余裕をもって伝えることが大切です。伝えるときは上司にアポイントをとることを忘れずに。

2.退職願を提出する(必要な場合)

職場によっては口頭のみで良い場合もあるので、確認しましょう。

3.退職交渉が済み、退職が承認されたら退職届を書く

退職が承認されたら、上司と相談し正式な退職日を決めます。就業規則や上司の指示に従い、正式な退職日を記入した退職届を準備します。

4.上司へ退職届を提出する

就業規則において、「退職日の○○日前まで提出する」と決められている場合があるので、あらかじめ確認しておきましょう。

万が一引き止めにあっても、民法上退職届で退職の意思表示をしていれば、提出から2週間程度で退職することは可能です。とはいえ、円満に退職するのなら早めに上司に相談する、就業規則を確認するなどして心がけましょう。

提出の際はアポイントをとり、他の人の目に触れない会議室や個室などで手渡しするのが良いでしょう。

上司に退職を言い出しにくいと感じている方は、こちらの記事もあわせてご確認ください。

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まとめ

退職届は書き方や提出方法、提出のタイミングなどのマナーがあります。意向を固めたら、まずは上司に相談しましょう。「退職届」は職場の承認が得られてから提出してください。また、自分の都合だけでなく職場の都合を考えることも大切です。ルールに従い提出し、円満退職を目指しましょう。