転職を考えている看護師にとって、気になることのひとつが年齢制限ではないでしょうか。若いうちは良くても、30代後半、40代、50代となると、「転職は難しいのでは？」と不安に思う方もいることでしょう。
本記事では看護師の転職に年齢制限はあるのか、また年齢別に転職で押さえるべきポイントを紹介します。
看護師転職は職場次第で年齢制限がある
雇用対策法によって労働者の募集や採用における年齢制限は禁止されており、看護師の転職に明確な年齢制限は設けられていません。しかし、職場によっては一定の年齢を超えると採用に影響することがあります。
例えば、急性期病院は業務量が多く、夜勤や長時間労働が強いられるハードな職場です。そうした事情ゆえに40歳以上の採用には積極的ではない傾向にあります。
また、24時間体制で救急患者を受け入れている3次救急病院も精神的にも肉体的にもタフさが求められるハードな職場です。35歳くらいまでが採用の目安と考えておきましょう。
ハードな業務内容でなかったとしても、サービス業であることやブランディングの観点から若い看護師を採用するクリニックもあり、年齢が転職を難しくすることはあります。
とはいえ、経験豊富な看護師を採用したいと考える職場があるのも事実です。看護師としての経験やキャリアが評価される職場を探すと、転職がうまくいく可能性も高まるでしょう。
【年齢別】看護師転職で押さえるべきポイント
看護師は年齢によって期待されることが異なります。また、転職を成功させるには、年齢に合った転職先を探すことも大切です。
看護師の年齢別に転職で押さえるべきポイントを紹介します。
20代の看護師が転職する場合
20代の看護師が転職する際に押さえておきたいのは以下の点です。
職種問わずチャレンジできる
若さを武器に新しい環境にチャレンジしやすいのが20代の看護師のメリットです。20代のうちは適応能力が高く、新しい物事をどんどん吸収していけます。
可能性も未知数で伸びしろがある分、さまざまな分野に挑戦できるでしょう。例えば、年齢が高くなると転職が難しい、多忙な急性期病院やクリニック系でも問題なくチャレンジできます。
基礎ができていないと採用が難しい場合もある
体力や学ぶ意欲があっても、経験が少ないと転職が不利になることがあります。
看護師をはじめて3年以内の転職の場合、スキル面が不安要素になります。基礎がしっかりと身についていないと判断され、不採用になる可能性もあるでしょう。
また、勤務期間が短いと、忍耐力がないと思われてしまうかもしれません。転職しても「すぐに辞めるのでは？」と思われ、採用を見送られることもあるでしょう。そうしたリスクを回避するために、採用担当者が納得のいく転職理由を考えておくようおすすめします。
30代の看護師が転職する場合
30代は、看護師としての経験もあり、まだ体力もある年齢です。以下のポイントに気を付けて転職の準備をしていきましょう。
即戦力が期待される
30代になると、看護師として十分な経験を積んでいるとみなされます。即戦力になる知識や十分な看護スキルを身に付けていることはもちろん、若手の新人教育なども期待されるでしょう。
また、職場によっては若手看護師と看護師長との橋渡し役を期待されることもあります。経験のある診療科の場合は、短期間のうちにリーダー格になれるかもしれません。
ただし、経験やスキルを期待される分、それに見合ったスキルがないと、つらくなることも考えられます。これまでの経験や、自分のもつスキルに合った職場を選択するのが、転職成功のコツです。
ライフプランを考えて決めたほうが良い
30代は、結婚や出産などライフイベントが多くなる時期です。結婚して子育てをする場合、夜勤が多かったり、長時間労働が求められたりする職場だと継続することが難しいでしょう。
転職先は、これからのライフプランを考えて選ぶことが大切です。
例えば、子育てを考えているなら、子育てサポートや出産を経てもキャリアアップできる体制のある職場を選ぶことが重要です。また、有給や育児休暇が取りやすいか、院内に託児所があるかなど、福利厚生が充実しているかも確認しておきましょう。
現時点では結婚などの予定がなかったとしても、何らかのライフイベントがあっても対応できるような転職先を選ぶのがおすすめです。
40代の看護師が転職する場合
経験豊富な40代の看護師が、転職先を選ぶ際のポイントは以下のとおりです。
指導者として期待される
看護師としての経験が20年以上あることから、これまで培った技術を発揮することが期待されます。自分の経験や実績をきちんとアピールできると、転職成功につながるでしょう。
また、40代のベテラン看護師には現場の体制強化のために若手や中堅看護師の指導を行うことも期待されています。看護主任や看護師長の経験がある看護師であれば、管理職としても採用されやすいでしょう。
前職で若手育成の経験があれば、その点をしっかりとアピールすることをおすすめします。
体力面を考慮して転職先を選ぶ
40代は体力が落ちてくる年齢です。現時点ではまだまだ大丈夫と思えたとしても、あまり忙しすぎる職場だと、そのうちついていけなくなるかもしれません。転職先を選ぶ際は体力面で負担の少ない職場を選ぶのがおすすめです。
また、自分の能力を活かせる転職先を選ぶと、転職に有利なだけでなく精神的な負担も少なくてすみます。前職での経験やもっているスキルが活かせる職場を探してみましょう。
とはいえ、40代は子育てが一段落する年齢なので、30代は家庭優先で仕事をセーブしていた看護師も、バリバリ働くことが可能です。転職を機に好きな職場に挑戦するのも良いでしょう。
50代の看護師が転職する場合
50代での転職は簡単ではないとはいえ、諸事情から転職を考える看護師もいることでしょう。そんな看護師が転職を成功させるためのポイントを紹介します。
高いマネジメント力が期待される
50代の看護師は、看護ケアのスキルはもちろん、マネジメントスキルが重要になります。豊富な経験を活かし、若い看護師の相談役になることを期待されているケースが多いです。
そのため、これまでのマネジメント経験をアピールすると採用の可能性が高くなります。
定年まで働ける転職先を選ぶ
50代を超えて転職を繰り返すのは、体力的にも精神的にもつらいものです。「転職はこれで最後」という気持ちで、定年まで無理なく働けるような職場を探すと良いでしょう。
転職理由として、体力的に今までの職場で働き続けることが難しくなったという方もいるかもしれません。そんな方は、今までと違う分野でもスキルを活かせる医療施設などに転職すると、さらに活躍できる可能性があります。
少子高齢化や慢性的な看護師不足などの影響で、今後も看護師の平均年齢は高くなり続けると考えられます。スキルがあれば年齢的な要素はあまりマイナスとならず、転職を成功させることは可能です。
年齢に関わらず看護師転職に大切なこと
年齢に関わらず、看護師が転職を成功させるのに大切なことを紹介します。
転職先の理念を理解する
志望動機を書く際は、あらかじめホームページや転職サイトなどから病院の情報を集めておきましょう。
転職希望先の理念や経営方針に共感できる点があれば、それがアピールポイントになります。例えば、「一人ひとりの患者さんの声にしっかりと耳を傾ける」などといった理念であれば、それに合った経験や熱意を伝えることが効果的です。
以下は例文です。
「わたしは“患者さんを第一に考え、誠実かつ良質な医療を提供する”という御社の理念に共感し、志望しました。」
どんな部分に共感したのかといった点を具体的に伝えることが大切です。
自分がやりたい仕事を明確にする
転職だけが目標になってしまっていると、ミスマッチが起きるおそれがあります。転職先を探す前に、まずは自分が何をやりたいのかを明確にしておきましょう。
「これまでと似た環境で、より良い条件の職場を求めている」「違った職種にチャレンジしたい」など、さまざまあるでしょう。
したいことがなかなか思いつかないときは、転職したいと思った理由を言語化するのがおすすめです。そこに、自分の「したかったこと」が隠れている場合が多いです。
また、前職に何らかの不満があった場合は、その問題を解決できる職場へ転職するのが理想です。訪問看護や美容看護など、看護師の資格を活かせるフィールドは多くあります。ほかの分野も含めて、自分に合った転職先を選択しましょう。
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まとめ
年齢が看護師の転職を難しくさせることはあります。とはいえ、経験のあるベテラン看護師を求める職場もあるので、年齢ゆえに転職が無理ということはありません。転職先のニーズに合った自分の魅力をしっかりとアピールできると、40代、50代でも採用される可能性は高まるでしょう。
