派遣看護師の働き方に興味を持つ方もいるのではないでしょうか。常勤看護師は非常に忙しく、連日残業が続くことも あります。プライベートな時間が確保できず疲弊する看護師も少なくありません。
とはいえ、派遣看護師には向き不向きがあるので、派遣看護師に転職する前に向いているかどうかをじっくり考えることが大切です。そこで今回は、派遣看護師に向いている人の特徴や、派遣看護師として働くメリット・デメリットなどについて解説します。
派遣看護師に向いている人の特徴
派遣看護師とは、派遣会社と雇用契約を結び、勤務先の看護師として勤める雇用形態のことです。雇用主は派遣会社なので、給与の振り込みや社会保険の手続きは派遣会社が管理します。
常勤看護師と派遣看護師の仕事内容には、大きな違いはありませんが、勤務時間や働く期間は柔軟に決められます。この項目では、そんな派遣看護師に、向いている人の特徴を紹介していきます。
決まった期間だけ働きたい
派遣看護師は、働く期間をあらかじめ決められます。3ヶ月、半年、1年などの契約期間が定められています。例えば、育児をしていたり兼業をしていたりして、空いた期間に働きたい人に向いています。
プライベートを重視したい
プライベートを重視したい人にも、派遣看護師が向いています。派遣看護師は「平日のみ」「夜勤なしの日勤のみ」など、勤務形態を柔軟に決められることが多いためです。短時間勤務の求人もあるので、副業を探している人にも向いています。
さまざまな職場で働いてみたい
派遣看護師は、契約満了後に別の派遣先で働けるため、さまざまな職場で働いてみたい人にも向いています。
さらに派遣看護師は雇用主が派遣会社であるため、派遣先が変わっても退職扱いにはなりません。短期間で何度も派遣先が変わっても、履歴書に転職歴を書く必要がないため、いろいろな職場で経験を積みたい人にとって理想的といえます。
派遣看護師で働くメリットは5つ
派遣看護師として働くメリットを5つ紹介します。
1.希望条件に合わせた働き方ができる
派遣看護師として働くメリットのひとつが、希望条件に合わせた働き方ができることです。多くの場合、派遣看護師は勤務期間や勤務日数、勤務時間などの条件を、自分の都合に合わせて決められます。
「子どもがいるので平日のみ働きたい」「副業で短時間だけ働きたい」などの希望があり、なかなか転職先が見つからない人でも、派遣看護師であれば見つかりやすいでしょう。
2.残業がない
残業なしで働けて、プライベートの時間が確保しやすいことも、派遣看護師のメリットです。派遣看護師の求人には、「残業あり」「残業なし」のどちらも存在します。「残業なし」を選べば、派遣先で残業するよう求められることはありません。
就業してから残業するよう求められたとしても、派遣会社に報告すれば担当者に対応してもらえます。また、残業がある場合も、給与は派遣会社が管理しているため、残業代も滞りなく支給されます。
3.時給が高い傾向にある
派遣看護師で働くメリットとして、パートやアルバイトと比べると時給が高めであることも挙げられます。株式会社リクルートの調査をもとに、三大都市圏(関東・東海・関西)の、派遣看護師とパート・アルバイト看護師の平均時給を比較してみましょう。
派遣看護師の平均時給 | パート・アルバイト看護師の平均時給 | |
関東 | 2,258円 | 1,793円 |
東海 | 2,039円 | 1,678円 |
関西 | 2,184円 | 1,851円 |
関東では、派遣看護師とパート・アルバイト看護師の平均時給に465円の差があります。1日8時間勤務した場合、派遣看護師は18,064円、パート・アルバイト看護師は14,344円と、3,720円の差があるのです。
そのため、転職先を探すときに収入も重視するなら、派遣看護師で働くメリットは大きいといえます。派遣看護師の給料については、以下の記事でも解説していますので、ぜひご覧ください。
「派遣看護師の給料相場を徹底解説!正職員やパートとの給料も比較して解説」
出典:「2022年9月度派遣スタッフ募集時平均時給調査」
出典:「2022年9月度アルバイト・パート募集時平均時給調査」
4.人間関係のストレスが少ない
派遣看護師は人間関係のトラブルを防ぎやすいです。派遣看護師は働く期間が定められているため、職場の複雑な人間関係に巻き込まれにくいといえます。
とはいえ、派遣看護師は在籍が短期間になりやすいため、常勤看護師と親密な関係が築きにくい場合があります。人間関係ができる前に契約満了となり、派遣先が変わることも多いため、新たな環境に慣れるのが得意な人に向いています。
5.派遣会社のサポートが受けられる
派遣会社のサポートが受けられることも、派遣看護師のメリットです。通常の転職では自分で求人を探す必要がありますが、派遣看護師であれば派遣会社が求職者に応じた職場を探してくれます。
派遣先でトラブルが起きても、派遣会社の担当者が相談に乗ってくれたり、問題が解決するよう動いてくれたりするため、一人で悩まずに働けます。
派遣看護師として働くデメリットは4つ
深夜の残業がなく時給が高いなどのメリットがある派遣看護師ですが、働き方によってはデメリットになることもあります。派遣看護を検討している人は必ず確認しておきましょう。
1.同じ職場で長期間働けない
派遣看護師の雇用期間の多くは3~6ヶ月、最長でも3年のため、3年以上は同じ職場で働けません。長く働き続けたい場合は紹介予定派遣を選ぶか、派遣の契約満了後に派遣先に直接雇用してもらう必要があります。
2.研修や教育の機会が少ない
研修や教育の機会が少ないことも派遣看護師のデメリットになる可能性があります。派遣先は、即戦力を前提に派遣看護師を雇用します。そのため、看護師としての基礎的な研修や教育制度は、用意されていない場合もあります。
3.キャリアアップしづらい
派遣看護師は雇用期間に限りがあるため、重要なポジションを任せられないことが多いです。研修や会議に参加できなかったり、派遣期間中の働きが経験として認められなかったりするケースもあります。
ただし、2015年の労働者派遣法改正により、派遣労働者のキャリア形成を支援するよう定められたため、派遣看護師でもキャリアアップしやすい環境は整ってきています。
4.正職員と比べて福利厚生や給与面で劣る場合がある
派遣先の正職員である看護師と比較すると、複利厚生や給与、ボーナスなどの面で劣る場合があることも、派遣看護師のデメリットです。ただし、「同一労働同一賃金」により、正職員との不平等な面は改善されつつあります。
派遣看護師として働く際に知っておきたいこと
一部のケースを除き、医療にかかわる業務での看護師の派遣は禁止されています。例えば派遣看護師は原則として、病院や診療所、助産所などの医療機関では働けません。
しかし、下記のいずれかに当てはまる場合は、医療にかかわる業務であっても派遣看護師として働けます。
・紹介予定派遣の場合
・産休・育休を取得した看護師の代替要員として働く場合
・そのほか国が認めた場合
希望する職場で働けなかったり、業務範囲が限られたりする場合があることを理解したうえで、派遣看護師になるかどうかを決定しましょう。
まとめ
派遣看護師には、自分の都合に合わせた働き方ができる、時給が高めといったさまざまなメリットがあります。その一方で、気に入った職場でも長期間働けない、キャリアアップしづらいといったデメリットもあります。
派遣看護師のメリット・デメリットをしっかり理解したうえで、派遣看護師として働くかどうかを考えてみましょう。