精神科の訪問看護がきつい…対処法と働くやりがいとは

精神科の訪問看護は、利用者様がより良い生活をしながら療養するのを助ける、やりがいのある仕事です。

その一方、仕事をしている中で、精神面、肉体面で「きつい…」と負担を感じている方もいるのではないでしょうか。

今回は、精神科の訪問看護の仕事がきついと感じる原因や対処法を紹介します。

精神科の訪問看護がきついと感じるポイント

精神科の訪問看護とは、精神疾患を抱える利用者様や精神的なサポートが必要な方のご自宅へ伺い、心のケアや生活改善の働きかけを提供するのが仕事です。

最初に、精神科の訪問看護がきついと感じる理由からみていきましょう。

利用者様とのコミュニケーションが難しい

精神科の訪問介護の仕事がきついと感じる理由には、利用者様とのコミュニケーションが取りにくいことが第一にあげられます。利用者様の精神状態の観察とアセスメントを行うには、質の高いコミュニケーションが必須です。

精神的な疾患を抱える利用者様は、病気や服薬の影響で円滑な会話が困難なことが多く、良好な関係を育みにくい傾向があります。利用者様から心を開いてもらえないこともあり、会話が続かない、そもそも返事もしてもらえないということもしばしばあるでしょう。

限られた訪問時間のなかで心のケアを行うのはとても大変で、利用者様の協力がなくては思うように進みません。信頼関係を築くことができないと看護計画どおりに物事が進まないので、看護師の精神的な負担が大きいです。

また、訪問介護の場合は利用者様のご家族とも良好な関係性を築き、コミュニケーションを取る必要があります。しかし、日頃の介護の疲れから協力を得にくかったり、看護師のなにげない一言をマイナスに捉えてしまったりするご家族もいるため、訪問中は常に気を張り注意深く対応する必要があります。

環境が良くない訪問先が多い

訪問先の環境が良くないケースが多いのも、精神科の訪問看護の仕事がきついといわれる一因です。

精神的な疾患を抱えている利用者様は、生活環境に気を配る余裕がないケースもあります。訪問先である自室内や身だしなみが荒れ、不衛生な状態になってしまう傾向にあります。

訪問先が足の踏み場もない状態でも、落ち着いて看護をすることが必須です。

時間外労働が多い

時間外労働の多さも、精神科の訪問看護の仕事がきついと感じる原因としてあげられます。訪問看護で利用者様と接する時間は限られているものの、そのほかの業務量は膨大です。

訪問介護は、利用者様のケアで終わりではありません。訪問のあとは看護の記録、報告書、計画書といったさまざまな書類を作成する必要があります。利用者様との対応で神経を使い、さらに書類作成で多大な時間がかかるのでは、看護師は休む時間がありません。

また、一般的に訪問看護の仕事は当番制で、呼び出しを受けたらすぐに対処が求められるオンコール対応です。

当番日はもちろん、時間外でも常に電話を身近に置いて待機する必要があるので、気が休まらないと感じる看護師もいるようです。

精神科の訪問看護がきついと感じたときの対処法

精神疾患を抱える利用者様のケアに行き詰まったら、看護師はどうすれば良いのでしょうか。ここからは、精神科の訪問看護がきついと感じたときの対処方法をみていきましょう。

プライベートを充実させてリフレッシュする

看護の仕事がきついと感じたら、まずは有給休暇を取得し、仕事から距離を置くこともひとつの手です。プライベートを充実させて、心身のリフレッシュを図りましょう。

オンとオフを明確に区別して、リフレッシュする機会を意識的に増やすことが大切です。読書や趣味に打ち込んだり、定期的に旅行に出かけたりするほか、友人とおしゃべりするだけでも良い気分転換になります。体を動かすスポーツや大声を出すカラオケは、仕事で蓄積したストレスを発散するのにぴったりです。

リフレッシュの仕方は個人差があるため、自分に合う方法を見つけましょう。自分のネガティブな感情やストレスを、上手にコントロールすることが重要です。

職場の先輩や同僚に相談する

つらい気持ちや悩みを一人で抱え込むのはNGです。身体的な負担や人間関係の悩みによって訪問介護の仕事がきついと感じたら、職場の先輩や同僚に相談しましょう。

訪問看護は基本的に単独で行うため、まわりに相談しにくいと感じているかもしれません。しかし、同じ看護のプロが何人かで考えれば、問題解決に役立つ良いアイデアが出るはずです。

また、問題点を明らかにするのは、職場全体で改善策を考える良いきっかけにもなります。不安に思わず、まずは身近な相手を頼りましょう。

利用者様の状態をよく観察する

改めて利用者様をよく観察し、自分の看護の仕方を見直すのも良い方法です。コミュニケーションや心のケアがうまくいっていないのは、利用者様の希望に寄り添う看護ではなかったのかもしれません。

利用者様は考え方や価値観は、人によって異なります。利用者様の気持ちを汲み取りながら、距離感や間の取り方、話し方などを工夫しましょう。大変でも、看護の現場での試行錯誤は自分自身のスキルアップにもつながります。

精神科の訪問看護ならではのやりがい

仕事がきついと感じたら、仕事のやりがいやメリットに目を向けるとモチベーションが向上します。ここからは、精神科の訪問看護ならではのやりがいを解説しします。

一人ひとりの利用者様とじっくり向き合える

訪問介護の仕事は、利用者様一人ひとりとじっくり向き合えるのが魅力です。訪問介護では医療的なケアよりも、継続したコミュニケーションに重点を置いています。

一般的な病棟勤務だと、複数人の患者様のケアをするため、一人だけに時間をかけるのが難しいでしょう。その点、訪問介護ならゆっくり時間をかけられるので信頼関係が深まり、より利用者様に寄り添ったケアが実現します。

また、看護師がリードしながら、利用者様やご家族と一緒に看護の方向性を考えられるのもポイントです。ダイレクトに利用者様が生活するうえでの問題点を改善する働きかけができるため、非常にやりがいがある仕事です。

自分のケアで利用者様に良い変化が見られることもある

訪問看護の仕事は大変だからこそ、うまくいったときの喜びはひとしおです。自分のケアによって利用者様に良い変化がみられたときは、大きな達成感が得られるでしょう。

いままでは難しかったコミュニケーションが円滑に取れるようになれば、利用者様の笑顔で疲れが癒されます。服薬管理ができるようになった、就労を再開するようになったなど、利用者様の確かな成果は看護師としての自分自身の評価、自信にもつながるでしょう。

精神科の訪問看護が辛い場合は転職も検討しよう

精神科の訪問看護の仕事がどうしてもつらいなら、転職するのも選択肢のひとつです。病院やクリニックのみならず、介護施設や保育園など、看護師が働ける職場はさまざまあります。

とはいえ、看護師として長く仕事を続けるには、やりがいをもって働ける職場を選ぶ必要があります。自分のキャリアプランを考えて、転職先を検討しましょう。

なお、看護師の転職先については、以下の記事で詳しく解説しています。
看護師の転職先が丸わかり!病院以外のおすすめ転職先9選を紹介

まとめ

精神科の訪問看護の仕事は、利用者様一人ひとりに向き合える、やりがいのある仕事です。その一方で、看護が思うように進まなかったり、利用者様に心を開いてもらえなかったりと、きついと感じるシーンが多いかもしれません。

つらい気持ちは一人で抱え込まないようにしましょう。どうしても働き続けるのが難しい場合は、転職を検討してみることをおすすめします。