看護師の仕事は、人の命に関わる重要な仕事です。そのぶん責任が重いため、だれもが1度は辞めたいと感じた経験があるのではないでしょうか。
今回は、看護師がどんなシーンで責任が重いと感じるのかを解説しながら、辞めたいときの対処法、転職におすすめの職場も含めてご紹介します。
多くの看護師が「責任が重い」とつらさを感じている
日本労働調査組合が行ったアンケート調査によると、看護師をしていてつらかったことのなかでも、「責任の重さ」が全体の64.9%を占めるとわかっています。
同じ調査結果では、退職を検討していると回答した看護師は、60.6%にも及びます。そのなかでも、43.3%の方が退職の理由に「精神的な辛さ」を挙げていて、看護師の多くがプレッシャーを抱えながら仕事をしていることがわかるでしょう。
出典:「【日労公式】看護師辞めたい。60%以上が退職を検討している結果に。「看護師の退職動機に関するアンケート」(日本労働調査組合)
」
看護師が責任の重さを感じるのは、非難されるべきことではありません。多くの看護師が同じ悩みを抱えているので、「甘えている」「看護師に向いていない」と考える必要はないのです。
悩んだら、自分がどんなときに責任の重さを感じるのか、一度よく考えてみると良いでしょう。
看護師が「責任が重い」「辞めたい」と感じるとき
責任の受け止め方や仕事に賭ける情熱は、一人ひとりで異なります。看護師が、責任が重いと感じるきっかけをみていきましょう。
命に関わる業務にプレッシャーを感じたとき
看護師が仕事のなかで責任の重さを感じやすいのは、命に関わる業務でプレッシャーを受けたときです。看護師の仕事は業務量が多く、業務のすべてが患者様の命に関わると思えばなかなか気が休まりません。
ささいな業務でも気が抜けず、心身ともに疲労しがちです。
ミスをしたとき
仕事でミスしたときも、責任の重さを痛感します。患者様の命にかかわるような重大なミスでなくても、もし大きな事故につながったらと考えると、精神的につらいものがあります。
特に、ある程度仕事に慣れて一人で業務を行いはじめたときは不安が大きく、責任の重さからプレッシャーが重くのしかかる時期です。責任の重さを感じながら継続して働く自信をなくし、つらさから逃れるために辞めたいと感じがちです。
患者が亡くなったとき
担当していた患者様が亡くなったときも、つらい思いをすることが多いです。亡くなった患者様に対し、「もっと何かできたのでは?」と責任を感じてしまうものでしょう。
とはいえ、病院で働く限り、患者様が亡くなるのを目にするのは避けられません。このようなつらい思いを繰り返していくたび仕事を続けにくくなり、退職にいたる看護師は多いのです。
看護師が「責任が重い」「辞めたい」と感じたときの対処法
ここからは、仕事を続けられないほどのつらい気持ちを抱えたときの対処法を紹介します。もし、つらくて辞めたいと感じたときは、次の対処法を試してから判断していきましょう。
人に相談する
仕事の責任の重さに悩んだら、上司や同僚、そのほかの信頼できる人に相談してみましょう。つらい気持ちを一人で抱え込むのはNGです。話を聞いて共感してもらえれば気持ちが楽になることも多いです。
特に看護師としての経験が豊富な相手に相談すれば、良いアドバイスをもらえるかもしれません。
また、詳しい内容は話せなくても、友人に愚痴をこぼすだけでもストレス発散になります。
管理職を辞める
部下を監督する立場で責任が大きい場合は、いったん管理職から身を引くのも選択肢のひとつです。負担が大きくても看護師の仕事に愛着を感じているなら、看護師を続ける道を選ぶと良いでしょう。
責任の大きい立場から離れて負担を減らせば、やり直しができます。とはいえ、管理職の立場を降りて仕事を続ける場合は、理由付けが必要です。自分が管理職を降りたときに上司や部下の負担が増える可能性があるので、納得できる理由を説明して理解を求めましょう。
「仕事の責任が重い」という理由では、仕事の分担を変えれば改善する余地があると判断される傾向です。家庭の事情、体力の限界、精神的な不調といった理由で説明したほうが、理解は得やすいでしょう。
異動をお願いしてみる
個人病院でなければ、異動希望を出すのも解決策のひとつです。特に責任が重い急性期や終末期医療の現場なら、患者様が亡くなるのを目にする機会が少ない診療科目への移動を検討してみましょう。
病院のなかでも、眼科、皮膚科、耳鼻科、整形外科は、比較的人の死に触れる機会が少ない診療科目です。 移動できるかは施設の判断に頼るほかないものの、異動したい科目を明確に伝えて、相談してみてはいかがでしょうか。
休職をしてみる
責任の重さからメンタル面で不安定になっているときは、休職を願い出るのもひとつの選択肢です。精神的に疲労が大きいときは、気持ちの問題だけでは解決できません。
仕事のことを考えると気分が沈んでしまうとき、慢性的につらい場合は、休職したほうが冷静に考えられます。仕事を辞めたいと思う反面で将来のキャリアもあきらめきれないなら、1度休んで気持ちを切り替えられるか試してみましょう。
転職を考える
どうしても責任の重さがつらいなら、転職を考えても良いでしょう。それほど責任が重くない職場に転職すれば、看護師の仕事を続けられます。
看護師の資格を活かせる職場は、病院だけではありません。看護師のニーズは多岐にわたるため、視野を広げて考えましょう。
「責任が重い」「辞めたい」という看護師におすすめの職場
ここでは、責任の重さに悩む看護師におすすめの転職先を紹介します。
産業看護師
産業看護師は、一般企業にある医務室で働きます。主に社員の健康診断やメンタルヘルスケアなどを行うのが仕事です。
ケガの応急処置などはあっても、基本的に命に関わる処置をする機会はありません。医療的なケアが少ないため大きな責任を負わずに済み、精神的、体力的とも負担も減らせるでしょう。
ただし、それなりの臨床経験がないと、産業看護師への転職は難しい傾向にあります。また、看護師1~2名ほどの職場なので、相談できる同業者がまわりにいない点にも注意が必要です。
健診センター
健診センターも、転職先におすすめです。健康診断にきた人の受付や案内を行います。プレッシャーが少なく、大きな責任を感じる必要がありません。
基本的に健康な人を相手にするため、精神的な負担はかかりにくいでしょう。規模が大きいセンターは忙しいものの、夜勤や休日出勤がないため、負担が少ない仕事を探している看護師に向いています。
美容クリニック
人の死に接するのが負担なら、美容外科や美容皮膚科で働く美容看護師への転職がおすすめです。一般的な病棟勤務のように夜勤がなく、残業も少ないです。心身の負担を減らしてプライベートも大切にできるでしょう。
美容看護師への転職が気になる方は、美容看護師専門の転職エージェント「ビナラボ」がおすすめです。美容業界に特化したプロのアドバイザーから転職のアドバイスを受けられ、幅広い求人の中から自分に合った職場を見つけられるでしょう。
まとめ
看護師の仕事はハードになりやすいため、無理は禁物です。責任が重い、辞めたい気持ちをうまくやり過ごせないときは、人に相談したり、異動を申し出たりなどして、心身への負担を減らせるように対処してみましょう。
看護師の仕事が好きなら、産業看護師や美容看護師など、別の職種に転職する道もあります。ライフスタイルに合う業種や職場で、自分らしい働き方を目指すことも検討してみましょう。