【看護師の転職で多い理由】転職に成功するために知っておくべきことは?

転職理由は、一人ひとり異なります。前の職場を辞めるきっかけは、採用時の面接でも必ず聞かれます。面接官に良い印象をもたらせるよう、伝え方を工夫しましょう。

今回は、看護師に多い転職理由や人事担当者のチェックポイントをご紹介します。転職理由の伝え方も例文を含めて解説しているので、ぜひ参考にしてください。

看護師が転職する主な5つの理由

看護師の仕事は社会貢献度の高い、やりがいのある仕事です。とはいえ、誰しも一度は転職したいと考えたことがあるのではないでしょうか。看護師に多い転職理由をみていきましょう。

転職理由1.ライフステージの変化

厚生労働省が行った調査によると、看護師の退職理由の第1位は出産や育児のためで、全体の22.1%を占めます。また、結婚のためと回答した方も17.7%と多く、退職理由の第3位にランクインしています。

そのため、ライフステージの変化にともない、ワークライフバランスの取りやすい夜勤のない勤務体制や短時間勤務ができる職場などへ、転職を検討される方も多いようです。

出典:「看護職員就業状況等実態調査結果」(厚生労働省)

転職理由2.労働環境への不満

看護師が働く医療の現場は忙しく、残業が多い傾向にあります。体力的にきつい状況が続いてしまうと精神的に負担がかかり、体調を崩してしまうこともあります。

また、休みを取りにくいといった理由で転職を考える方も多いです。

転職理由3.人間関係の悩み

看護師の仕事は上司や同僚の看護師、医師、薬剤師と連携するチーム作業が多く、人間関係が複雑になりがちです。人間関係の良し悪しは、働きやすさを左右する要素です。

人間関係が良くないと、チームワークでの連携がスムーズにいかなくなり、患者様一人ひとりに対して丁寧なケアをすることが難しくなります。

転職理由4.看護師業務の責任の重さ

看護師は、医療ミスや事故を防ぐために緊張感、患者様の急変に対応するプレッシャーなどを抱え込みやすいです。

些細なミスが患者様の命に関わってくるため、責任を重く感じてしまうことが多く、休日でも仕事のことを考えて、なかなか心身を休められないといった人もいます。

転職理由5.ほかの施設への興味

職場への不満や仕事に対する悩みを原因に転職をする看護師がいる一方で、キャリアアップやいまより学べる施設に興味をもって転職を考える方もいます。

希望の部署で働けないため、ほかの施設へ移りたい、異なる業務内容の部署で働いて視野を広げたいというのは、ポジティブな転職理由となるでしょう。

採用担当者がチェックする転職理由のポイント

転職理由は、面接のときに採用担当者から必ず聞かれます。

ここでは、採用担当者が転職理由の際にチェックしているポイントについて解説します。

転職理由に一貫性はあるか

採用担当者は、履歴書に書かれた志望動機と矛盾がないかをチェックしています。たとえば、前職が忙しいのを理由に退職する場合は、より忙しい急性期病院に応募していると違和感を覚えてしまうでしょう。

一貫性のない応募は、仕事の内容を正しく理解しているのか、長続きするのかと疑われる要因になります。

転職後にどんな働き方をするか

採用担当者は、転職によって前の職場で感じた不満が解消されるのかも確認しています。同じ理由で仕事を辞める可能性がないか判断するのです。

転職理由は、入職後にどのような働き方をしてくれるのかを見極める判断材料にもなります。

採用担当者に好印象を与える転職理由の伝え方

面接で転職理由を聞かれたら、前向きな転職理由で伝えることが大切です。前職への不満ばかりをもち込まないよう気をつけましょう。

前の職場を辞めるに至った状況を客観的で、わかりやすく伝えるのも重要です。たとえば、「前職ではあまり休めなかった」では仕事に対する意欲が感じられない場合もあるため、「〇日間連続勤務だった」のように、数字を交えて具体的に説明しましょう。

【理由別】看護師の転職理由の例文

それでは、面接で好印象を与えやすい転職理由の伝え方をみていきましょう。それぞれの理由ごとに例文も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

転職理由は、面接の場で上手く伝える必要があります。看護師の面接対策については以下の記事で詳しく解説しているため、あわせてチェックしましょう。

【看護師の転職面接】よく聞かれる質問や成功のポイント

ライフステージの変化

子育てをしながら復職する場合、採用側は子どもの体調不良による欠勤を懸念している可能性があります。就業先に子育てに関する制度がある場合は、転職理由に盛り込むと良いでしょう。

【例文】

前職で〇年間勤め、結婚と妊娠を機に退職いたしました。子どもが5歳になり、保育園にかよいはじめたため、復職を考えております。時短勤務制度や職員の子育てに配慮した取り組みをしている貴院で看護師としてより一層成長し、貢献したいと考えて応募しました。

残業が多い・休みがとりづらい

残業の多さ・休みのとりづらさをそのまま伝えると、前の職場への不満を言っているように思われかねません。ネガティブにならないよう、ポジティブな内容に言い換えて伝える必要があります。ワークライフバランスを重視しているなど、転職先の情報とうまく絡めてみてください。

【例文】

以前勤めていた職場は看護師の人数が少なく、月の残業時間が○時間を超えていました。患者様と向きあったケアが難しい状況にも疑問を感じて、退職しました。貴院では患者様に寄り添った看護を方針にしていると聞き、また、人員体制が整っている慢性期病棟であれば私の理想の看護が実現できると考えて、応募いたしました。

人間関係

人間関係の悩みに関しては、課題解決に取り組んだものの個人では解決が難しかった、異なる分野でのチームワークを確立したいなど、前向きな理由に言い換えましょう。

【例文】

私は、常日頃から看護師として患者様に最善の看護を提供するには、職場内の連携が必要だと考えておりました。以前の職場は人手不足もあり、看護師間のコミュニケーションが十分に取れない課題を抱えていたため、チームケアを大切にする方針の貴院に魅力を感じて、転職を決意しました。

業務内容の負荷

看護師の仕事は常に忙しいため、業務負荷が大きいと感じた理由を具体的な表現で、看護観や業務内容にミスマッチがあったという内容に置き換えると良いでしょう。志望動機で患者に向き合う職場を希望する旨を記載すると、うまくつながります。

【例文】

私の看護観では患者様に寄り添うケアを理想としていたものの、以前の職場は担当する患者数が多すぎて、十分な対応ができないことに疑問を感じていました。転職活動をしている際に、ベッドサイドケアに重点を置いて患者様の心を大切にする看護方針の貴院に魅力を感じ、ここで看護師として成長したいと考えて応募させていただきました。

体調不良

体調不良に関しては、現在は体調が回復して復職できる状態にあるとしっかりアピールする必要があります。体調を悪化させないための予防策も丁寧に説明できるとより良いでしょう。

【例文】

前職で新卒採用から3年間勤めたものの、仕事に集中するあまり体調管理がおろそかになり、療養のために退職いたしました。現在は健康状態が回復しており、貴院では復職者に対する研修プログラムが充実していると聞いて応募しました。今後は定期的な受診と体調管理で、再発しないよう心掛けて貴院に貢献したいと考えております。

スキルアップ・キャリアアップ

スキルアップ・キャリアアップに関する転職理由はポジティブで伝えやすいものの、そのぶん説得力を出すのが難しい傾向にあります。転職先の特徴と絡めて、具体的にその職場で働きたい理由を伝えましょう。能動的に学んでいきたい姿勢を示すのがポイントです。

【例文】

新卒採用されてから5年間、〇〇病院で看護師としての経験を積むなかで、より多くの患者様をサポートするためにCCUで働きたいと考えていました。そこで、CCU併設で外科手術の実績が高い、貴院への転職を考えるに至りました。これまでの経験を活かしつつ、貴院のCCUで長期的に学び貢献したいと強く志望しております。

まとめ

看護師の転職理由は、さまざまです。内容によっては転職先の企業にネガティブな印象を与えてしまうため、伝え方に配慮しましょう。

看護師は病棟勤務から介護の現場、美容クリニックと、幅広い職場で活躍できます。転職したいと思ったら、前向きに検討してはいかがでしょうか。