医師免許の年齢制限や一般的な取得の流れについて


医師として働くためには、必ず“医師免許”を取得しなければいけません。
こちらは、自らを医師と名乗るためには必要不可欠な資格であり、資格を持たないまま患者さんに診療や治療を施すことは禁止されています。
ここからは、医師免許の年齢制限、一般的な取得の流れなどについて解説したいと思います。

目次

医師免許の概要

医師免許は、国の法律に基づいて与えられる国家資格の1つであり、医師国家試験という試験に合格した方のみが取得できます。
具体的には、医師国家試験に合格し、医師としての資格があることを国に登録された方のみ、厚生労働省から医師免許証を受け取ることができます。
医師国家試験は、毎年2月中旬頃に行われ、合格率は約89~92%と言われています。
内容は医師として把握しておくべき医学的知識などを中心に、臨床問題や公衆衛生なども含めて幅広い分野から出題されます。
また、医師国家試験を受けるためには、大学で6年制の医学部の教育課程を修了しなければいけません。
ちなみに、医師国家資金取得後は、初期研修と呼ばれる2年間の研修を実施します。
診療の基本となる内科や救急を中心に順番に周り、学んでいきますが、最短1ヶ月で科が変更になることもあり、かなり慌ただしさがあります。
間近で指導医の診療から学びつつ、自身が主体的に医療の責任を持って関わるため、医学部時代とはまったく異なるやりがいや経験を積むことが可能です。
ただし、病院や診療科目によってはやるべき業務が決まっておらず、指示されないこともあるため、どれだけ主体性を持って取り組むかによって、学ぶことができる内容や範囲は大きく変わってきます。

医師免許の取得に年齢制限はあるのか?

結論から言うと、医師免許の取得に年齢制限は存在しません。
そのため、通常の企業では定年とされる60歳を超えるような方でも、ルール上は医師免許を取得できるのです。
また、先ほど医師免許を取得するには、6年制の医学部の教育課程を修了しなければいけないという話をしました。
こちらの医学部受験についても、一切年齢制限はありません。
しかし、過去には取得年齢を気にしている方にとって、心配な事例も報告されています。
ある年、50代主婦の方が医学部を受験し、筆記試験に合格したものの、面接試験で不採用になるという事例がありました。
この件について、主婦を不合格にした医学部は公式に、「原則として年齢制限はなく、知力、体力、気力次第であるとしています」とアナウンスしています。
一連の出来事を踏まえると、つまり医師免許の取得に年齢制限はないものの、医学の勉強についていくためには、高度な能力と長い年月が必要であり、大学の方針によっては、年齢が危惧されることもあるということになります。
ただし、こちらはもちろん高齢だから不合格になるというわけではなく、あくまで医師として働いていける能力が認められるかどうかが問題になっていることに注意しなければいけません。

高齢の方が医師免許を取得するのは簡単ではない

先ほども少し触れましたが、医師免許の取得には、確かに年齢制限がないものの、高齢になればなるほど、取得のハードルが上がることは間違いありません。
高齢の方が、医学部に入学して高度な医学について勉強し、日本最難関とも言われる医師国家試験に合格するためには、想像を絶する努力、体力が必要になるためです。
すでに医学部の教育課程を修了している方であっても、医学というものは日々進化しているもののため、そう簡単に医師免許は取得できないでしょう。
もっと言えば、一般的には年齢を重ねるにつれて、記憶力や体力は低下すると考えられているため、年齢が危惧されてしまうのも無理はありません。
ただし、高齢の方を受け入れている医学部も当然存在します。
例えば熊本大学では、医学部を卒業した66歳の男性がいて、こちらの方は2003年に医師国家試験に合格しています。
また、医学部に限定しなければ、多くの大学、大学院は、少子化の影響もあり、年齢を問わず広く門戸を開いています。
真面目で勉強熱心な社会人学生は教授陣にも好評であり、さらに他の学生のモチベーションを刺激すると大学側から歓迎されています。
つまり、高齢で医師免許取得を目指すのが難しいことは事実であるものの、結果に関しては、本人のやる気や努力次第だということです。

医師として成功するためには30~40代まで医師免許を取得するべき

医師免許の取得には年齢制限がないため、一般的には定年である60歳を超えても、取得することは可能です。
しかし、医師として成功するということを考えた場合、遅くても30~40代までには医師免許を取得しておくべきでしょう。
医師を志してから、医師免許を取得し、実際医師として働くまでには、医学部入学からスタートする場合、最短でも8年はかかります。
なぜなら、医師免許の取得後2年間は、研修医としての実績を積む必要があるためです。
また、医師国家試験は、1年に1回しか実施されません。
1回目の試験で不合格になってしまうと、医師として働き始めるまでの年数は9年、10年とさらに延びてしまいます。
そのため、本気で医師を目指したいのであれば、少しでも早く動き出した方が良いというのは間違いありません。

医師免許取得の一般的な流れについて

いくつか触れている部分もありますが、ここでもう一度医師免許取得の一般的な流れについておさらいしておきましょう。
大まかにいうと、医師免許取得までには以下のフローを辿ることになります。

・学校教育法に基づく大学の医学部正規過程6年を修了する
・医師国家試験に合格する
・医籍登録を行う
・厚生労働省から医師免許証が交付される

医学部で学ぶ内容は学年によって異なり、1~4年次にはまず臨床実習前教育として、基礎医学や臨床医学を学びます。
その後、共有試験の合格を経て、5~6年次に臨床実習に参加します。
ここでいう共有試験とは、コンピュータを用いて知識を測る客観試験であるCBT、模擬患者を対象に技能、態度を評価する試験であるOSCEを指しています。
また、医学部卒業後に受検する医師国家試験は、大きく臨床と一般に分かれていて、それぞれに必修が含まれています。
必修は絶対評価であるため、いずれの年でも80%は正解する必要があります。
ちなみに、医師国家試験の合格率はおおむね90%前後と意外に高めですが、こちらは試験問題が簡単だということではありません。
あくまで、医学部の正規過程で学んでいる方が受験していることから、高い合格率を叩き出しています。
そして、晴れて医師国家試験に合格した後は、医籍登録を行います。
こちらは、医師免許を得た者の氏名、本籍などを厚生労働省の帳簿に登録することであり、多くの病院において研修が始まる4月1日までに手続きを済ませておかなければいけません。
同じく、医師免許証の発行手続きも速やかに行います。
申請には、住所地の保健所へ必要書類を持参する必要があり、もし免許申請を行わず、登録される前に業務に従事した場合、行政処分の対象となります。
免許証取得までの期間は、申請から概ね2~3ヶ月ですが、免許登録さえ済んでいれば、医師として業務に就くことは可能です。

まとめ

ここまで、医師免許取得の年齢制限や、取得の流れについて解説してきました。
医師免許は何歳でも取得可能ですが、50歳や60歳から取得に向けて動き出す場合、医師としての成功は現実的なものではなくなってしまいます。
また、途中医師国家試験に落ちてしまう可能性も考えると、できるだけ若いうちから医師免許取得に向けて動き出す必要があります。


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