美容看護師として働くデメリットとは?転職に向いているのはどんな人?

美容クリニックで働く美容看護師を目指すなら、仕事のメリットとデメリットを理解しておく必要があります。人によって向き不向きもあるので、働き方が自分にあっているかしっかりチェックしましょう。

美容看護師はデメリットが多いといわれる理由とは

美容看護師の主な勤務先は、美容外科や美容皮膚科などを行う専門クリニックです。来院する患者様の受付や悩みに関するカウンセリングを担当し、医師の指示を受けて施術やアフターケアを行います。そのような美容看護師の仕事において、どのような点がデメリットに感じられるのかご紹介します。

美容クリニックにおいては売上目標がある

クリニックによっては、売上目標が課せられることが多々あります。美容看護師は直接患者様と関わる仕事なので、施術の契約、取り扱っている化粧品やサプリメントの販売数などを伸ばす営業努力が求められます。

一般的な病院勤務の看護師には売上目標はないので、大きな違いといえるでしょう。とはいえ、個人単位で厳しい売上目標を課されるわけではありません。クリニック全体やチーム単位で勉強しながら、売上目標の達成を目指しているところがほとんどです。

看護業務が少ない

美容看護師は病院勤務の看護師に比べると、看護実務を経験する機会が少ない傾向にあります。美容クリニックに来院するのは基本的に健康な患者様なので、点滴や採血、手術の介助といった基礎的な看護スキルが低下しがちです。

また、美容クリニックの手術では全身麻酔を行う機会が少なく、多くの場合は部分麻酔や笑気麻酔を活用しているため、麻酔による合併症や急変のリスクがほとんどありません。そのため、看護師に必要とされるアセスメント力や救急対応力を維持するのが難しいのもデメリットのひとつに挙げられます。

臨床経験年数にカウントされない

同じ看護師の仕事でも、美容クリニックの勤務経験は臨床経験年数として見なされないことがあるので注意が必要です。

新卒で2年間病棟勤務をしたのちに美容看護師に転職し、3年間務めてから再度転職する場合を例に挙げます。この場合、合計5年間の職務経歴があるものの、看護師としては3年間のブランクがあると判断され、転職時に不利になるリスクがあります。

もちろん、美容看護師から一般病棟への転職はできないというわけではありません。一般病棟勤務に戻った際に、美容クリニックでの経験が活かしきれない可能性があることを理解しておきましょう。

土日祝に休めない場合がある

美容クリニックはサービス業なので、患者様のご都合が優先されます。休日を利用して施術を受けに来る患者様が多いため、基本的に大手クリニックは年中無休で開院しています。そのため、土日祝日が必ず休みになるとは限りません。

同様に、ゴールデンウイークをはじめとする長期休暇はクリニックの繁忙期なので、休みを取りにくい傾向にあります。脱毛を除いて多くの美容整形では、術後のダウンタイムがある程度必要です。そのため、連休前は予約が混み合い、オペの補助に入る美容看護師は忙しくなります。

接客スキルが求められる

美容看護師には、一般的な病院の看護師よりも高いレベルの接客スキルが求められます。美容医療は自由診療で、患者様には高額な費用を負担していただきます。その代わりに質の高いサービスを提供する必要があり、丁寧なコミュニケーションが欠かせません。

痛みやダウンタイムで不快な思いをする患者様もいるため、快適な空間を作るための接客スキルを高めましょう。

クレーム対応をしなければならない

患者様からのクレーム対応があるのも、苦手な方にとってはデメリットのひとつでしょう。脱毛の照射漏れややけどといった施術に関するクレームは、担当した看護師が対応する場合があります。

施術後の効果に個人差があることや施術に関連するリスクをしっかり説明できないと、クレームに発展しやすいです。クレームに適切な対応をするためにもマニュアルに精通する必要があります。

ただし、大手のクリニックではクレーム対応の担当者がいて、施術を担当した看護師が守られる体制が整っているところもあります。志望先のクリニックの体制を事前に確認しておきましょう。

デメリットだけではない!美容看護師で働くメリットも豊富

デメリットはあるものの、美容看護師はメリットも大きい仕事です。両方を比較して、自分にとって働きやすい職種か検討してみてください。

夜勤がなく残業もあまりない

病棟を設けていない美容クリニックで働く場合は、夜勤がありません。施術後に入院をともなう美容外科だと場合によって残業があるものの、美容皮膚科は基本的に予約診療が中心なので残業も発生しにくく、安定した生活リズムで仕事ができます。

美容看護師は規則的な生活ができ、比較的ワークライフバランスが取りやすい仕事だといえるでしょう。

給与が高い

美容看護師は一般病棟に務める看護師よりも、給与が高い傾向にあります。美容クリニックは自由診療で利益率が高いため、収入が安定するのは大きなメリットでしょう。

クリニックによってはインセンティブ制度を設けていて、業績次第では大幅な収入アップも期待できます。指名料がもらえるクリニックもあり、自身の頑張りが収入に反映されるため、非常にやりがいを感じられます。

割引価格で施術が受けられる

多くの美容クリニックでは、従業員である美容看護師も割引価格で施術を受けられます。高額な費用がかかる自由診療の施術を、お得に利用できるのは魅力的です。

クリニックによっては、福利厚生の一環として施術のほかに、ドクターズコスメを社割価格で購入できたり、美容機器を無料で使用できたりする場合もあります。

精神的な負担が少ない

美容クリニックに来院されるのは、美しくなりたいと願う健康な患者様が大半です。そのため、美容看護師は基本的に、重篤な患者様のケアや治療を行うことがほとんどありません。

一般病棟で働く看護師は、常に自分の行う処置や対応が患者様の命に関わるかもしれないというプレッシャーのなかで仕事をしています。一方、美容看護師の場合は同じ医療行為を担当しても命に関わるリスクが少ないため、精神的な負担を比較的受けずに済みます。

美容の知識や技術が身につく

美容クリニックで働く美容看護師は、美しくなりたい患者様に最新の医療を紹介するのが仕事です。肌や美容に関する最先端の知識や技術に日々触れて、働きながら業界の情報をアップデートすることが可能です。

また、患者様がキレイになっていく姿を間近で見ると、自然と美意識が磨かれていく傾向にあります。美容に興味関心がある方にとって、非常にやりがいのある仕事だといえます。

美容看護師の主な仕事内容

美容看護師の仕事は、多岐にわたります。美容クリニックならではの業務があります。具体的な内容をみていきましょう。

【美容看護師の主な仕事内容】

・医師の診療の補助
・レーザー装置の操作やレーザー照射
・ピーリングなどの薬剤塗布
・プラセンタ、ビタミン、アミノ酸をはじめとする美容注射や美容点滴の投与
・手術の介助
・施術後のアフターケア全般
・医療機器や器具の消毒、滅菌
・医療機器や器具の準備、片付け
・備品や薬剤の管理、補充
・患者様への服薬指導
・診療後のカルテ記入、管理

このほか、施術前後のケアのなかで、美容看護師が患者様の悩みやご要望を直接聞いてカウンセリングを行うクリニックもあります。個人経営のクリニックでは受付や電話対応、予約管理も美容看護師が担当するケースもあり、幅広い業務の経験を積めます。

美容看護師が向いている人・向いていない人

美容クリニックで働く美容看護師は、魅力的な仕事です。メリット・デメリットを知ったうえで就業先を迷っているなら、自分の適性を考えてみてください。

ここでは、美容看護師が向いている人と向いていない人の特徴をご紹介します。

こんな人は美容看護師に向いている

美容看護師に向いている人の特徴は、次のとおりです。患者様の不安をやわらげたり、美しくなるのをサポートしたりとやりがいがあるので、ひとつでもあてはまる項目がある方は、ぜひ検討してください。

・人と交流するのが得意

・接客スキルに自信がある

・やりがいのある仕事がしたい

・クレームを受けてもポジティブに切り替えができる

・夜勤がない職場で働きたい

・ワークライフバランスを重視した働き方がしたい

・病棟以外の勤務に挑戦したい

・収入を上げて安定した生活を送りたい

・美意識が高い

・美容やコスメに興味がある

こんな人は美容看護師に向いていない?

一方で、次の特徴に該当する方は、美容看護師に向いていないかもしれません。待遇や給与がどんなに魅力的でも、仕事の内容や働き方が自分に合わないと長く続けにくいため、慎重に検討しましょう。

・看護スキルを身につけてキャリアアップしたい

・アセスメント力や救急対応力を高めたい

・売上目標があるとストレスが大きい

・人とのコミュニケーションや接客が得意ではない

・自分の身なりに気を遣って仕事をしたくない

・看護や医療分野以外の業務はしたくない

・クレーム処理が苦手

・美容には関心がない

とはいえ、接客やクレーム処理は、経験を増やせば対応が楽になります。美容医療に関連する知識が不足していても、仕事をしながら学べるので、もし興味があるなら前向きに転職を検討してみてはいかがでしょうか。

美容看護師への転職事情

看護師が転職を目指すなら、長く継続して働ける仕事を選ぶ必要があります。そのためには仕事のメリットだけに注目するのではなく、デメリットにこそ目を向けましょう。仕事のデメリットを正しく理解しておけば、転職後のギャップを防げます。

美容看護師の仕事は一般的な病棟勤務と異なる内容があるため、収入の高さだけに魅力を感じて転職するのは早計です。転職する前に美容看護師の仕事のメリット、デメリットの両方を比較して、自分の働き方にあっているかチェックしましょう。

業務内容の適正だけでなく、将来的なキャリアプランも意識した転職の検討をおすすめします。

まとめ

医療に関するキャリアが積みにくいといったデメリットはあるものの、美容看護師の仕事にはメリットもたくさんあります。ワークライフバランスをとりながら自分らしく働きたい方には、美容看護師がおすすめです。また、人とコミュニケーションをとるのが好きな方、美容意識が高い方も、美容看護師に向いています。美容看護師として自分らしい働き方を実現したいのであれば、ぜひ転職を検討してみてはいかがでしょうか。