産業看護師とは?仕事内容や給与、転職するためのポイントを紹介

産業看護師は、医療機関ではなく一般の企業で働く看護師です。人気のある職種ですが、これまで病院で働いてきた看護師には、どんな働き方をしているのか、イメージがしにくいのではないでしょうか。

そこでこの記事では、産業看護師の仕事内容や給与、働くメリット・デメリットを紹介します。産業看護師に転職するポイントについても解説しているので、産業看護師を目指したい方はぜひ参考にしてください。

産業看護師とは?

産業看護師とは、一般企業で働く看護師のことです。産業看護師の具体的な仕事内容や平均年収、働き方について紹介します。

仕事内容

産業看護師(企業看護師)は一般企業で従業員の健康管理に携わる看護師で、主に健康診断の実施や、健康に関する保健指導、それに付随する事務作業などを行います。近年、働き方改革推進にともない職場でのメンタルヘルス管理も注目されるようになりましたが、産業看護師は社内でのメンタルヘルス対策の担い手としても活躍しています。

このほか、事業所内で発生したケガを含む緊急時の応急処置や医療機関との連携も、産業看護師の仕事です。医療行為に関わる機会は、病院看護師と比べると大幅に少ないです。

平均年収

産業看護師の年収は、約300~500万円です。

産業看護師は基本、日勤のみの働き方をします。工場など24時間稼働する事業所でない限り、夜勤が発生することはありません。残業も少ないため、諸手当の多い病棟看護師よりも年収水準は下がる場合が多いでしょう。

なお、一般社員と同様、産業看護師も企業の規模が大きくなるほど年収も高くなる傾向です。

スケジュール例

産業看護師は、基本的に企業の就業規則に準じた働き方になります。以下が1日のスケジュール例です。

9:00  業務開始
10:00 面談の連絡・日程調整、社内巡回など
11:00 面談実施・同席
12:00 昼食
13:00 カルテ入力
15:00 社内研修資料の作成
16:00 産業医との打ち合わせ、日報の作成
17:00 業務終了

このように、病院勤務とは大きく異なり、一般社員と同様のスケジュール感で働きます。一般病院と比べて緊急の対応はほとんどなく、じっくりと取り組める業務が中心です。また、看護師としての仕事以外に、デスクワークが多くなることも特徴と言えます。

産業看護師と産業保健師との違いは?

看護師の主な役割は治療で、保健師の主な役割は予防です。そのため、企業で働く場合にも、業務内容に違いが見られます。

産業看護師は、従業員のケガや病気などの対応などのほか、健康相談も受け付けます。一方、産業保健師は、人事部門と連携しながら、健康維持や病気の予防、メンタルヘルスケア施策の実行などが業務の中心となるでしょう。

とはいえ、実際の現場では業務に差がないケースも多くなっています。

なお、企業に義務付けられたストレスチェックの実施者は、産業医や産業保健師です。産業看護師の場合は、以下のいずれかを満たした人のみが実施できます。

1.労働安全衛生規則第52条の10により、規定の研修を受けた看護師

参考:「労働安全衛生規則

2.労働安全規則の附則(労働安全衛生法第66条の10 第1項の厚生労働省令で定める者に関する経過措置)において、経験年数が3年以上ある看護師

参考:「労働安全衛生法

産業看護師として働くメリット:ワークライフバランスを重視できる

ワークライフバランスを保ちながら働けることが産業看護師の大きなメリットです。

産業看護師は、基本的に夜勤がなく、土日祝日が休日となることが多いです。夜勤のある交代勤務の病院と比べると、負担は体力的にも精神的にも大幅に少なくなります。

勤務も原則カレンダー通りなので、年末年始やゴールデンウィークなどの長期休暇が取れることも、病院看護師との大きな違いです。家族や友人との予定も合わせやすくなり、プライベートを充実させられます。

ワークライフバランスを重視したい看護師の方は、以下の記事も参考にしてみてください。
看護師でも土日休みの働き方は可能?職場や求人の探し方を紹介

産業看護師として働くデメリット:仕事の悩みを抱えやすい

産業看護師として働くデメリットは、仕事の悩みをひとりで抱えやすいことです。

病院看護師は同僚や先輩も多いため、悩みがある場合には相談して解決方法を探れます。一方、産業看護師は各企業で1~2人しかいないケースが多く、仕事上の悩みがあっても身近に相談できる人がいない可能性が高いです。連携部署があっても、同じ立場の看護師ではないので、込み入った相談は難しいでしょう。

人によっては、悩みをひとりで抱え込まなければならないことに負担を感じるかもしれません。

産業看護師に必要な資格やスキル

産業看護師になるために必要な資格は、看護師免許以外に特にありません。企業によっては一定年数の臨床経験を求めていますが、医療機関に勤務経験のある看護師なら問題ないでしょう。

なお、産業看護師は看護以外のスキルも求められる仕事です。社内外のあらゆる人との関わりがあるため、コミュニケーションスキルやビジネスマナーは必須といえます。健康上の問題がある社員に対する指導や、メンタルに不調を抱えた社員の相談も行うため、相手に寄り添った対応が求められます。

また、資料作成やデータ管理など、関連する事務業務が発生するため、基本的なパソコンスキルも必要です。

産業看護師に向いているのはこんな人

産業看護師に向いているのは、以下にあてはまる人です。

・コミュニケーション能力が高い人
・職場のメンタルヘルス対策などに興味がある人
・一般企業でスキルアップ、キャリアアップをしたい人

産業看護師は病院とは異なり、社員の健康維持に関わります。相談を受ける機会も多いため、コミュニケーションが得意な人は、そのスキルを存分に活用できるでしょう。メンタルヘルス対策に高い関心を持っている方にも向いています。

また、企業内で働くため、看護師としてのスキルだけでなく基本的なビジネススキルが身につきます。将来、キャリアの選択肢を増やしたいと考える人も、産業看護師に向いているといえるでしょう。

産業看護師に転職するときのポイント

病院看護師と違い、産業看護師の求人はかなり限られます。また、病院ではなく一般企業への就職になるため、就職活動への取り組み方にも違いを感じることが多くなるでしょう。

ここからは、産業看護師への転職にあたり、押さえておきたいポイントを紹介します。

産業看護師の仕事を見つけるには

産業看護師は求人数が非常に少ない上、非公開求人も多いため、自分で探すことは難しくなります。転職サイトを利用するのであれば、看護職に特化したサイトを厳選して活用してみると良いでしょう。非公開求人を紹介できる転職エージェントサービスを利用するのもおすすめです。

また、産業看護師は人気のある職種のため、競争率は非常に高いです。採用を勝ち取るためには、志望動機をしっかり作り込み、面接対策も十分にしておきましょう。

産業看護師に応募するときのアピールポイント

産業看護師は一般企業の就職になるため、就職活動も医療業界とは異なり、業界・企業研究が必要になります。

志望動機や自己PRでは、その企業を選んだ理由や自分の強みを積極的にアピールしましょう。産業看護師は臨床経験が求められることも多いので、病棟看護や今までの経験を通して、その企業で貢献できるところを見つけてください。企業がどんな産業看護師を求めているかを把握しておくことも大切です。

産業看護師は、社員のメンタルヘルスに関わる機会が多くなります。コミュニケーション能力の高さや、メンタルヘルスに興味があることをアピールするのもおすすめです。

まとめ

産業看護師は、一般企業で社員の健康維持やメンタルヘルスに関する業務を行います。病院とは異なり、勤務先の営業時間に合わせた働き方をするため、プライベートの時間を確保することが可能です。ワークライフバランスを実現したい方は、挑戦してみると良いでしょう。