看護師を辞めたいと考えていても、上司に退職を言い出しにくいと感じている方は多いのではないでしょうか。退職の覚悟を決めている場合、ここで悩んでしまうと、転職のチャンスを逃してしまうおそれもあります。
この記事では、看護師が退職を言い出しにくい原因や、スムーズに退職の意向を伝える方法をご紹介します。仕事を辞めるときの注意点も解説してるので、円満な退職に向けてぜひ参考にしてください。
あなただけじゃない!看護師が退職を言い出しにくい5つの理由
仕事を辞めると決心しても、退職を言い出しにくいと悩んでいませんか。本来、退職の判断は労働者の意思に委ねられているものの、上司や職場に言い出しづらく、ついつい先延ばしにしてしまうことがあります。
理想の職場に転職するためにも、まずは退職を言い出しにくい原因から考えていきます。
1.人手不足の職場が多い
一般的に医療現場は人手不足です。そんな中で自分が辞めてしまうと、仕事のしわ寄せほかの看護師に降りかかるから、という理由で退職を言い出しにくい傾向があります。
同僚の看護師だけでなく、大切な患者さんにも申し訳ないという気持ちから、退職を言いにくいと感じる方が多いのでしょう。
しかし、人手不足の責任は職場にあります。仕事が円滑に回るように看護師を補充し、離職を防ぐのは職場や経営者の義務です。そのため、退職することに罪悪感をもつ必要はありません。
2.人間関係が悪化しそうで怖い
職場の人間関係を壊したくないために、退職を言い出せない方もいます。仕事を辞めたいと職場に伝えても、即日退職できるわけではありません。
少なくとも、退職の意向を伝える際は、就業規則に乗っ取る職場に残る必要があります。この場合、上司や同僚との人間関係があまり良くない職場ほど、ますますの関係悪化が懸念され、言い出しにくいのではないでしょうか。
退職までの間に嫌がらせを受けたり、嫌味をいわれたりするリスクはあります。しかし、あと数日で縁が切れると割り切ることも大切です。
3.激務で伝える機会がない
看護師は激務です。退職の意思を伝えると、激務にくわえてさらに上司やまわりに迷惑をかけてしまうと考える方は多くいます。あまりの忙しさから、上司と改めて話す時間がもてないために、退職を言い出しにくいケースもあります。
ですが、仕事が忙しいのは看護師のせいではありません。経営者側が解決すべき問題なので、思い切って時間を作ってもらいましょう。
4.引き止められてしまう
上司や職場に引き止められるのが不安で、退職を言い出せない方もいるようです。医療現場は慢性的な人手不足で、退職の意向を示した途端に引き止められることがあります。
労働時間を減らすなどの好待遇を条件に引き止められ、退職の意向がうやむやになってしまうケースもあります。その場限りで無理やり解決させられたとしても、根本的な解決ができなければ、その後も「やっぱり退職したい…」と悩んでしまうことになるでしょう。
5.転職先が決まっていない
転職先が決まっていないために、退職を言い出しにくいケースもあります。看護師の仕事は拘束時間が長く、精神的にも肉体的にも疲労がかかりやすいので、働きながら転職活動をするのが難しい一面があります。
退職後の転職活動や経済的な不安を考えると、退職を言い出すことがリスクに感じられてしまうでしょう。
退職の意思を言い出しにくい看護師がやるべき対策
それでは、どうすればスマートに退職の意向を上司や職場に示せるのでしょうか。看護師が退職を言い出しにくいときの対処法をみていきましょう。
転職先を先に決める
退職を言い出しにくい状況を脱出するには、強制的に退職せざるを得ない状態を作ること大切です。そのため、まずは転職先を先に決めるように動き出しましょう。
転職先が決まれば経済的な不安も和らぎます。新しい職場へ移るための期限があるため、上司から強い引き止めにあっても心が揺らぎません。転職先が決まっていれば退職の意思が固まり、退職を伝える覚悟をもちやすくなります。
職場やほかの看護師のことを考えすぎない
人手不足や職場の負担を考えていたら、いつまでも退職を切り出すことが難しくなります。職場の仕事配分を考えるのは職場の責任であるため、自分が辞めた後のことまで深く考える必要はありません。
まずは、自分自身の将来を優先して考えることが大切です。
退職理由の伝え方に注意する
退職理由は、できるだけポジティブに伝わる理由で説明することが大切です。職場の不満やネガティブ要素の強い退職理由は、引き止めや人間関係の悪化につながりやすくなります。
ポジティブな退職理由としては、以下のような内容がおすすめです。
・スキルアップのため、この病院にはない診療科で経験を積みたい
・将来的に海外で看護師として働くために語学学校に通いたい
・看護師以外の経験をして成長したい
・子育てに専念したい など
職場への不満が本音の場合であっても、直接伝えてしまうのはNGです。退職を考えるからには、次のキャリアで何かしら実現したいことは少なからずあるはずです。上記の例を参考に、ポジティブな理由を考えてみましょう。
忙しい時期を避けて退職できるようにする
忙しい時期だと退職を言い出しづらいなら、比較的落ち着いた時期に退職できるように調整するのも大切です。
退職するタイミングとして、病院の繁忙期にあたる年末年始は避けると良いでしょう。
年明けから4月の時期は新卒採用前ということもあり、1年の中でもっとも活発に人が流動します。その時期に合わせて相談すると、病院側も人員補充しやすいので、無理な引き止めにあう可能性も下がります。
上司が退職届を受け取ってくれない場合は?
直属の上司が受け取ってくれない場合は、人事課に退職届を出す手段もあります。もしそれでも受理されないときは、以下の方法をとってみると良いでしょう。
内容証明郵便で退職届を送る
どうしても直接退職を伝えられない場合や、退職を伝えてもうやむやにされそうな場合は、内容証明郵便を活用するのも選択肢のひとつです。
内容証明郵便は、病院が退職届を受け取ったことを郵便局が証明してくれます。病院側には文書で証拠が残るため、退職の引き伸ばしを防げます。
退職代行サービスに依頼する
どうしても自分から退職を伝えられない場合は、退職代行サービスを利用する方法もあります。労働組合が運営しているため、法に基づいた手続きで確実に辞められます。
職場や上司と直接やりとりする必要がないので精神的なストレスが少なく、短期間で辞められるのもポイントです。
看護師が転職するときに押さえておきたいポイント
最後に、看護師が退職するときに注意したいポイントを紹介します。
就業規則に則って退職の意思を伝える
病院の就業規則に則った手続きで退職をすると、円満退職につながります。民法においては、退職する2週間前までに退職の意思を伝えれば良いとされていますが、2週間だけでは引き継ぎがうまくいかないケースがあるでしょう。
病院の就業規則では退職の意思を伝えるにあたり、「退職する◯ヶ月前まで」と期間が決まっていることが多いです。就業規則にしたがい、余裕をもって退職手続きを進めると、職場やまわりの看護師への影響を最小限にできます。
看護師の経験が活かせる業種への転職も考える
看護師の仕事に愛着はあっても激務やプレッシャーで負担が大きい場合は、思い切って労働環境を変えるのもおすすめです。ひとくちに病棟といっても、勤務条件や職場の雰囲気、教育体制はそれぞれ異なるため、自分が理想とする職場を探してみるのも良いでしょう。
また、病院以外の職場を視野に入れてみるのもおすすめです。介護施設や美容クリニック、保育園など、看護師の経験を活かして働ける職場はたくさんあります。まずは、自分のこれまでの経験やスキルを棚卸しし、どの職場なら自分が求める働き方ができるか、情報収集しておくと良いでしょう。
看護師の転職先の探し方については、以下の記事で紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
「看護師の転職先探しは?自分で探す方法と転職サイトを使う5つのメリット」
まとめ
いまの職場を退職したくても、これまでの関係性や将来的なつながりを考えれば、退職するとは言い出しにくいものです。とはいえ、しっかり意思を伝えないと転職はできません。
辞めたいのを我慢しながら仕事をしたり、いつ言いだそうかと悩んだりしていると、ストレスが溜まり、心身に悪影響が出ます。自分らしい働き方をするためにも、まずは一歩踏み出してみることが大切です。