美容業界は華やかなイメージがあることから、美容看護師への転職を考えている方も多いのではないでしょうか。しかし、看護師と美容看護師では業務内容も異なるため、将来性があるのか、看護師として働き続けたほうが安泰なのか気になる点もありますよね。
今回は、美容看護師は将来性があるのか、キャリアプランも含めて解説します。
「美容看護師としての将来が不安……」と悩んだときに考えるべきこと
美容看護師として将来が不安だと感じる声は少なくありません。このような悩みに直面したときは、下記の点について考えてみることをおすすめします。
将来的に「何をしたいか」「どうありたいか」を考えることが重要
将来の方向性を考える際に大切なのは、自分自身の希望や目標を明確にすることです。
美容クリニックと一般病棟の看護師では求められるスキルや経験が異なります。焦って転職を決めるのではなく、自分が何を目指したいのか、どのような看護がしたいのかをじっくりと考えましょう。
将来への不安は転職で解決できる場合もある
年齢的なキャリアの不安や看護スキルの低下への焦りがある場合は、保険診療も行う美容外科への転職で解消できることがあります。皮膚科や形成外科も提供している美容外科であれば、看護スキルを活かしやすく、美容看護師全体の年齢も高い傾向にあります。
また、40代以降の患者様の多いクリニックでは、同年代である40代以上の看護師を採用したいと考えるケースも少なくありません。年齢を重ねた看護師は、若い世代だけでなく同年代の悩みにも共感できる強みや、美容への理解が深いことも評価されやすいでしょう。
厚生労働省の調査によると、美容看護師を含めた看護師の年収は55~59歳でピークの586万円に達します。40歳や50歳を超えても、美容看護師への転職は前向きに考えることができます。
出典:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
美容看護師の職業自体は将来性がある
厚生労働省の調査によると、美容医療の施術数は増加傾向にあります。
【美容医療の施術数の推移】
美容外科系 | 美容皮膚科系 | 合計件数 | |
2020年 | 38.8万件 | 8.5万件 | 47.3万件 |
2021年 | 28.0万件 | 174.9万件 | 202.8万件 |
2022年 | 85.8万件 | 287.4万件 | 373.2万件 |
出典:厚生労働省「第1回美容医療の適切な実施に関する検討会」
近年は男性の美容医療クリニックも増加傾向です。こうした市場の拡大にともない、専門知識をもつ美容看護師の需要も増加すると予測されます。
美容看護師の4つのキャリアプラン
転職では、自身が将来的にどのようになりたいか考え、キャリアプランを設計することが大切です。転職を考えている方は、どのようなキャリアプランがあるのか知っておきましょう。ここでは、美容看護師のキャリアプランを4つ紹介します。
美容クリニックで昇進する
美容クリニックで働いて経験を積み、昇進を目指すのもおすすめです。多くの個人の美容クリニックは役職制度がありませんが、全国展開しているような大手の美容クリニックでは看護師にも役職を設けているのが一般的です。
講習やテストを受けたり仕事を評価されたりすれば、教育担当や副主任、主任などの役職へ昇進できます。昇進すれば責任も増しますが、その分年収アップも期待できます。
将来的にマネジメント業務に携わりたい方、キャリアアップしたい方は、美容クリニックで昇進する道を目指してみてください。
一般病棟に戻る
数年間美容看護師として働き、その後は一般病棟へ戻る道もあります。「美容看護師は若い間のみ」と割り切り、年齢が上がったら病院勤務を考えるのも良いでしょう。美容看護師として働いて得た美容の知識は、自身の美容にも十分活かせます。
とはいえ、長く美容看護師として勤めていると、一般病棟へ復帰した際に大きなブランクを感じる可能性がある点には注意が必要です。また、美容看護師は倍率が高く人気の求人であるため、再度美容看護師で働こうと思っても転職は厳しくなるでしょう。
ほとんどの一般病棟では看護師が不足しているため、病院への転職はしやすいといえます。病院にもよりますが、年齢により転職が不利になることはほとんどありません。何歳になっても病棟看護師として復帰できるでしょう。
そのため、転職が難しい美容看護師から一般病棟へ戻るかは、慎重に決めることをおすすめします。
フリーランスの美容看護師になる
正社員やアルバイトではなく、フリーランスの美容看護師を目指すキャリアもあります。
フリーランスとして働くメリットとして、働く日数が自由に選べ、休みを調整しやすいことがあげられます。給与も、スキル次第では正社員よりも稼ぐことが可能です。
とはいえ、フリーランスになれば確定申告を自分で行う必要があり、収入も一定ではありません。収入面でのリスクや大変さも考慮し、フリーランスになるか検討することが大切です。
また、近年ではフリーランスで活動するアートメイクナースが増えています。
アートメイクとは、皮膚の浅い部分に針を通して色素を入れる「洗っても落ちないメイク」です。アートメイクは、化粧の時間を短縮でき、すっぴんに自信がもてるようになります。
アートメイクをするには、医師あるいは医師の指示の元、看護師が施術をしなければなりません。そのため、フリーランスの看護師の場合、美容クリニックと業務委託契約を交わして働くことになります。
美容クリニックの経験を活かして転職する
美容クリニックで働いた経験を活かし、美容クリニック専門の転職エージェントでキャリアコンサルタントを目指す道もあります。キャリアコンサルタントは、転職を目指す方に向けて転職のアドバイスやサポートをする仕事です。
転職エージェントにはITに特化したものもあれば、製造業に特化したものなどさまざまな分野があります。そういった専門分野に特化した転職エージェントでは、実際に現場で働いたことのある方を求めています。
美容クリニックで働いた経験があれば、美容クリニックのニーズや内情にも精通しているため、転職で有利になるでしょう。とはいえ、仕事内容は美容看護師および病院の看護師とは大きく異なる点に注意が必要です。
美容看護師がキャリアアップするために必要な経験やスキル
美容看護師としてキャリアアップを目指すには、現在の職場でのスキル向上や、より高度な美容医療を扱うクリニックへの転職が考えられます。
そのために必要な経験やスキルをみていきましょう。
臨床経験
多くの美容クリニックでは、病院での実務経験を高く評価します。特に注射、点滴、採血などの基本的な医療行為に関するスキルが求められます。
臨床経験は、施術の場で直接活かせるだけでなく、緊急時の対応や判断力にもつながる重要なスキルです。2年以上の臨床経験を採用条件としている美容クリニックは多くあるので、まずはしっかりと実務でスキルを磨く必要があります。
コミュニケーションスキル
美容クリニックでは、接客や接遇の面で高いスキルが必要となります。客室乗務員やホテルスタッフのような「おもてなしの心」をもって接することが大切です。
患者様の悩みや要望から適切な治療を提案できる能力や、クレームを前向きに受け止めて改善のチャンスと捉える姿勢も、美容看護師としての価値を高めるためには重要です。
接客やマナーに関する資格
美容看護師のキャリアアップには、4つの級位で構成される「接客サービスマナー検定」の上位級の取得を検討するのも良いでしょう。
接客の基本からビジネスマナー、クレーム対応まで幅広い知識を網羅しており、美容クリニックでの質の高いサービス提供に役立ちます。
美容系の資格
「日本化粧品検定」や「リフレクソロジスト資格検定」などの美容に関する資格は、美容に関する幅広い知識を示すアピールポイントとなります。美容クリニックに来院する患者様への適切なアドバイスにもつながるでしょう。
美容系の資格について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
「美容看護師で有利になりやすい資格8選!必要なスキルは?」
美容看護師がキャリアアップを目指す際の注意点
美容看護師として働き続ける方の多くは、美容に高い関心をもっています。美容に興味がある、自分もきれいになりたいなどの探求心は美容看護師として仕事を続けるうえでやりがいとなります。
美容看護師でのキャリアアップを考えるなら、やりがいをもって働けるかどうか入職前から具体的にイメージしておくことが大切です。
また、美容看護師として特定の分野に特化したスペシャリストになりたいのか、幅広い分野に対応するジェネラリストになりたいのかで、進むべき道は変わってきます。
特定の分野に特化したいのであれば、スキルを磨いていきたい分野での入職が必要です。一方で、幅広い分野に対応したいなら、さまざまな分野のクリニックで経験を重ねることが必要になります。
美容看護師としてこれからどうなっていきたいかイメージし、自分の望むキャリアが積めるフィールドでの入職を目指しましょう。具体的なイメージをもつことで求人内容のどこに注目するべきかがわかり、キャリアアップも実現しやすくなります。
美容看護師の将来に関するQ&A!
ここでは、美容看護師の将来に関するよくある質問に対して回答します。
美容クリニックから一般病棟へは転職しにくい?
美容クリニックでの勤務実績は、臨床経験年数としてカウントされないことが多くあります。とはいえ、美容クリニックであっても、看護師としての勤務実績を評価してくれる医療機関も多いため、転職で不利になることはありません。
また病院の看護師は慢性的に人手不足を抱えています。多少のブランクがあっても、転職のハードルはそこまで高くありません。とはいえ、一定以上の経験が求められる職種であるため、新卒や1年未満で美容看護師に転職した方の場合は、一般病棟に戻りにくいケースもあります。
取得していると有利になる資格はある?
資格があることで、美容看護師への採用確率が上がるとは言い切れません。しかし、日本化粧品検定や認定エステティシャン、カラーコーディネーターといった美容に関する資格は、業務をする上でも取得しておいて損はないでしょう。
また、インバウンドの需要が多いクリニックでは、語学系のスキルが求められることもあります。英語をはじめとする語学の勉強をしておくのもおすすめです。
美容看護師をしていると看護スキルは低下してしまう?
美容看護師と病棟看護師とでは行う業務が異なります。そのため、看護スキルや現場感が低下してしまう可能性はあるでしょう。ただし、採血・点滴・注射などは美容クリニックでも行うため、すべての看護スキルが低下するわけではありません。
看護スキルの低下が気になるのであれば、一般病棟に戻る前に都道府県ナースセンターが行っている復職支援研修を受けるのもおすすめです。
また、美容看護師として働くことで、身につけられるスキルもあります。美容クリニックでは言葉遣いやマナーに対して細やかな部分が求められるため、質の高い接客スキルが身につけられるのがメリットです。
業務の面においても、肌や皮膚の構造に関して医療とは異なる観点からの理解を深められます。
そのほか、受付業務を行うことが多いため、PCを用いた事務スキルも身につけられます。
美容看護師としての将来に不安があるなら「ビナラボ」に相談しよう!
美容看護師の将来に不安を感じたら、自身のキャリアゴールを明確にし、臨床経験やコミュニケーションスキルの向上に努めることが大切です。
美容医療市場の成長にともない、専門知識をもつ美容看護師の需要は高まっています。キャリアアップには、接客や美容関連の資格取得も効果的です。
より具体的なキャリアプランについて悩んでいる方は、美容看護師(ナース)専門の転職支援サービス「ビナラボ」へご相談ください。
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まとめ
美容看護師は人気の職業であるため転職は簡単ではありません。しかし、市場が拡大している美容業界では、美容看護師の将来性は明るいといえます。転職するか迷っている方は、美容看護師のキャリアプランも考慮したうえで、転職すべきか考えてみてください。