回復期リハビリ病棟は、急性期を乗り越えた患者様が、治療とリハビリを行う場所です。病態が安定した患者様が多いことから、急性期病院の働き方が合わない人や、子育てをしながら働く人にとっては、「働きやすい職場」といわれています。一方で、仕事が合わず、辞めたいと考えている看護師の人もいるでしょう。
今回は、回復期リハビリの看護師を辞めたいと考えたときの対処法を紹介します。また、スキルを活かせるおすすめの転職先についても触れているので、自分に合った働き方を考えてみてください。
回復期リハビリ看護師が辞めたいと考える理由
回復期リハビリの看護師が辞めたいと考える理由には、医療行為を行う機会が少ないこと、想像よりも仕事内容が大変であることが挙げられます。
医療行為を行う機会が少ない
急性期を乗り越えた回復期リハビリでは、看護師が医療行為に携わる機会は少なくなります。これまで覚えてきた技術や知識が埋もれてしまうのではないかと、危機感を覚える人もいます。看護師として最前線で活躍したい方は、焦りを感じるでしょう。
急性期病院と比べると現場で必要とされるスキルも限られます。自分の成長を感じる機会が少なくやりがいを感じにくい点も、辞めたい要因となるでしょう。
患者様のサポートが想像より大変だった
患者様の介助に体力的な負担を感じ、辞めたいと考える人もいます。
回復期リハビリ病棟に転院したばかりの患者様は、身の回りのことをひとりでこなすのは難しい状況です。そのため、看護師が行う介助量が多く、想像以上に大変さを感じる場合が多いようです。
また、急性期よりも看護師の配置人数が少なく、多くの患者様を担当しなければならない点も大変に感じる要因のひとつです。施設基準によって、急性期は患者様:看護師で7~10:1の看護体制になりますが、回復期リハビリは患者様:看護師で13~15:1になります。
ナースコールの頻度も多く、常に動き回らなければならないという職場もあるようです。
加えて、回復期リハビリでは、退院調整という仕事もあります。患者様がひとつの病院に入院できる期間には限りがあるので、退院先としてほかの施設や病院などを決める必要があります。患者様やそのご家族はもちろん、医療スタッフと連携して調整を進めなければなりません。退院についてご家族の理解が得られずトラブルになるなど、精神的な負担を感じることも多くなります。
回復期リハビリ看護師が辞めたいと感じたらどうすればいい?
回復期リハビリの看護師を辞めたいと思っていても、転職となるとなかなか踏み切れない人もいるでしょう。そんなときは、以下の対処法を試して解決できることもあります。
リハビリテーションの専門性を身につける
看護師としてのスキルアップに不安を感じているなら、リハビリテーションの専門性を高める方法があります。
一般社団法人回復期リハビリテーション病棟協会では、回復期看護について協会認定の研修会やセミナーなどを開催しています。これらの制度を利用して、体系的にリハビリテーションについて学ぶと、専門性を深められるだけでなく、モチベーションアップにも役立つでしょう。
リハビリテーションのプロに介助方法を学ぶ
業務に体力的な負担を感じているなら、リハビリテーションのプロから介助方法を学び、負担軽減を図ることも有効です。
介助方法が上達すれば、看護側だけでなく患者様の負担も少なくなります。質の高い介助を提供でき、感謝される機会が増えれば、やりがいを感じるきっかけとなるでしょう。
将来のキャリアを見据えてスキルを習得する
看護師として働く選択肢を広げたいなら、将来目指したいキャリアに合わせてスキルを習得するのもおすすめです。異なる分野について学ぶことで、回復期リハビリの重要性に改めて気づけたり、広い視野をもって仕事に取り組めたりできるかもしれません。
とくに、医療スキルに不安がある場合は、BLSやACLSなどのセミナーに参加しておくと良いでしょう。急変対応のある職場へ進む場合も、不安を感じずに済みます。
回復期リハビリの看護師が転職を決めたときにすべきこと
自分のキャリアプランを見直した結果、転職を決意した人もいるでしょう。最後に、転職を成功させるためにしておくべきことをご紹介します。
なぜ辞めるのかを明確にする
回復期リハビリを辞める理由を明確にしておくことは、今後のキャリアプランを考えるために重要です。
看護師としてのスキルが不安で回復期リハビリを辞めたいのであれば、急性期病院が転職先の候補に挙がります。体力面での負担が原因であれば、外来が向いているでしょう。
辞めたいと感じた理由を明確にしておくことで、転職先の希望条件を決定することができます。
回復期リハビリで得た経験から活かせることを整理する
転職活動では、転職先で活かせる経験やスキルを整理しておくと、自己アピールがしやすくなります。
患者様の細かな変化に目が届き、一人ひとりに寄り添ったリハビリテーション看護ができる人材は貴重です。応募先によっては、そのような回復期リハビリの経験が大きく評価されることもあります。医療的スキルの不足ばかりにとらわれず、回復期リハビリでの経験をポジティブに捉えましょう。
教育制度が整っている環境を重視する
回復期リハビリでは、医療処置をする機会が少ないです。不足する経験をカバーするために、教育体制が整っているか、必ず確認しておきましょう。教育体制が整っていない職場は、即戦力が求められる可能性が高いです。
特に、今まで経験したことがない分野に転職する際には、新人研修制度が手厚い病院・施設をおすすめします。
回復期リハビリ看護師におすすめの転職先
回復期リハビリ看護師からの転職を考えている方に、おすすめの転職先を4つ紹介します。
外来・クリニック
介助の多い仕事がつらく、体力面に不安がある場合は、外来やクリニックがおすすめです。病棟とは違い、おむつ交換やトイレ介助などの業務はありません。ほとんどの場合夜勤も発生しないので、無理なく働けるでしょう。
介護施設
介護施設は、利用者様の生活全般をサポートする仕事です。医療ケアをする場面は少なく、介護業務を担うこともあります。治療を最優先とする病院とは異なり、身体介助や生活援助に重点を置いているため、利用者様一人ひとりに向き合うことができます。
「利用者様とコミュニケーションを取りながら働きたい」「じっくりと健康維持のサポートをしていきたい」と考える方に向いています。
訪問看護
訪問看護では、在宅療養している患者様の自宅を訪問して、看護サービスを提供します。回復期リハビリで培ってきた退院調整のスキルを活かして働けます。
回復期リハビリと同様、急性期から回復し、これからリハビリが必要となる患者様も多いです。訪問看護では看護師も積極的にリハビリを行うので、これまでの経験を活かしやすい職場といえます。
また、基本的に夜勤はありません。オンコール対応が必要なケースもありますが、病棟と比べると心身の負担は少なくなるでしょう。
回復期リハビリからの転職について不安や悩みがあるなら、転職サイトのキャリアアドバイザーに相談するのもおすすめです。転職のプロから、有効なアドバイスが受けられるでしょう。
急性期病院
急性期病院は、看護師として最先端の場所でバリバリ働きたい人やさまざまな経験を積みたい人に向いています。
急性期の中でも、整形外科や神経内科・脳神経外科病棟は、回復期リハビリの患者様に多い疾患の治療をするため、知識を活かしやすいことがメリットです。
「看護師転職のおすすめ相談先3選!転職相談でよくある質問にも回答」
まとめ
医療行為をする機会が少なく、看護師としてのスキルが不安になりやすい回復期リハビリの看護師。辞めたいと悩んだら、別の分野の看護師に転職するのもひとつの方法です。
回復期リハビリの経験を活かせる転職先もあるので、将来目指したいキャリアを考え、現職に留まるか転職するかをよく検討してみてください。